きっと

きっと、
君と僕は似た者同士。

君が痛ましい過去を
打ち明けてくれたとき、
僕は何を語るべきだったのだろう。

語らせてしまった責任と
話してくれた仄かな喜びと。


こだまのように
僕の傷跡と痛みを語ったら
二人の疼きは
少しは癒えただろうか。

僕らの距離は
少しは縮まっただろうか。


辛酸をなめたものしかできない
受容がある。

悩み、戦い抜いたものしか
発することの許されぬ
眼光があり、
言葉がある。


わかっているから、
口が重くなり、
語りすぎてしまう。


きっと、
君と僕は似た者同志。

君が、見果てぬ遠き夢を
静かに語ってくれたとき、
僕は何を伝えるべきだっただろう。


立ち止まったままの僕らを
新しい季節へといざなう
早春の驟雨と燦たる陽光。


いまはただ
そばにいることしか
できないのかもしれない。


でもきっと、
もうすぐ見たことのない
稀有の物語が始まり、

過去が変わり、
未来が動き出す。

そう、信じている。

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