一生の宝物
亜季と珠子は、廃校のグランドをソフトテニスのコートにしようと、草毟りを始めた。体育館に有った万国旗をネット代わりにして、コートもどきを作り練習を始める。
それを見守っていた村の仙人こと八重婆が声を上げ、村長にまで談判する。やがて、亜季と珠子の情熱に突き動かされた大人たちが、コート作りを手伝うようになる。そして、少女たちだけでは決して成し得なかった、本格的なソフトテニスのコートが完成した。
「努力は必ず報われる」真っ赤な嘘である。
世の中を生きて来た大人たちは、それを痛いほど実感している筈だ。
しかし、努力と情熱が人を突き動かし、どデカイ事を成し遂げる事もある。
今の亜季と珠子には、『楽しい思い出』が“宝物”と思えるかも知れないが、中学三年生の夏に経験した奇跡こそが、本当の“宝物”だと、いずれ気付くことだろう。
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