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一之輔チャンネル(下)

第六夜 らくだ

六日目。後半戦開始。麒麟がくる、を強烈に意識している。向こうが麒麟ならこっちはらくだだ。
一之輔のらくだ。これもド定番と言っていいでしょう。これだけ登場人物の多い話を巧みに軽快に演じわけるのが爽快。これだけよく聴く話だとどこで暴走し始めるのかな…とそんなことが見所になっている。勧められるままに盃を重ねていくくず屋。だんだん顔が赤くなっていくような気がしてくるから不思議だ。酔っていく過程をこれだけ細やかに表現できるのは酒が好きなんだろうなあ。意外なことに?ごくごくオーソドックスにらくだを演じきった。とにかく酔っぱらいの描写がスゴいわ。

第七夜 笠碁

七日目。枕でお父さんの悲哀を延々と語る。超わかるそしてサザエさんを語る。バカだなぁ。4/29、まさかの入門記念日しかも20周年ということで弟子入りしたときのことを語る。スゲえな。やっぱり特殊な世界なんだな。
んで、笠碁。老人たちの友情物語なんだけど、この人に語らせると老人たちの恋物語になる。前半の痴話喧嘩感。もう、恋人か!としかツッコミようがない。細かいエピソードが二人の関係を見事に肉付けしている。
恋焦がれる二人のディテールをこれでもかと描く。そして邂逅のとき。光が刺すのが見えるくらい。じじいの恋物語。表現力(顔)が半端ない。お見事でした!

第八夜 鰻の幇間

八日目。若草色の着物が春っぽいね。枕の話題がチンアナゴ。穴子からの鰻ってこと?
オーソドックスなまでに間抜けな太鼓持ち。今日は外さない、脱線しない。ところどころ小ネタは放り込むものの八日目にして初めてきちんとやってる。と、思わせておいて終盤の女将に説教をする場面で爆発。放り込むわ放り込むわ。対面に女将のひょうげた姿が目に映るようでお見事。腕を見せてもらったなあ、という夜でした。マヨネーズは薬味ではありません!

第九夜 お見立て

九日目。グダグタグダグタとおとぎ話を語る。もうこのおとぎ話やって今日は終わるんじゃないか?くらいに語る。田舎訛りの強い猿蟹合戦から訛り繋がりでの?お見立て突入。百川の百兵衛もそうだったけど、田舎者の訛りがホントにうまい。元々こういうキャラなのかは疑問だし多分この人独自のアレンジなんだろうなあ。そして喜助のツッコミの鋭いこと。杢兵衛と喜助の漫才のようにポンポン進んでいく小気味いい話。

千秋楽 花見の仇討

十日目。今日はいつものらくごcafeからではなく鈴本演芸場から。この企画を始めたのは多くの人に落語を聴いてもらうきっかけになればというお話。そうそう、じゃあコロナ収束したら寄席行ってみようか、ってならないとね。
最終日のネタは花見の仇討。鉄板ですね、十八番。ちょっと前のNHKの番組でも取り上げてたやつ。
内容については今更言うことはなく、THE一之輔の落語という安心感。熱演。息を切らせてこれでおしまい。お疲れさまでした!

10日間、駆け抜けるように観てきましたけど、不要不急、確かにその通りなんだけど、娯楽がないと人は生きていけないなと痛感させられるし、こういう機会を与えてくれるのはホントにありがたい。恩返しができるとしたらとにかく現場に足を運ぶとか、お気に入りの落語家さんの音源を買い求めるとかそういうことだろうなと思います。投げ銭よりもそっちのほうがいいんじゃないかなと個人的には感じました。

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