うさぎチョコ五つ分の秘密
小さいころから日記を書いていたけど、死んだ後に誰かに読まれることをずっと意識していた。それでもかなりあけすけに綴っていたが、絶対に誰にも知られたくないことは書かなかった。
小学生の時に、クラスメートの悪口を2ページいっぱいにぎっしり書いて、それでも飽き足らずに友達にまで披露した。彼女もそのクラスメートの子が嫌いだったから一緒に頷きながら読んでくれると思ったのに、
「え、私ここまで思ってないよ、言い過ぎだよ。」と友達はかなり引いた様子だった。そのときの友達の瞳に映る自分を見て、頭まで浸かっていたどろっとした感情は一気に消え去り、恥ずかしさだけが残った。焦ってしまって、友達の前で「じゃあ、これは封印するよ」と言いながら両ページに糊をぬりたくってみっちりと閉じた。
「そこまでしなくていいのに」と友達は引いたままだった。
中学生になる頃にふとその日記のことを思い出して、開いてみた。封印された1ページはそこだけ黄色に変色してぶよぶよしていた、(当時の自分がなんて書いていたのか見てみたい)と思って静かに剥がしていったけど、ページは頑丈にくっついていて力を入れても破れるだけだったし、文字は掠れて本当に何も読み取れなかった、完全に。
ほんとの秘密は死ぬまで私のものだ、私の秘密は棺に入って私の脳みそと一緒に焼かれるのだ。自分の秘密くらい、自分だけでも大事にしてあげたいと思っている。
でもここでは、うさぎチョコ5つ分くらいの秘密を書こう。
ここから先は
1,575字
¥ 150
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?