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Day6 競争の戦略読書会 2022/06/18

こんにちは、グロービス経営大学院に通っている疋田です。
井手先生の「経営戦略」を受講したみなさんと実施している読書会に参加させていただきました。今回で遂に最終回ということで、鈍器のような教科書を読破できて感無量です。何度も挫折しそうになりながらも最後まで来られたのには仲間の力を感じずには得ませんでした。

それでは、Day6の議論の内容を紹介します。

14章_目次【垂直統合の戦略的分析】

■No1:P394, L1 必要量の大きさと効率的生産規模との対比
Q. この段落で言っていることは、製造業において、川上統合する場合に統合相手(川上)の生産量と自社の取扱量が1:1に近い状態でないと苦しくなるよ、ということでしょうか?川上企業が自社の取扱量より小さい生産能力しか持っていない場合は固定費を抱えることになるし、川上企業が自社の取扱量よりも大きな生産能力を持っていて材料が余ってしまうと、自社の従来の競合企業に勝ってもらわないといけなくなる。競合は足元を見て買ってくれない、そして余分の固定費を自社が抱えることになるよ。そういうことでしょうか?
A. 同じ理解です。
Q. (追加質問) 具体的に、川上の供給量が自社の生産量より少ない場合のデメリットは?
⇒ 不足する分を他社から調達する必要があるが、そこが供給のボトルネックとなり統合のメリットが薄まりそう。
⇒ メリットとして、川上のことを知り、自社製品を改良できるなどのシナジーも考慮が必要。

■No2:P396, L12
Q. 垂直統合なしに二つの会社が密接に結びつくためには、リスクプレミアムの支払いが必要になってコストは上がる、とは具体的にどのようなことでしょうか?
A. 資本関係が無い場合は突然他社に乗り越えられるリスクがあるのでプラスでコストがかかる、特定の取引先に合わせた仕様にしてしまうと在庫リスクを抱えるので高い価格を要求する、といった事例があると思われる。

■No3:P398, L17
Q. 「強力な供給業者や顧客に対抗するという以外何の意味もないムダな行動」とは具体的にどのようなことでしょうか?
A. 例えば、納入が遅れるリスクを考慮して納期にマージンを持って伝えることが想定される。当初の想定通り早く納品できても、顧客側が次の工程の準備ができていないため、ムダな遅れが生じてしまう。

■No4:P401, L7 統合の戦略的コスト
Q. 垂直統合で避けられない戦略的コストには、参入コスト、統合された企業を運営するための柔軟性、工程間バラン スの維持、経営能力、それに市場の刺激に代わる社内動機づけ制度の採用が含まれる。「市場の刺激に代わる社内動機づけ制度」とはどういう意味でしょうか?
A. 社内取引だと必ず売れるので、製品改良やコスト低減の動機付けが薄れる。従って、社内文化を醸成したり、動機付けするためのコストがかかる。

■No5:P401, L14
Q. 技術の独占や原料の望ましい供給業者の確保が原因となったコストの優位を克服するのは大変な戦略コストになる、とは、特別な技術を持った企業を統合するにはコストがかかる(買収に多くの資金がいる)ということでしょうか。
A. "自社の競合"が特別な技術など優位性を持っている場合は、垂直統合するだけでは優位性を獲得できないということ。

■No6:P410, L13
Q.「反対に2、3の大口顧客がいると正確な川上情報は手に入れにくい。」これは川下情報の誤りでしょうか。
A. 原文を確認すると、両方とも川下を言っているので誤訳と思われる。(forward=川下)

15章_目次【キャパシティ拡大戦略】

■No7:P428, L12 競争業者の統合化
Q. 競争業者の統合化 P428
「もし、業界の中で川下統合する業者があると、他の業者はその川下への供給能力を維持したいと望むようになるから、設備過剰になりやすい。」とは具体的にどのようなことでしょうか。
A. ある業者の川下統合により自社の供給先が減る可能性があるが、とはいえすぐに供給能力(設備)を減らすことはしないのではないか。
A. 他社が川下統合するということは将来市場が伸びるかもしれないので、一時的に自社の供給先が減ったとしても供給能力(設備)は維持しておこうという心理が働く。もしくは、市場が伸びることを見越して設備投資をする企業が増える。

16章_目次【新事業への参入戦略】

■No8:P440, L4
Q. 「市場要因からエコノミストのいう意味で完全に作用している場合は、どんな形で参入しようとも、その業界で平均以上の投資収益率をあげることはできない」と断定している理由が理解できないです。
A. ファイナンスでいう完全市場のような状態と思われる。(市場参加者が常に同じ情報を共有し、市場の需給不均衡は瞬時に解消されるという前提)

■No9:P443, L8
Q. 反撃が生じる可能性のうち、低成長業界、汎用品あるいは汎用品化した製品業界、に対し新規参入するケースってどのようなケースがあるのでしょうか。こういう業界は避けるべき、ということで良いのでしょうか。
A. 例えば、プライベートブランドでの参入は、流通で範囲の経済を効かせられる。また、ITを軸に業界再編ができる場合は成熟業界(低成長)でも参入の余地がある。例えば、タクシー業界の配車アプリ。

■No10:P448, L3
Q. 前後で出てきている”不均衡”の状態というのがイメージ出来ない。
A.     情報の非対称性がある状態でないか。(新しい業界、情報の少ない業界)

■No11:P454, L12
Q. 吸収合併によって、得られるはずの平均以上の収益を少なくする。とは会社市場が盛況になり、競争が激しくなり、良い案件の場合についてのみの理解で良いか。(あまり良くない案件の場合は、買いたたけるメリットがあるように思う)
A. 会社市場が効率よく働いている=情報の非対称性が無いということなので、正確な企業価値での買収となる、バリュエーションのぶれが無くなるということだと思う。ファイナンスのIRRのイメージで捉えると、良い企業は初期投資が大きいが、良くない企業は初期投資が低い。

■No12:P462, L14
Q:もし、非常に確実性の高い段階的参入戦略があるなら、それを使って既存業者を金縛りにするための移動障壁の強化に投資する事も、上手い手である、の具体例があれば。
A.     例えば、アマゾンは本から入って、気付けばあらゆるものを売っていた。

次は、コーポレートファイナンス(上下巻)の読書会が始まります!競争の戦略以上に手ごわそうですが、みなさんと学びながらゆっくり歩んでいきたいと思います。


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