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PUI PUIモルカーが3分の焚き火タイムになる理由を考えてみた

人には焚き火タイムが必要だ


私がまだ学生だった頃。父は日付が変わる頃に仕事から帰宅すると、大抵水着姿のおねえさんたちがはしゃいでいる深夜番組をぼんやりと眺めていました。「明日も早いのに、なんでおねえさんばかり見て寝ないんだ?」と不思議に思ったものです。

それから私も働きはじめてあれは父の焚き火タイムだったのだとわかりました。仕事で一日めいっぱい働いて、もう深夜だから早朝に備えて寝なくちゃいけない。その前にわずかでも「無」に戻れる時間=焚き火タイムの儀式をして自分の人生をとりもどしたい。

深夜帰宅早朝出勤の繰り返しだった父にとって、水着のおねえさんは焚き火タイムだったのでしょう。ただ単に好きなだけかもしれないけど。

焚き火タイムのPUI PUIモルカーとは

そして私の焚き火タイムは、水着のおねえさんならぬPUI PUIモルカーです。

この「PUI PUIモルカー」は、モルモットが車になった世界を舞台に繰り広げられる3分のストップモーションアニメ(1つ1つの動きをコマ撮りすることで人間にはできない動きをCGを一切使わずに撮影するアニメ)。

(公式HPより)

パペットアニメクリエイターの第一人者、見里朝希監督の元に制作され、今年の1月5日からテレビ東京系列「きんだーてれび」にて放送がスタートしています。

声優は実際のモルモットが担当。とにかく愛くるしい登場人物(人?)に癒される

このモルカーに登場するのは、のんびり屋のポテト、臆病者のシロモ、好奇心旺盛なアビー、おしとやかながらも身体能力に特化したチョコ、よく食べよく動くテディ。

このフェルトでできた5台(匹?)が表情豊かにとにかく動く、動く。そしささくれた心にPUI PUIとモルカーたちの愛くるしい声が川のせせらぎのようにしみるのであります。

社会風刺をきかせてさまざまなジャンルの物語を取り入れた緻密な設定

とはいえ、子ども向けでしょう?と思われる方もいるかもしれません。「KAWAII」は世界共通語だし、丸くて小さくてふわふわして瞳がつぶらで声も愛らしいとくれば、多くの人が好みますからね。

このモルカーの奥の深いところは、愛くるしい姿形や鳴き声で敷居を思い切り低くしておきながら、中身は人間の持つ愚かな側面を表しているところ。そして誰もが知っている映画を彷彿とさせるような物語を手を変え品を変え出してきて全く飽きさせないところです。

現実世界の枠組みを使っているから大人でもわかるし、考えさせられる。幼い子にもわかるような表現に落とし込んでいるから子どもにも楽しい。魅力的な作品のお手本を見せられて、すごいなぁとうっとりさせられます。

もうすぐ完結してしまうのが寂しいので、各話ごとに振り返ってみる

とはいえ全12回のモルカーも今月で終わりを迎えます。寂しい、なんならいつまでも続いてほしい(製作陣は大変すぎるかもしれませんが)。ということで、応援の意味も含めて、公式の予告動画とともに今までの物語を振り返ってみます。

第1話 渋滞はだれのせい?

(公式HPより)

記念すべき第1話。PUI PUI鳴きながら渋滞に巻き込まれたポテト(と中の運転手)。先頭の運転手は音楽に夢中で青になっても進まない。ポテトの後ろからは急病人を乗せた救急車がきます。利己的な行動によって本当に一刻を争う人たちに手が届かない状況の風刺となっており、初回から考えさせられます。でも単純にかわいいよポテト。

第2話 銀行強盗をつかまえろ!

(公式HPより)

運転手を待つシロモが強盗犯に乗っとられた!臆病なのに銃を突きつけられ、涙を流して怯えるシロモが不憫。不憫なんだけど、過剰な恐怖が事件解決のきっかけになっていて、本当に表現が細かい。


第3話 ネコ救出大作戦

(公式HPより)

本来ならモルモットにとって猫はこわ〜い存在。この世界のモルカーもやはり怖いようで鳴き声を想像しただけでふるえちゃう。いや、断然ネコより大きいんだけどねえ。真夏で高温になる車内に取り残された猫ちゃんの描写は心が苦しくなる。怖くてもネコを助けようとするアビーたちは勇敢で立派。

第4話 むしゃむしゃおそうじ

(公式HPより)

運転手がポイ捨てしたゴミと次々と食べていくテディ。運転手はテディがかたづけてくれることに調子に乗ってポイ捨てをやめない。この世界では人間の持つ愚かな側面が毎話象徴として出てくる。さて運転手はどうなるのか。

第5話 プイプイレーシング

(公式HPより)

みんな勝ち負けも大事だけど、モルモットだしね!にんじん大事だよね!チャンピオンアビーが我先ににんじんを奪ってしまったモルカーたちにとった態度がやさしい。

第6話 ゾンビとランチ

(公式HPより)

シビアでやわらかい世界がゾンビ映画に。シロモ、シロモが。やべっ間違ったってシロモを噛んじゃった人はまさか。

第7話 どっきり?スッキリ!

(公式HPより)

有名な冒険物が元ネタだろうか。まあ、ホコリだらけの洞窟に探検に行ったらそれは汚れて真っ黒になりますわ。車ならではの結びつけが面白い。

第8話 モルミッション

(公式HPより)

個人的には一番映画なんですね!と思わされる凝りっぷり。後半はどんどん物語色が強い構成になってきてる。爆発のシーンとか撮影するのは本当に大変だろうなあと思った話です。

第9話 すべってサプライズ

(公式HPより)

ここにきてようやくゴミも捨てない、車に生き物を置き去りにしない、普通の人間の営みが登場。すべってすべって、パトカーまですべって、みんなでプロポーズの行方を見守るモルカーたちが本当にかわいい。

第10話 ヒーローになりたい

(公式HPより)

ヒーローを目指していたアビーが痛車に。この世界のモルカーたちは食い意地は張っているけど、痛車のアビーを別にあざ笑ったりはしない。自分たちとは価値観が違ってもそのまま受け入れる。(物珍しいとはおもっていそうだけど)目指した姿とは違ったけど、アビーはしっかりヒーローになります。よかったね、アビー。

第11話 タイムモルカー

(公式HPより)(公式HPより)

バックトゥザ・フューチャーきました!この話はまだ見てません。しかし、ミッション、ミュージカル、ヒーローときて次回の最後は何にして幕引きをはかるんだろう。

別にPUI PUIモルカーのまわしものじゃないけど、有料動画配信サービスで全話観られるよ

ということで、私の日常に焚き火タイムを与えてくれるPUIPUIモルカー応援文章を書いてみました。別にまわしものじゃないよ。モルカー本編は有料動画視聴サービスで全話見られます。ささやかな焚き火タイムを持ちたい方はぜひチェックしてみてください。






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