【ハイレベルハイエンドギター】Sugi Rainmakerの魅力とは

 今日は僕のメインギター、Sugi Rainmakerについて書こうと思う。
 Sugi Guitarsは杉本眞氏によって設立されたハイエンドギターメーカーである。米国のギターメーカーのみならず日本ではフジゲンでキャリアを積んだ氏は指折りの技術者としてその名を世界に轟かせている。消費者や販売店などの発注元ではなく、技術者自身の意図を製品に乗せたいという想いの下、「工場発信」のギターメーカーを設立することを決意。生産台数を絞り品質を極限まで高めたギターは一流ギタリストの多くも愛用する知る人ぞ知る名器ばかりである。その拘りは「30年後、40年後に『ヴィンテージ』と呼ばれるギターを作る」と言う理念に集約される。現在既にあるヴィンテージ・ギターではなく、製品それ自体が将来そのブランドを創っていくようなオリジナリティの高いギターを作ることに重きを置いている。
 さて、そんなSugi Guitarsが2010年台初頭に製作したRainMakerが僕の現在(も多分これからも)使用しているギターである。レインメーカーについては公式サイトでは以下のような説明がある。

「『Sugi Guitars』のRMG(Rainmaker Guitar)のコンセプトや仕様は、Sugi Guitarsマスタービスルダーの杉本氏を中心に日本で考えられておりますが、基本生産は、杉本氏の長年の盟友でもあるビルダー、ティム・ウィルソン氏(ex Jackson Guitars)の工房によって製作されているUSAメイドのギターとなります。設計&デザインの緻密さと、日本製のSugiとは一味違う良い意味での『荒っぽさ』を兼ね備えた、『フロントマンギターの決定版』とも言えるギターです。」(Sugi公式サイトより引用 https://www.musicland.co.jp/content/sugi-guitars/bbb-hibiya-nonfiction-4-report/)

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 日本国内でアイデアを得た後アメリカで生産された異色のギターであるレインメーカーは僕にとって、とにかく「弾いていて飽きない音色」を出してくれる。僕はバンドを始めた時からギターボーカルをやっていたので、歌いながら弾くことが前提となるフレーズを弾くことが多く、単音弾きよりコードストロークやカッティングがプレイの多くを占めていた。これは今も変わらない。この場合、僕ら世代の”音楽好き“は「んなら、テレキャスターを使えばいいじゃん。」と言うだろう。しかし、テレキャスターの音色は僕の思い描くバッキングフレーズに合致しないように思えた。僕自身テレキャスターの音色はとても好きだ。煌びやかな高音に乾いたソリッド感のあるサウンドが魅力である。しかし、特に歪んだ時のそれは「永遠に聴いていたい」と思わせる程の力はない。少なくとも僕にとっては。テレキャスを歪ませると非常に粒立ちの粗いサウンドになる。これは特徴であり特長でもあるが、私には少々“下品”なサウンドに感じ取れることも多々あるのである。カッティングをすると粗漉しなサウンドが鳴る。これはギターが鳴らすコード感をかなり削ぎ落としてしまっている。そしてこれらの欠点はアンサンブルにも大きな影響をもたらすと考えられた。バンドサウンドの中でこの音が悪目立ちしてしまうのではないかと言う懸念があったのである。
 レインメーカーはそれらの欠点を全て補った極上のギターである。まず、生での出音が他のエレキギターとは格段に違う。セミアコを思わせるほどに個体が鳴り、弦を爪弾くとネックとボディまでも音を鳴らしてくれる。その証拠に弦の振動を止めてもそれらの音は鳴り続けている。また、アンプに繋ぐとそのサウンドは良い意味で非常にウェットであることがわかる。全ての音域がアンプの音量を上げなくても豊かに響くので単純なコードストロークの音色が非常に心地よいのである。まさに「永遠に聴いていたい音」が鳴っている。歪ませても音色は上品さを失わず、カッティングにおいてもパーカッシブルさの裏にしっかりとしたコード感を残してくれるRainmakerは余計なことをしないギターであると言えるだろう。Base Ball Bearの小出裕介氏は

「自分の好きなギターは『余計なことをしないギター』、言い換えれば、『1で弾いたものを1で出す』ことをしてくれるギターです。最近のギターやアンプは『1』を『1.2』や、物によっては『1.5』などにして出すものが多いように思います。これが良いという人もいるとは思いますが、僕としてはやっていないことをやられるのが邪魔で仕方ないんです。頼んでいないサービスというか、手の中でコントロールしている様々なニュアンスや抑揚以上のこと、つまり、鳴らしていること以上のことを鳴らされても困るんです。そういった意味では、Rainmakerは何もしてくれませんが、『1』を『純然たる1』として鳴らしてくれます。それだけでとても信頼出来る奴なんです。」(引用同上)

と語る。しかし手で鳴らした音をそのままに表現する個体であるが故、プレイヤーの技術がモロに露呈してしまうギターであるとも言えるだろう。単純なコードストロークでさえ弦の押さえが甘かったり、もしくは強すぎたりするとなんとも力の無いフニャフニャなサウンドになってしまう。カッティングにしても少しでもミュートが甘いと鳴らしてはいけない音までも“豊かに”響いてしまう。また、“鳴り”に影響するのは何も左手だけではない。ストロークする右手の角度やブラッシングの強度にバラツキがあればその分サウンドにも影響を及ぼす。単純なコードバッキングでさえかなりの気を遣った演奏が求められる非常に難易度の高い、いや、正直な性格をしたギターである。

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 身分不相応なギターであるかもしれないが、このギターを手にしたからこそ僕の音楽に対するモチベーションがは今まで以上に高まった。このギターで滞りなく素晴らしいサウンドを鳴らすことができるように、僕自身今まで以上の練習を繰り返し腕を磨いていきたい。目標はCHICの楽曲にあるようなカッティングフレーズを24時間弾き続けることかな。

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