弁理士試験 体験記

こんにちは、へいです。
久しぶりのnoteの更新です。令和5年の弁理士試験に合格したので、自己の振り返りを兼ねつつ、試験勉強の方法や学習の進め方、一発合格を狙うために行っていたこと等を記載していきたいと思います。思いの丈を述べていたら思いのほか長くなってしまったのですが、これから弁理士試験の受験を考えている方の一助になればと思います。

一発で合格する人もいれば4,5年かかっている人もいる試験、どうすれば最短で合格できるのか、可能な限り情報を集め、一発合格者の真似をしながら学習を進めてきました。私はなんとしても一発合格したいと考えていましたので、一発合格できる確率を高め、一発合格をより確からしくするためにかなりの時間を勉強に費やしました。終わってみるとここまでやらなくても合格できたのかな?とも思いますので、これが正攻法なのかと言われると賛否あるところだと思いますが、どのくらいやれば達成できるのかという一つの指標にしていただければと思います。


1. 弁理士試験について

弁理士とはざっくり言うと知的財産権に関する業務を行うための国家資格です。弁理士の方は特許事務所や法律事務所で働いている方もいれば企業の知財部で働いている方もいます。難関の国家資格とも言われ、公認会計士と肩を並べるとか並べないとか。試験は三次試験まであり、合格率は5%前後であると言われています。

一次試験は5月下旬に行われます。短答式筆記試験であり、いわゆるマークシートによる試験になりますが、5肢択一の問題が60問あります。特許・実用新案20問、意匠10問、商標10問、条約10問、著作権・不正競争防止法10問の計60点満点で、各科目において4割未満が足切りになりますが、39点が合格点です。ここ数年の合格率は10〜15%ぐらいとなっています。

二次試験は一次試験に合格した方を対象に7月上旬に行われます。一次試験に合格するとその年の二次試験に落ちてもあと2年は一次試験が免除されるため、前年に論文に合格できなかった方も受けることができます。論文式筆記試験で行われ、必須科目は特許・実用新案100点×2問、意匠100点、商標100点であり、それぞれの科目で47点未満を足切りとし、3科目の平均が54点が合格点となっています。試験は相対評価であり、受験者の上から25%が通過することになりますので、およそ4人に1人が合格となります。

なお、論文試験には上記の必須科目の他に選択科目がありますが、選択科目については私は受験していないため、この記事では説明は省略いたします。修士・博士課程を修了していると選択科目は免除されます。免除については特許庁のホームページに申請方法などが詳しく記載されているので、そちらをご確認ください。

三次試験は10月下旬、二次試験の合格者を対象に行われます。口述試験となり、面接のような形式で特許・実用新案、意匠、商標について質問に口頭で答える試験となっています。3科目のうち、2科目において全ての問題に回答できれば合格とされています。1科目は落としてもいいとされていますが、2科目において最後まで辿り着けなくても合格されている方もいるという話も聞くので、あくまで目安なのかもしれません。合格率は最近は90%を超えておりますが、以前は80%ほどの時代もありました。最近は短答試験が難化しており、それにより優秀な受験生が三次試験に到達するため、合格率が高くなっているという噂話を聞いたことがあります。

ここ数年の弁理士試験は3500人ほどが受験し、最終合格者は200人を切っています。弁理士試験の合格率が5%ほどであるのは、これだけ受験者の母数が大きいからだと思います。とはいえ昔は8000人ほど受験していたと聞きますので、合格者も減っていますが受験者もかなり減っていると思います。

ここ数年の合格者は200人を切っていますが、そのうち一発合格者の割合は10〜15%で、毎年20〜30人です。試験に通過するだけでも難しいので、一発合格は狭き門のようにも見えますが、一発合格を目指して学習を計画的に行えば十分達成できる目標ではないかと思います。

私の本試験の成績は、口述試験の成績が分かりませんが、短答試験は48点、論文試験は65.2点でした。短答試験は50点を目標にやっていたので少し物足りない感じでしたが、一回の受験で一発合格を狙うには十分な点数が取れましたし、論文試験も54点が合格点であるので、かなり余裕をもって通過できたと思います。予備校の講義のおかげでもあると思いますし、一年間で短期間で短答と論文の両方を仕上げるという目標をもってその対策をしてきたからだと思います。

2. 予備校について

難関資格にどうやって立ち向かうのか。いろんなやり方があると思いますが、ここでは私の経験から予備校や講義の選び方などをご紹介できたらと思います。私自身、弁理士に合格された知り合いにいろいろヒアリングして予備校を選んだり試験までの計画を立てたりしました。以前の会社でお世話になった先輩二人が直近で一発合格されており、そのせいで私もやれば一発合格できると勝手に思い込んでおりました(笑)

法律の初学者が弁理士試験を独学で合格するのは至難の業だと思います。体系的にまとまった弁理士試験用の参考書が書店に置いているわけではなく、また、多くの受験生が理系の出身者であって、法律を学ぶことは初めてであると思います。法律を初めて学ぶ方で、働きながら自ら専門書を読み進めて合格できるのはごく限られた方だけなのかなと思います。

そのため、多くの合格者の方は予備校を使って勉強しています。有名どころはLECかTAC、資格スクエアあたりでしょうか。私は先輩や友人がLECを推していたこともあり、また、受講者の多いLECだったら間違いないだろうと考えてLECにしました。論文試験は相対評価となるため、受験生の中で多数を占めるLECの受験生が解ける問題を落とすことはダメージが大きいと聞いたことがあります。他の予備校の事情が分からないのですが、ここではLECのことを記載するようにします。

LECには専任講師がたくさんいらっしゃいます。そしてそれぞれの先生にカラーがあるので、自分と合う先生を探すことはとても重要だと思います。どの先生が好みなのかは人により変わるはずなので、LECのホームページで模擬授業の動画を見るなどして決めるとよいと思います。合わない先生のもとでは投資した額に見合った最大限の学びが得られない可能性もあるので慎重に選ぶべきだと思います。

あと可能な方は通学することをオススメします。最近はオンラインも普及しており、遠方の方でも通信講座として受けることができますが、いつでもウェブで受けられる、といった感じで怠けてしまう人も一定数いるように思います。はい、私です(笑)通学は勉強のペースメーカーになるので、近くに予備校があって通える方はぜひ通学をオススメします。

私の通っていたクラスでは、授業が開講してすぐの5月の時点で40〜50人ぐらいの受講者が教室に来ていたように思いますが、9月頃には3分の2ぐらいに人が減り、1月頃には教室に来る人は3分の1まで減りました。LECの方曰く、毎年こんな感じのようで、来なくなった方がオンラインに切り替えて勉強しているのかは定かではないようですが、オンライン授業がなかった頃から同じ傾向にあるようで、実質的には開講して1年経つ前に3分の2の人が勉強が続けられずドロップしているような状態なんだろうと想像しています。それほどに過酷な試験であることは間違いないのかもしれません。

LECは予備校の中でも一番受講料が高いです(笑)正直、合格するかどうかも分からない合格率5%の試験に、40〜50万を払えるかと言われると躊躇する人が多いだろうと思います。私の場合は背に腹はかえられぬ状態に追い込むため、申し込んだからには必ず一発で終わらせる、そしてこれ以上予備校にお金を払いたくないという気持ちが勉強の原動力になるよう、LECの費用は惜しみなく払いました(笑)

LECは早割があり、冬の間にベーシックコースなどを申し込んでおけば8〜10万円ほど割引があります。これは利用しない手はありません。また、費用面で言えば、教育訓練給付制度の申請すればいくらかお金が還元されます。私は支払った金額のうち、6万円ぐらい返ってきたと思います。

LECの基本的な講義だけで一発合格される方もいらっしゃいますので、それだけLECの授業は充実していると思いますが、私はLゼミという論文試験の対策に特化したゼミも並行して受講しました。短答試験の勉強に加えてゼミを受講するのは時間の余裕がなくなり、かなりきつかったです。ただ、3つの試験のうち、一番通過が難しいのは論文試験なのかなというのが個人的に感じたところです。なので、一発合格に向けて万全を期すということでLゼミも受けてよかったと感じています。講師の先生との相性もあるかもしれませんが、好みの先生を見つけたらLゼミは受けたらどうかと思います。

肝心のお金の話を先にしておくと、私はゼミや模試、細かな講義なども追加で受講してLECに対して70万円ほど受講料を支払いました。そのうち、6万円は上記の職業訓練の給付金として還付され、また、論文試験や口述試験の再現答案、合格体験記などをLECに提出することで5万円ほどお金が振り込まれました。大きな声では言えませんが使い終わったテキストや過去問なども処理すればもう少し還元されるのではないかと思います。

3. LECの講義について

LECの講義にもいろいろなものがありますが、ここでは受けてよかったオススメの講義や答練をいくつかご紹介いたします。LECの講義については専任講師ごとに特色があるので、自分に合った先生を見つけて受講すれば、きちんとした実力がつくものと思います。

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