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藤井風と日本語と英語

私は、藤井風さんの音楽が好きです。
歌詞が音楽に乗ってすぅーっと自分の中に入ってきて、無意識に背負っしまう精神的な重荷を降ろしてくれたり、素直で穏やかな気持ちにさせてくれたりします。


私が最近ハマっているのが、藤井風さんのMVを英語字幕をONにして見ることです。


例えば『きらり』では、同じ「さらり」という歌詞は

In the season of storms, two made it by oneself easily.
荒れ狂う季節の中を、二人は一人きり さらり
In the dawning sunset, at night in the early afternoon casually.
明け行く夕日の中を、今夜も昼下がり さらり
In the extreme weather, in a crazy crowd, with you I can go smoothly.
荒れ狂う季節の中も、群衆の中も、君とならば さらり

と訳されます。日本語の「さらり」という響きが持つニュアンスを、そしてもしこの英語字幕を藤井さんも監修しているとしたら彼が書いた「さらり」の意味を、こうして忠実に垣間見ることができるのです。


面白いと思いませんか。


一般に日本語はハイコンテクスト(行間を読む文化)、英語はローコンテクスト(説明する文化)と言われますが、その落差によってアーティストが歌詞に込めた意味を知ることができるのです。英語は基本的に、主語や目的語の省略を許しませんからね。笑

もしかしたら、英語は同じ単語を繰り返したくないという修辞の文化があるらしいので、そちらの方も関係しているのかもしれません。


藤井風さんの英語字幕MVは、私にとって解釈の答え合わせの場でもあります。

例えば、私が一番好きな曲『帰ろう』には、

あなたは弱音を吐いて
わたしは未練こぼして

という歌詞があります。私の拙い想像力では、これらは同義語で、「わたし」も「あなたも」同じように後悔をする、人間味があるという解釈をしていましたが、英訳を見るとそれは違いました。

「あなた」は、
You are worried about the future. (未来を気にしている)
「わたし」は、
I am still attached to the past. (まだ過去に執着している)

それは、未来に目を向ける人と、過去を引きずる人の対比でした。(たぶん)

藤井風さんが全て英語を書いていらっしゃるかは定かではないですが、
歌詞に込められた本当の意味を知ることで、彼の曲はさらに深みを増すものだと感じています。

また、日本語の奥ゆかしさと英語の素直さに楽しませられる感覚は、
言語習得のさらなる励みにもなります。


藤井風さんの曲や言語の面白さについて感じることが沢山あるので、また記事にしたいと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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