【感想】HAYAMI SAORI Tour 2023 "白と花束"


白と花束ツアー、配信で観たので感想殴り書き。
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早見沙織ライブの何が良いって聴かれたら、
やっぱり進化し続ける歌唱表現と、表情豊かなバンドサウンドって答えると思う。

今回のESCORTのオクターブ下げ、ヤバすぎん………????!?(noteの記事とは思えない語彙力)

しかし早見沙織のアーティストとして真髄は、そういった歌唱表現が全て「手段」でしかないと納得させられるような、テーマ性の深さにあると思う。
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今回のライブはまさしく、早見さんが2021年から掲げてるテーマ「孤独や生きづらさを感じてる人に寄り添い光となる音楽」の集大成といえるライブだった。

1曲目に演奏された早見さんの「はじまり」の曲『やさしい希望』は、前へ進む人が希望に向かう様子を描いた楽曲だが、「やさしい」も「希望」も抽象的な言葉で、そこにどんな風景を想像するか、余白が受け手に委ねられている。

故にセットリストの組み合わせで様々なテーマ性を表現するライブでは、この曲の意味合いも毎回変わってくるのだが、
今回は「garden」へと続き、自分の心の内側にある温かい光を最初に提示しているように感じた。

そして、ライブがどう続いていくかと言うと、
じゃあ光を感じてハッピーに盛りあがろう!といったものではなくて、
まるで「その光が深淵に届くまでの過程」を描くかのように、日常の中のさまざまな葛藤、まさに孤独や生きづらさが表現された楽曲が丁寧に歌い上げられていく。

(勿論、中にはyosoのように"何処にいても浮き足立つ"感情をオーディエンスの盛り上げで表現されたりして、ライブならではの多彩な楽しみ方が味わえる。)

最後は「Abyss」からの「はじまりの歌」

1曲目「やさしい希望」の歌い出し「はじまり」が、「Abyss」という"暗い海の底"に光が届くことで改めて表現される。
その構成に、早見さんの寄り添い方、置いてきぼりにしないやさしさを感じた。

ライブに向けて、Xでは早見さんが参加を迷ってる人の背中を押したり引っ張り上げる動画が公開されていたが、
ライブ中の早見さんは、立ち止まってる人に対して押すでも引くでもなく、
『その人が悩んで迷って、間違ってるかもしれないけど"自分の意思で"一歩踏み出そうとする……』
というプロセスに至る為に、暗闇まで光を届けに行く早見沙織さんだった。

全く押し付けがましさの無い、
暗い暗い底に差し込んだ、美しい光だ。

この構成だからこそ、最後が「Guide」なのは納得がいくし、強い説得力を持って歌詞が響く。
…具体的なことを書くのは、もはや野暮かな。

早見沙織さん、勇気をありがとう。
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最後に少し自分の話。

これまで地方公演はもちろん、海外のフェスまで全ての早見沙織ライブを観てきた僕が今回のツアーに参加しなかったのは、(1番の理由は生活の変化のタイミングだったからだけど)
アルバムを聴いた段階で「配信で観ればいいかな〜」と感じたからだ。

配信を観た後も、それは大きく変わっていないが、(yosoは生で味わいた過ぎて自宅で横転したが………)
一つだけハッキリと変わったことがあって。

シンプルに今の自分の"ライブに対する趣味思考"だけが原因でそう感じたんじゃなくて、
「配信でいい」と思う感情は、むしろ"称賛"なんだな、と、思うようになったのだ。

コロナ禍で自分を見つめ直した結果、2021年からは「孤独や生きづらさを感じてる人に寄り添い光となる音楽」というテーマを掲げ、
ライブが出来ない時期もずっと自分の音楽を探究し続けた早見さん。

声出しライブが戻ってきたからといってそれまでの全てを無かったことにするんじゃなくて、
見つけた表現を丁寧に、しっかりと引き継いで今回のライブに落とし込んだからテーマ性の高い素晴らしいライブが出来たんだと思う。

だから、配信ライブしかできなかった頃と同じ感覚で、配信で満足できると思った、実際に満足のいくライブをやりきってくれた早見沙織さんを心から称える言葉として、
配信すごく良かった!ありがとう!と言いたい。

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ただまぁ、ファンとして、ライブを愛するものとしてはやっぱり現地で見てこそ!と思うので、
次のオーケストラコンサートは現地で観ようと思います。(チケット申し込み済み)

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