2016.07.02

みなさんこんばんは。
わたしはしがないサボテン。今日の主人公だよ。

あるマンションの恐らく102号室に…ええっと、半月ほど前から住んでるの。もう半月かあ。長いようで短いんだね。

アッ！
期待させて申し訳ないけど一人暮らしじゃないの。
だらしない人間？と住んでるの。わたしに向かって喋りかけたり、ひとりでしゃべったり、ときおり意味もなく前転とかしてるようなやつ。怖いよね。
いつも、動機が予測不可能なの。

この家に来てから、最初の方はあんまりこっちに関心がないようだったんだけどね。
わたしに触っては「イテッ！🤕」とか当たり前のことをつぶやいてた。
「食肉植物になってこの家の虫食ってくれない？」とか妙な無茶振りをしてきたり。
まあね、そういうやつたまにいるんだけどね。

🌵🌵🌵

あるときその人間が、小銭を稼ぎに外の世界に行ったっきり、中々帰ってこなかったことがあったの。

いつもは遅くても日付が変わる前には帰ってきてたのに。なんかの事件に巻き込まれたんじゃないかってわたしも心配してた。たったひとりの同居人だもの。

同時に、わたし何かしちゃったのかなって心配もしたの。
ほんの小さな出来事に愛は傷ついて君は家を飛び出したんじゃないか、って。
嫌われちゃったのかも、って。

でもそいつ、朝の6時くらいにやっと帰ってきた。
電波のない家だから、漫画喫茶まで行ってパソコンしてたんだって。

ほんとにお騒がせなやつよね。わたしてっきり…

あっ！！！
急に大きい声出したの、そいつ。

わたしびっくりしちゃった。


あの人間を思うあまり、花なんか咲かせちゃったみたい。

いつも雑に扱ってくるし、水なんか一回ももらったことないのに、こんなにも大事な存在になってたことに気づいた日だった…。

あの人間、嬉しそうに笑ってた。

🌵🌵🌵

花が咲いたことによってわたしに対しての愛情が深まったのか、しょっちゅう話しかけてくるようになった。

わたしの身体の隅々まで日光が当たるようにしてくれたり、時折外の世界に出してくれたりもするようになった。

まあおかげで今は、外に置き去りにされてその日に雨が降って忘れられたわたしは根が腐って花も枯れて死を待つ日々送ってるんだけどね。
やっぱだらしなくてクソな人間だったわ、あいつ。

しばらくは、つーか一生、花なんか咲かせてやんねえから！！

🌵🌵🌵

サボテンの花、どうやったらまた咲いてくれるんだろう。
誰か助けてください。