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アレッサンドロ・マトリという男

おはようございます。アッレグリのことは信じてる。ヘルシア緑茶くらいにね、な店長です。
さて、大好評スーパースターじゃない列伝の第4回でございます。今回のテーマは『コンテ式を担ったストライカー』です。
https://twitter.com/hightail7788/status/1562029476145270787?t=UYo47VTybfmKmzaym952Cg&s=19

Twitterアンケートを募集したところ、まさかのぶっちぎり1位を獲得した『お値段以上』の漢、マトリにスポットライトを当ててみましょう!

1984年、ロンバルディア州生まれのミラン・プリマベーラ育ちという、どこかのゆとり小僧を連想させる生い立ちはやはりユーベでの存在感を似たようなものにさせているのでしょうか。

ミランでのトップ定着は果たせずローン街道の末辿り着いたカリアリで、アッレグリの薫陶を受けたマトリは、2010-2011シーズンの前半戦だけで11ゴールを決める大活躍を見せて、冬の移籍市場最終日にユーベに引き抜かれました。
そして加入後のシーズン後半戦も9ゴールを挙げて計20ゴール。結果的にはこれが彼のキャリアハイとなったようですね。
翌11-12シーズンはヴチニッチとのツートップで10ゴールを挙げ、ここから始まる9連覇に貢献します。
12-13シーズンもほぼレギュラーとして出場するもゴール数は8。結果だけ見るとあまりパッとしませんが、彼のユーベでのハイライトはこのシーズン、フィオレンティーナ戦で生まれました。

前半40分過ぎ、ペナルティエリア内でディフェンスと競り合ったマトリは、右足のスパイクが脱げてしまいました。
慌てて履き直そうとするも、そうしている最中にビダルから絶妙のラストパスが…
そのまま右足を振り抜いたマトリは、裸足でゴールを決めるという実に月ユベ好みの珍プレーを見せますが、当時ロンドン長期出張中の編集長の目に触れることもなく、まったくイジられず。
結局このシーズンを最後に古巣ミランへとドナドナされていきました。切ない。

ミランに戻り、9番を背負うもまったく鳴かず飛ばず。ミランの9番の呪いの譜系に名を連ね、その後はフィオレンティーナ、ジェノアとさすらいの旅が続きます。
が、14-15シーズン、ジョビンコのトロント移籍に伴い、またも冬の移籍市場最終日に電撃的にユーベに復帰。
テベス、モラタ、ジョレンテの影に隠れなかなか出場機会すら得られず夏の放出は既定路線と思われました。

そんなマトリのユーベでの真のハイライトは2015年5月20日。スタディオ・オリンピコで行われたラツィオとのコパ・イタリア決勝。
先制されるもキエッリーニのゴールで追いつく一進一退の攻防が続く後半、ジョレンテとの交代で投入されたマトリは、ピルロからのタッチダウンパスを受けてディフェンスラインの裏へ抜け出し、右足で押し込むもオフサイド。試合は1-1のまま延長に突入しますが、その延長でまたもVTRのようにピルロからのタッチダウンパスでディフェンスの裏に抜け出したマトリ、今度はテベスにボールを落とすもテベスのシュートはディフェンスがブロック。そのディフレクションを今度こそ決めきったマトリは、ユーベに20年ぶり10度目のコパタイトルをもたらしたのでした。

一瞬の煌めきを残してまたもユーベを後にしたマトリは、その後ミラン、ラツィオ、サッスオーロ、ブレシアと渡り歩き、2020年、静かにスパイクを壁にかけました。

大きな活躍を見せたわけではないにも関わらず、このさすらいのストライカーが今もユベンティーニの記憶に残り続けているのはこうした印象的なシーンによるものではないのかなと、そんなことを思います。
現在はイタリアDAZNの解説者を務めているようですね。幸あれ。


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