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いまもみすてりーをよんでいますか?

もう辞めてしまったけれど趣味の投稿サイトで色々な方とやり取りをしていた。
映画や読書等の感想やお薦め情報を交換したり…
ある男性Aさん(25、6歳)と本や映画の趣味が合うのでダイレクトメッセージを送ったり送られたりしていた。
家族との折り合いが悪く絶縁状態で都心のマンションに一人暮らしとの事。
職場でも親しい人がおらず何処にも居場所がないと苦しい胸の内を語ってくれた。

ある日を境に突然夜になると卑猥な言葉のオンパレード。
ヤラセてくれ!とか胸のサイズを聞いてきたり…
そして次の日の朝になると"ごめんなさい、すみません"と謝ってくる。
そんな毎日が続いたけれどブロックしたりせずにいた。ある日曜日の朝いつもの様に

"昨日はごめんね。本当にごめん。暇だから本持ってカフェに行くよ"

と彼。

"うん、大丈夫だよ。カフェ着いたら教えて?"

程なくして

"カフェ着いた。カフェオレ頼んで端のソファに座ったよ"

と返ってきた。

"うん。今日はどんな本読むの?ミステリー?"

"◯◯のミステリーだよ。読み始めたところ"

"そっか、面白そうだね?ね、何か実況中継みたいだね?"

"だね?(笑)"

と笑った。
しばらく他愛もないやり取りをして彼がランチを食べて帰ると言うので終わった。
その夜はメッセージが来なくてちょっと心配したけれど…
次の朝、長い長いメッセージが届いた。

"……略……今まで本当にありがとう。
君みたいな人が側にいてくれたらこんなに孤独に苦しむ事もなかったのに。
親とも職場の人とも上手くいかずに投げやりに生きてきたけれど、君みたいな天使の様な人に出会えたから俺もう一度本気で頑張るよ。
もうメッセージは送らない。
今まで本当にありがとう"

本当に最後のメッセージだった。

私は彼の中に自分と同じ孤独を感じ取っていたのかも知れない…大都会の片隅でひとりで目立たずにただただ必死に生きている…
2、3ヶ月して心配になって彼の投稿を見に行くとブロックされていた。泣いた…号泣した。

"ああ、良かった、本当に良かった。
もう私は必要なくなったんだね?
現実世界でお仕事を頑張ったり周りの人とも
少しずつでも上手くやっていける様になったんだね…?"

ブロックされた事がこんなに嬉しいなんて?
…と同時に夜、私に卑猥な言葉を送らない様にとの彼の優しさも感じた。

Aさん、元気にお仕事頑張っていますか?
今もイギリスのミステリー読んでいますか?

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*読んでくださった方、いつもありがとうございます