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"訪問サポート"という仕事

こんにちは。先月正社員の仕事である訪問サポートの仕事を辞めました。
辞めた理由はいろいろあるのですが、やっぱりこう、なんというか、
働いてから考えさせられるもの、というのは沢山あるんだと感じました。

まず、題名にある仕事の内容を簡単に説明すると…、
・ガラケーからスマートフォンに変更する人の家に訪問して設定をする
・スマホやPCで困っている事に対して訪問して解決する
といったのが主な仕事になります。
因みに対象者としては9割が高齢者です。また、
これらは大手キャリアとかではなく、所謂「格安スマホ」と呼ばれる類のもので、そのいち企業の下請けを担当していました。

まず結論から言うと、業務内容が酷すぎた事と、
会社への信頼が無くなった事、自分の仕事に対する疑念が強く出て、
結果退職を選んだ、という事です。

私の記事を読んでいる方であればうすうす分かると思うのですが、
私は既に30代で正社員経験がなかったので、
ここでこんな理由で仕事やめんの?ってなると思います。

私も沢山考えました。それでもやっぱりやめた方がいい、
そう考えて辞める事を選びました。苦しかったですけど。

まず、私の仕事というのは、営業がとってきた仕事に対しての、
初期設定を担当する所謂”技術屋”と呼ばれる部分にあたります。
ですから、契約の内容であったり、その他自社製品に関しては、
全く知識がないですし、あったとしても勝手に対応すべきでない、
という所から対応が出来ないようになっていました。

そんな中、ここで私が言いたいのは「営業の仕事が酷い」という点です。
例えば営業は私達訪問員に「この客はこういう携帯もってて今回この携帯に乗り換えるんでこういう設定をお願いします、事前連絡はこの携帯にかけてください」みたいな感じで本来は連携されるべきものなのですが、
基本的に連携されるのは「事前連絡先」くらいなものです。

なので、誰が使う携帯で、現在の携帯がガラケーなのかスマホなのか、
そもそも携帯を持っているのか?電話番号を乗り換えるのか?
何台あるのか?という情報は一切ありません。書いてくれる方もいますが、
極々稀です。

更に言うと、私達訪問員が出来る作業は「電話帳」「写真」「LINE」の、
データ移行のみで、その他アプリ等に関しては、客が自分でやらなければならない、という点があるのですが、
営業が「全部移行できるんで大丈夫です!」といって契約を取ります。

なので、私が訪問し「その他アプリに関してはご自身で」と言った案内をしたときに、「は?」となる客がしばしばおられました。
勿論ここでキャンセルになった案件もありますし、物凄く怒られたり、
物凄くせがまれたりしたケースもちょいちょいあります。

説明すべき事を説明せずに契約をし、それらを連携せずに、
我々に仕事を押し付けてくるという事の酷さ。
ただ、これだけであればぶっちゃけ仕事をやめるまでには至りません。

問題はここからで、対応する客の中には、
「知らない間に契約になっていた」「ガラケーでいいのになくなるといわれたからあわてて契約した」「身体障がい者で携帯電話そのものも満足に扱えない人に契約を取っていた」
といったような案件が結構ありました。
身体障がい者に関しては1件だけでしたけれど、知らない間に契約になっていたとか、ガラケーで良かったのになくなるから替えなきゃいけないっていわれて契約した、というのは多かったです。

私がこの会社に就職する事を決めた最大の理由は、
「困っている人々に対して訪問する事で解決してあげられる事」
ここにありました。

しかし、実際に蓋を開けてみると、なんと酷い事かと。
契約者本人が契約内容を把握していない、契約した事すら分からない。
何か知らんがサービスですと譲り受けた等々、
ご自身が納得していない、或いは認識していない契約がとても多かったです。
私はそういった人々の家にお邪魔して使いもしないスマートフォンの、
設定をしなければならないのだと思うと本当に仕事が辛かったです。
仕事だからやらなければならないとはいえ、きついもんがあります。
正直辞めたいな、って感じたのはこういった案件で、
客から営業の手口を聞かされるようになってからでした。

それから、客の質の悪さもありました。
私達訪問員は客の決めた時間内に地図を見て、電車にのって、
或いはバスに乗って、歩いて、といった感じで行きます。
時々対応中に揉めて(営業と私の言う内容の食い違い)、
客自身が営業にすぐ電話をするケースもままあるのですが、
その開口一番が「今すぐきて」です。
人一人の家に行くにも凄く時間がかかっています。
別の仕事もありますし、私もアプリの件では色々言われましたし。
なんというか、本当に「いつでも使える便利屋」程度にしか、
扱われていないと思う事も多かったです。

いって早々に「はよやってや」とか「これもやってや」みたいに、
色々矢継ぎ早に言われたりとか、使い方のレッスンしても、
そんなん覚えきれんわ、の一点張りでメモも取らないような、
アプリの引継ぎに関しても「分からん」の一点張り。
やり方を教えても「それやったらやってくれや」になりますし。

なんというか色々と説明しにくいんですけど、
こんなにも「自分できちんとしよう」と思う人がいない事にびっくりですし、
引き継いでくれって言われて、じゃあIDとパスワードは?
ってきいても「知り合いにやってもらったから全然分からん何も分からんでもやってくれないと困る」みたいな人も結構います。
もう流石についていけない、って思いますけど、こういう人に限って、
対応そのものが長引くケースが多くて本当に嫌になりました。

困っている人を助けたいという気持ちで始めたこの仕事。
自分のやっている仕事の意味を見出せなくなっていました。

それから、委託先の会社と就職した会社の信用の出来なさ具合。
これは主にどちらかというと委託先になるんですけど、
もう本当に何の連携も取れてなくて、報連相もまともに出来ない会社。
そのくせ、要返信メールを送ってきたときなどは、
「ちゃんと返信しないと信用問題に関わる。こんな簡単な事も出来ないようでは業務継続は難しいよ」といった脅しをいちいち文末につけてくる。
これもほぼ毎回。返信がないと直接指導されるらしいです。

そして私は業務に必要な情報を連携して貰えなかったり、
この業務はやらないので研修しないです、といった内容の案件がしれっと入っていて「できるんでしょ?やってよ」といった感じでやらされたりとか、
同期と急にエリアをかえられて、同期が理由を聞いたら「全域認知の為、又はそのエリアに慣れて貰う為」というクソ程にもくだらない生産性のない話で、それすらも連絡してもらえなかったり(同じ市内でのエリアチェンジだったけれど、チェンジしない方がお互い距離が近い分良かった)
図にすると…

     1

A   

B    

     2

こういう感じで、Aはいつも1のエリアにいっていて、
Bはいつも2のエリアにいっていたんだけど、
これがそっくり入れ替わったので、
無駄に移動距離だけ伸びたみたいな、そういう感じ。
かえた理由も連絡しないし、やってもいない案件の説明もないし。
客の事前連絡先が当日に変更なった事の連携もなく、
結局訪問したらいなくて30分待っていったら帰ってて、
「携帯に電話するように連絡したんだけど」と言われたり。

当初予定のなかった他県への案件もずっと行かされたり。
でもそれに対しての説明も一切なかったし、手当も出ない。
片道1時間半~2時間かけて1日4件~5件こなしたりするんだけど、
月の交通費が6万位かかっていた。
どう考えても意味わからんので会社に話をしたら、
「まとめて資料にしてくれたらこっちも言えるから宜しく」
って言われた。なんで?交通費見れば明らかに頭おかしいの分かるでしょ。

仕方ないので資料にまとめて提出したけれど、
そもそもまとめている時に色々計算とかもしたら、
1日の総移動時間が6時間~8時間、1日平均交通費3000円位だった。
ちょっと意味わからない。


まぁそういうのが色々あって不信感しか募らなくなっていった。
実際にはもっと色々あるんだけれど、大きい所はこんなところ。
双方の会社が信用出来なくなってから、仕事に対する熱意も冷めて行った。
冒頭にも書いたように、30歳超えてやっと正社員になった身で、
こんな事でやめるのは勿体ない、と感じる方は多いと思う。
実際自分も「次を見つける事」を考えると、居座った方が幾分楽だっただろう、と思う。
研修制度も酷く、まともな研修を受けられないまま現場に一人でいかされ、
現地で覚えてこいスタンスだったりもする。
まぁこれに関してはなんというか、それでも仕事は出来るので問題ない、
といえば問題なかったけれど皆が皆そうじゃないし、
相手は使い方も全然わからない高齢者が多いんだから、
こういう所はしっかりとして訪問員の質はあげとかないといけないんじゃないのかな、ってちょっと思う所。

私は此処に就職した時、管理者候補として考えられていたので、
後から入ってくる子らの面倒を見たりしていたのだけれど、
皆とても有能だったり優しかったりするいいやつばっかりだった。
私はそんな子たちを研修してこんな仕事をさせるのが心底嫌だった。
いつも「この子たちはここをやめて一刻も早く違う仕事を探すべきだ」
そんな風に考えるようになった。

仕事に求めていたのは安定と業務の楽さ加減とか、
自分にできる仕事みたいなそういう所だけだったけれど、
ここに就職してから色々と学んだ気がする。

その上でやめるべきか否かを考えたりもしたけれど、
やっぱり私としてはここで続けるわけにはいかないと考えた。
これから何十年と共に仕事をしていくこの二つの会社を、
どうしようもない程に信用が出来なくなってしまっている状態で、
果たして今後もやっていけるのかと考えると、やっぱり私には無理だった。

色々と正社員や役職の方々はこの記事を見ると「そんな事で?」
とか思ったりするのかもしれない。

でも私は仕事をしていく中で最も重要なものは「人と信頼」だと感じています。
幾ら仕事内容が良くても、悪くても、給与が良くても悪くても、
結局は人と信頼がなければ何事も続かないし充実した人生は送れない、
そんな風に考えました。

これから仕事を探す人にも言いたいんですけど、
仕事をする中で「何を軸とするのか」をきちんと見極めていかないと、
私の様な人生を送る事になると思います。

自分は将来どうなっていたいのかとか、
その為には、雇用形態は拘る必要があるのかとか、
こういう仕事をした方が自分の将来に役立つだろうとか、
なんでもいいんですけど、色々考えてみてください。
そうするとその中で「軸になっているもの」が多分出てきます。
「安定を求めて正社員」というだけでは多分失敗しますし、
ここだけは絶対、という部分もあるでしょうけれど、
なぜそれは絶対に譲れないのか、とかもちゃんと考えてみて、
仕事を探したり、今やっている仕事にもう一度向き合ってみたり、

そういう所をやって貰えればな、って思います。
私はその結果、辞めようって結論に至った、それだけの話です。

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