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幸せな「犬生」のために:無秩序な繁殖と遺伝性疾患

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大切な家族の一員である愛犬たちには、できるだけ健康で幸せに過ごして欲しいと願うのが愛犬家でしょう。モラルに欠ける繁殖業者の無秩序な繁殖によって、その願いが打ち砕かれることが少なく…
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#フレンチブルドッグ

繁殖を禁止されたブリーダー④:声を上げ続ける大切さ

ノルウェーで、2犬種の繁殖が違法とされた判決から約半年。来月にはオスロの高等裁判所で第2審が開かれます。原告のノルウェー動物保護協会 (NSPA)とお話をして改めて感じたのは、声を上げ続ける大切さでした。 と同時に、"This is not an attack."(意訳:私たちは闘いを挑んでいるわけではありません)と言う、代表のエアシャイルド・ロールドセット獣医師の穏やかな口調が心に残りました。 目的は、犬たちが無秩序な繁殖による遺伝性疾患で苦しむのを無くすこと。声を上げ

繁殖を禁止されたブリーダー②:裁判は第2審へ

今年1月、犬の福祉に関する画期的な判決が北欧のノルウェーで出たことを以前ご紹介しました。 首都オスロの地方裁判所は、この国で行われているイングリッシュ・ブルドッグ(ブルドッグ)とキャバリア・キングチャールズ・スパニエル(キャバリア)の繁殖を違法と判断。ブリーダーには繁殖の禁止が言い渡されました。 先日、この判決を不服とするノルウェー・ケネルクラブ(NKC)などが、高等裁判所に控訴しました。第2審は9月に行われ、早ければ数週間後には判決が出る見込みのようです。まず、ここま

第2章:人間がフレブルにもたらした苦しみ

前回、イギリスで起きているフレンチ・ブルドッグ(フレブル)人気の過熱をご紹介しました。「短頭種」(= 鼻ぺちゃ犬)の場合、特に健康面の問題が発生しやすいそうです。これは、「品種改良」によって人間がもたらした、遺伝性疾患といえるものです。 人間が「創り出した」愛らしさ人間の都合に合わせた「品種改良」や「犬種標準」のため、犬は選択的な繁殖が行われてきました。フレブル特有の姿かたちは人間が望んだもの…。平蔵を含め日本でよく見る小さなレッドのトイプードルも、イギリスのフレブル同様に