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公演までカウントダウン 22日

2022.5.21

 三角標の産婆(指導者)IGU(ダサ イクコ)が、このところ、三角標の団員の稽古の模様を発信していまして、とうとう世界に向けてはばたく時期が来たのだなと私は思っていました。先日はメンバーのひとりでもあるアマラ京子(アマラ 京子)さんを紹介されていましたので、私も、彼女について触れてみたいと思います。というのも、私にとって、京子さんは別次元の人間だったからです。

 はじめて、京子さんにお会いしたのは、第2回定期公演のあたりでして、そのときは、音と踊りのコラボとして、声や楽器による即興音を出してもらってました。で、公演チラシ裏の自己紹介に、魂の匂いがすき(なんじゃぁ、そりゃあ???)というプロフィールを書いてまして、私の頭は理解不能に陥る訳です。というか、彼女に会った瞬間に、けたたましいアラーム音が鳴り響きました。出会ってすぐに体が拒絶反応を示すくらいの大きな警報を鳴らす人にお会いするのが初めてだったもので、私は京子さんにすごく興味を持ってしまいました。当然、彼女が、三角標の稽古に参加するようになってから、私は、稽古に参加するのがとても面白くなりました。

 まるで、太陽、月、逃げも隠れもしない、私は、ここにいる、豊穣の女神、大地こそ我、すべての命とつながっている、みたいな人なのです。京子さんは。もうね、そもそものレベルが高いのです。で、一方の私は、存在を消して、こそこそ逃げ隠れしている虫けらでして、彼女に近づいたら、この腐った魂の臭気を感づかれてしまうと思っていました。だから、三角標で、しばらくデュオに取り組む期間があったのですが、そのときは、本気で祈りました。

お願いだから、京子さんとは、組ませないでくださいと。

 彼女と踊ったなら、この汚い魂は、彼女の業火で焼かれ、のたうち回って死ぬか、逆に、私が、細い細い糸で、静かに彼女が息を引き取るまで、(しかも、なんで死んだのか本人にはわからない方法で精神的に殺すまで)、二人の踊りは終わらないと思いました。そして、私が、勝つのなら良いのですが、たぶんあっさりと負けてしまうので、そのとき私は、その後の自分がどうなるかが本当に見えていなかったので、彼女と舞踏を通して魂を晒し合うことが、そら恐ろしかったのです。

 自分の芯(譲れない部分が)まだなにやら見えないうちに、掻き乱され、引きずり落とされ、彼女に感化され、全て喰われてしまいそうに思っていました。だから、いつも稽古の時に、普通にお話ししている他のメンバーたちが不思議でなりませんでした。どうやったら京子さんと話ができるのかわかりませんでした。そんな畏怖に似た感覚を彼女に対して持っていましたので、かなりの間、私は、京子さんに対して、よそよそしかったと思います。

 こんな、性質の違う二人ですが、似ていると感じるところもあるのです。どちらも、自分の生き方に対しては正直で裏表がありません。それは、踊りをみてわかりました。ただやはり、持ってる質がすごく違うと感じるのは、彼女が、舞踏のモチーフにするのは、だいたいが命のあるもので、有機物ですが、私が、題材とするものは無機物が多く、京子さんが、感覚、感情、感性、即興、生命のエネルギーをダイナミックにドラマティックに踊るのならば、私は、物理、身体、積層(努力や過去の記憶)を使うことが多く、すごく、微妙で、繊細な小さな感覚で踊っているということです。最近、特にも、その差がはっきりと出てきていて、正直、私にないものを持っている彼女が羨ましく、眩しくも映っています。

 ぜひ、公演に彼女を見にきて欲しいと思っています。もちろん、いろいろな活動や経験をされている京子さんのライブ配信も、とても面白いので、おすすめですが、舞踏に取り組む近頃の京子さんは、とても奥ゆかしく可愛らしいのです。本当に、よくぞ、岩手に京子さんを呼びよせてくれました。そして、一緒に三角標で踊れる今生の機会に、ただただ感謝しています。というわけで、ぜひぜひチケットお買い求めください。


東北舞踏「三角標」第6回定期公演 「CRASH」
日時 :6月12日(日)14:00開演(13:30入場)
場所 :千厩町千厩字鳥羽335
前売券:1500円(高校生以下無料)


ナイトミュージアム 山田浩之氏 「混思考」コラボレーション
東北舞踏「三角標」出演 
 
日時 :6月18日(土)19:00-20:00
場所 :風の沢ミュージアム https://www.facebook.com/kazenosawa

料金 :2000円