2020年3月13日(金)

旅もいよいよ3日目。朝風呂に入りたいので、少し早起きをした。「星野リゾート 青森屋」には施設内の宿泊建物から少し離れたところに、銭湯型の浴場「元湯」がある。ホテルから送迎バスが1時間に2本出ているのだけども、歩いても10分くらいというので朝の散歩がてら向かうことにした。明るくなって施設全体の全貌が明らかになると、本当に呆れるほどに広い。朝風呂ですっかり気持ち良くなってから、朝食会場へ。海鮮のっけ丼やせんべ汁など青森名物を中心としたバイキングで、どれもレベルが高く大満足。お腹が落ち着いてから「浮き湯」で朝風呂のおかわり。もうずっとここで寝転んでいたいと思うも、スケジュールが詰まっているので泣く泣くホテルを後に。

八戸市に車で移動して、「八戸ブックセンター」を見学。ブックコーディネーターの内沼慎太郎がディレクションしており、企画や陳列が非常に冴えた気鋭の本屋だ。各ジャンルの名著が敷き詰められていて、まさに“知”の集合知という感じだった。先週まで「柴崎友香×滝口悠生 アイオワ/八戸 ~作家が滞在するということ~」というギャラリー展がやっていたらしい。漁港のほうへ移動し、Enjoy Music Clubの松本さんがオススメしてくれた「みなと食堂」にて平目とマグロの漬け丼を食べた。

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卵の黄身を溶かしながら食べていくと漬けタレの醤油と混じり合っていく恍惚感。今回の旅行でのベスト食事かもしれない。店を出ると雪が降ってきた。3月の雪というのは青森では当たり前のことなのだろうか。

雪景色の中を十和田市へと車を走らせ、「十和田市現代美術館」を堪能した。規模は大きくないが、迷い込み、思考するというのを体感できる優れた美術館だと思う。

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ロン・ミュエクの4メートルの女性像は、やはり目の当たりにすると圧巻だった。その大きさに戸惑い、肌や髪といった細部の解像度に驚く、というマクロとミクロでの感動がある。さらに企画展として「インディペンデント・アニメーション最前線!かいふくのいずみ」が開催されていて、ひらのりょう、ぬQ、最後の手段という3アーティストの作品の楽しむことができた。3者がコラボレートして制作した「かいふくのいずみ」というアニメーションにはまるでサウナで得られるトランス感を映像化したような快楽性があった。ひらのりょう「ホリディ」という15分ほどのアニメ作品にも心撃たれた。欠落したものへの「おーい、おーい」という呼びかけ。グッズ売り場にて「ホリディ」に登場するギターの人の缶バッジ、ぬQの「レモン山登山達」(かっこいい)のキーホルダーを買った。カバンにつけて、見せびらかしたい。

美術館の近くにあった「相馬菓子舗」でアップルパイとソルトレーズンを購入。

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コンビニ珈琲をすすりながら、雪のチラつく野外で凍えながら食べた。「相馬菓子舗」の洋菓子はとてもレベルが高い。45年以上続く老舗だが、町のお菓子屋さんという素朴な佇まいも好感が持てる。名物のアップルパイも素晴らしいが、ソルトレーズンの食べたことのない旨味に感動してしまった。あまりの美味しさにどこかで土産物として委託販売していないのか調べてみたのだけど、お店でしか買えないようだ。10個くらい買って帰ればよかった。

旅行プランを練っていなかったのでやることを見失うも、奥入瀬渓流や十和田湖を車から眺めて満足した。まだまだこちらは雪国である。

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数時間かけて新青森駅へ戻り、車を返却。車の中ではずっとaikoを聞いていた。まったくお腹が空かないので、夕ご飯は抜き。旅先では胃袋が二つ欲しい。星野リゾートから場末の健康ランドへの落差に身体が耐えられるか心配だったが、「あおもり健康ランド」でもう1泊。この日も長距離ドライブの疲れで熟睡であった。

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