コンプレックスから逃げない
『漂砂のうたう(木内昇)』という小説を読んだ。
おおまかに内容を説明すると、時代は明治。明治維新という近代化の波が押し寄せると、今までの身分制度は雪崩が起こるように崩れ、武士という身分は、突如なくなる。主人公である定九郎は元武士。現在は遊郭の立番に身を落として、おのれの行く末も見えないまま、ぼんやりと生きている。
と、まぁこんな感じ。
定九郎は、とにかく「武士」という身分を嫌っているのだけど、それは出来のいい兄と常に比べられた過去によるもの。比べられるというのは、まぁし