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水曜どうでしょうの話

「水曜どうでしょう」
 
みなさんはこの番組をご存知だろうか。
 
北海道HTBが制作したローカル番組で、1996年~2002年にかけてレギュラー放送され、以降は数年ごとに不定期に放送されている。
 
口コミでその面白さが広がり、今や全国的に放送されるようになった伝説の番組である。

DVDを発売すれば軒並みランキング一位を取り、関連するグッズは凄まじい売上を記録している。

またローカル局が制作している番組にも関わらず、海外にも頻繁に出向きロケを行っているのも特徴のひとつだ。
 
番組の出演者は2名。
今や国民的俳優となってしまったが、番組当初は23歳の大学生であった大泉洋(通称:バカ・すずむし・にょういずみにょうなど)

もう一人は、大泉洋が北海道で所属している芸能事務所「OFFICE CUE」の代表取締役社長(現会長)の鈴井貴之(通称:ミスター•ダメ人間•社長)の2名だ。

 
スタッフは2名。笑い袋のような笑い方で、大の甘いもの好き。そして出演者に傍若無人の限りを尽くすディレクターの藤村忠寿(通称:ひげ、魔人・ゲンゴロウ・カブトムシなど)

物静かで最年長のカメラマンの嬉野正道(通称:うれしー)

これが通称、どうでしょう軍団である。


 
また不定期ではあるが、大泉洋が所属する演劇集団「TEAM NACS」のメンバー(安田顕・戸次重幸・音尾琢真・森崎博之)も出演している。安田顕に関しては、HTBのマスコットキャラクター「ONちゃん」着ぐるみの中に入り、出演者と共演している。



(基本大泉からの暴行・暴言を受け、大体拗ねている)


 
番組の主な内容は旅番組としているが、一般的な旅番組とは演出が大きく異なる。

そこがこの番組の大きな特徴であり、最大の魅力である。
 
普通の旅番組は、美しい風景や宿泊先の宿、料理など紹介するのが一般的だが、この番組に関してはそれがほとんどない。
 
あるのは、企画に対しての愚痴、不平不満、罵り合い、暴言、そしてボヤキ。人間の醜い姿をありのままに映している。

さらに出演者である大泉洋は、自分がこれからどこに行って、何をするのか企画内容を全く知らされないまま番組が始まるのだ。
(他の3人は企画内容を知っている)


時には大泉に対して拉致を強行し、強制的に番組へ参加させることも。

番組内でやらせを敢行しようものなら、やらせの工程をそのまま放送させるし、逆にやらせをした方が上手く進むところを、あえてしないという自由気ままっぷり。大泉洋の父親にもインチキできないのかと指摘される。

私がこの番組を初めて観たのが中学2年生の時だ。
私の姉が、「この番組面白いよ。」と教えてくれたのが始まりだった。
(私の姉は昔から面白いものにアンテナを張り、それを収集する能力にかなり長けている)

どうでしょうの中でも人気の「釣りバカ」という企画を観た。
 
北海道の湖でわかさぎを釣り、釣った数を1ポイントとして換算。最終的にポイント数が一番多い人の勝ちというルールであったが、番組中盤、案の定ルールが崩れてくる。




近くの役場の人が持ってきた地酒を飲み干せば
5ポイントという謎のルールが加わり、最終的には呑兵衛対決と化す。ONちゃん(安田さん)が酔っ払い過ぎて、大泉がせっかく釣ったわかさぎを誤って(というかほぼ故意に)湖に返す始末。


初めて見た番組ではあったが、その企画の緩さ、出演陣の会話のやり取りがあまりに秀逸
過ぎて、がっつりハマってしまった。
 
それから15年以上番組を見続けているのだが、いつ見ても全く飽きない。
 
今でこそYoutubeが主流の世の中であるが、この番組はまさにYoutubeの元祖と言えるのではないだろうか。

テロップの出し方、音楽をかけるタイミング、企画のゆるさ、どれも素晴らしい。

当時TBSで放送されていた「ウンナンの気分は上々」という番組を参考に制作したと言ってるが、もはやそれを凌駕する位の出来である。
(ちなみにこの「ウンナンの気分は上々」という番組もめちゃめちゃ面白い)
 
 
そしてなんと言っても、この番組の出演者大泉洋の怪物っぷりに驚愕する。
現在は日本アカデミー賞を受賞するぐらい大物俳優になってしまったが、この番組当初は芸人的扱いだった。しかし大泉の放つワードセンス、ボヤキ、悪態に対しての返し全てが秀逸なのだ。


この返しを20代でできるとは。
恐るべし大泉洋。
 
この番組が放送されていた当時、北海道出身の芸人「タカアンドトシ」が北海道でくすぶっていたらしい。

なぜ北海道で売れなかったんですかという問いに対して「当時北海道には大泉洋っていう化け物がいたんです。」と言っていたぐらいだ。

それは素人目から見てもわかる。それぐらい大泉洋の凄さがわかる番組だ。
 
ここで、水曜どうでしょうの代表作ともいえるベスト3を発表する。
 
第3位:サイコロの旅シリーズ
水道道どうでしょうの代表とも言える企画のひとつ。この番組の歴史はここから始まった。

東京羽田空港を起点に、サイコロを振り、出た目の数字に記載してある場所に行かなければならない。移動手段も飛行機の他に、寝台列車、深夜バスなど様々な手段で移動する。最終的に北海道へ帰ればゴールなのだが、大泉・鈴井がことごとくチャンスを逃す。しかも東京から博多までの深夜バスをあっさり2回も出してしまったり、出演者のやられっぷりが楽しめる企画だ。


第2位:四国八十八か所シリーズ
大泉洋が受験生の祈願と題し、四国八十八か所をお遍路するという企画。

煩悩・悟りとは何か。人間が崩れている様子をまじまじと見れる企画。岩谷寺騒動そして車内での大泉とスタッフ同士のやりとりは、名言を生む。

第1位:対決列島(甘いもの国盗合戦)
甘いものを食べることが大好きな藤村D(魔人)が出演者である鈴井に企画内容を説明せず強制的に甘いもの対決をしようと持ち掛ける。
(この企画に至った経緯があるのだか、ここでは割愛。大泉は相変わらず企画内容を知らされていなかった)

また不定期参加の安田顕も参加し、大泉・鈴井VS藤村D・安田で全国を縦断しながら、各地で甘いものを食べるという企画。

ちなみにこの企画は、藤村D以外全員乗り気ではなかった。というより対戦相手の鈴井はそもそも甘いものが大嫌いなのに無理やり参加させられたのであった。

魔人、藤村Dの食べっぷりはまさに中国の鉄の球を飲むおじさんの如し。



また本企画で安田顕が大活躍。番組屈指の名シーンを生み出すことになる。


あまりにもバカバカしすぎる企画そしてグダグダ感。どうでしょう好きが選ぶ企画でもこの作品が見事1位に輝いた。
※私はこの企画が好きすぎて、大学の時にロケ地巡りを行った。
 
 
他にも、海外シリーズ(オーストラリア大陸縦断・アメリカ大陸横断・ヨーロッパ完全制覇・などなど)国内シリーズ(東日本・西日本原付制覇・釣りバカ・絵はがきの旅・試験に出るどうでしょう・夏野菜企画などなど)
 
正直全部観てほしいが、この程度にしておこう。
 
番組内で大泉が放った名言「僕は一生どうでしょうします。」


 
この言葉に尽きる。

この番組を観ると、旅行はどこに行くかではなく
誰と行くかという方が重要ではないかと思えてくる。(良い意味でも、悪い意味でも)

あー、早く旅行いきたい

おわり。
 

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