幅狭靴さがし〜202405@台東デザイナーズビレッジ販売会

足が細くて、いつも靴を探している。

足が細い、ということに気づくまでに、すごく時間とお金がかかった。何足も靴を買っては捨て、インソールを買って、靴下を買って、なんとか足を靴に合わせようとしてきた。あるとき、ふと、私の足にこそ、靴を合わせればいいのだと思った。私の足に会う靴を見つければいいんだ。それから、しつこく探し続けている。

探せば探すほど面白い。いろんなお店を訪ねて、シューフィッターさんや靴職人さんからいろんな靴を履かせてもらった。それから、たくさんの話も聞かせてもらった。そしていつも、運命の試着をさせてもらう。心を静めて、感覚を研ぎ澄まし、全思考と全神経と全体重を足に集中させる。

幅狭靴があるから、と情報を得てお店を訪問することもあるし、ふとした瞬間にとんでもない靴に出会うこともある。今回は後者だ。そして、このブランドは、「幅狭靴」とは自ら宣伝していらっしゃらないようだ。履いてみた私が、幅狭靴として紹介したい。



デザイナーズビレッジは、実は11年振りの訪問だった。そんなに昔だったっけ、と軽く目眩を感じながら、会場の3階まで昇った体育館の奥の方に、その靴屋さんを見つけた。端正な佇まいの靴が並んでいた。

「足が細くて、なかなか合う靴がないんです」と言う私を、柔らかく肯定も否定もせず受け止めながら、ご自身の作る靴の説明をしてくださった。良かったら履いてみられますか?と聞かれたので、ぜひ、と答えて、売り場の中のスペースで履かせてもらう。

以下、私の記憶を頼りに書き起こしてみる。

全てオーダーメイド。革も選べる。革見本あり。紳士靴。
木型は2つ。イタリアとアメリカ。
イタリアの木型はややエレガントな雰囲気。甲の接地幅がやや広く、甲からつま先にかけて絞りを効かせ、そのコントラストでエレガントさを表現している。
アメリカの木型はつま先部分がやや丸みを帯び、甲とのコントラストをあまりつけない。それによって、よりカジュアルな雰囲気となる。
35(22.5)サイズから製作している。

ちなみに、私の足のサイズは、足長22.2〜22.3cm、ウィズAA程度である。普段、革靴は35を履いている。私は、イタリアの木型の35と35.5を履かせてもらった。

35は、緩みなし。踵、甲部分は申し分なくフィットしている。羽根も閉じ切らない。歩いてみると、これ以上ないくらいホールド感がある。若干、踏まず長が足りない気もする。

35.5は、足長にやや余裕を感じる。踵、甲のホールド感はやや減る。踏まず長はぴったり。

お店の方の見立ては、35をお勧めするとのことでした。履いたまま触ってみると、母指球部分に張りを感じるので、木型に少し肉付けして対応した方が良いかもとのこと。

そして、今回は試着しなかったが、アメリカの木型であればきっと35がジャストでしょう、と。

試着しながら、つい先日ロンドンで行われた London Super Truck Show の靴製作部門で、世界6位に表彰されたお話など伺った。

さらっと、あまりにさらっと言われていたので逆に驚いて何度か聞き返してしまった。靴の本場、イギリスの大会で世界6位って、とてつもなくすごい。余談だけど、記事を読んでみると、結構アジア人も活躍していることがわかった。頑張れ、エイジャン(Asian)。

デザインも作りもれっきとした紳士靴なので、男性的な靴を探している幅狭足さんには強くおすすめできる靴だと思う。ぜひ思い切って試着しに行って欲しい。履いたらきっとその細さとフィット感に驚くと思う。私がそうであったように。


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