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誰でもできる「危ない会社の見分け方」事例(3) ―山手食品取り込み詐欺事件?-

1.取り込み詐欺事件?の概要
 株式会社山手食品については、次の通り「詐欺ではないか?」というNETでの書き込みが多数ある。

>>これが取り込み詐欺の実態だ! ( 法学 ) - 浅井長政系十八代目当主が綴る ...blogs.yahoo.co.jp/magojimu/9909039.html - キャッシュ
    これが取り込み詐欺の実態だ! ... 限りなく詐欺に近いと思っていますが、100%詐欺であるとは言えない事も申し添えておきます。 ..... shinさん山手食品と同じ系列のパクリ屋で川崎のグローイングという所に取り込み詐欺にあいました。

>>取り込め詐欺、横行してます – 日々の暮らし舎mmotokisuda.wordpress.com/.../取り込め詐欺、横行して... - キャッシュ
   取り込み詐欺に危うく取り込まれるところでした。 今週頭、東京の株式会社山手食品 http://yamate-food.com/ と言う食品卸の会社からお米の問い合わせがあり、何度かやり取りする中で米30kg120袋および来期の新米をトン単位で契約したい ...

>>日鶏協速報 平成 27 年7月2日 一般社団法人 日本養鶏協会
日速 150701- 1 -
 取込詐欺にご用心(4) 3 月と 4 月の日鶏協速報で(株)ダヴィンチ21、山手食品、(株)ノヤマなど の会社が、当協会会員等に対して取込詐欺を行ったことを報告しました。 その後、一時的には取込詐欺活動が下火になった様に見受けられました。 とこ ろが最近になり、当協会ホームページに掲載してある以前の「取込詐欺にご用 心」を見て、地方の方(A さん)から連絡がありました。

>>取り込み詐欺の被害 - livedoor Blogblog.livedoor.jp/okomesagi/lite/archives/.../9169259/?p=3 - キャッシュ 
 お米の取り込み詐欺被害. 2013/07/31 ... その会社を詐欺集団が乗っ取って社名を変えて取り込みを開始した背景があります。 ..... 今週月曜日に北区浮島にある株式会社山手食品という会社からお米の取引をしたいという電話がありました。

>>一般社団法人全国農業青年経営会 - 取り込め詐欺の手口は、取引後資金 ...ja-jp.facebook.com/.../...
 取り込め詐欺の手口は、取引後資金不足を理由に自己破産手続き中との文書を出して生産者に諦めさせることを狙った詐欺です。 去年から同じような詐欺の ... とにかく「株式会社山手食品 代表取締役 木村栄」にはご注意ください。

>>今週頭、東京の株式会社山手食品http://yamate-food.com/ と言う食品卸の会社からお米の問い合わせがあり、何度かやり取りする中で米30kg120袋および来期の新米をトン単位で ... この取り込み詐欺は「払う意思が無いにもかかわらず発注した」ことを立証しないと立件できません。 .... といけない情報発信5つのポイント・その4:信用は知らないうちに落としてる · 指定管理運営 株式会社山の暮らし舎. 2018/05/21

 他にも多数の書き込みがあり、その筋では有名銘柄と言える。しかし、詐欺として立証されず、逮捕者も出ていない。よって、本サイトでは商業登記によって、当社の抱える潜在的なリスクを検証する。

2.商業登記によるリスクの把握
  株式会社山手食品の商業登記を整理すると上掲図の通りになる。

(1)関連性のない社名への変更
 社名を変更する場合、事業、営業、顧客・取引先の継承を考えると、前商号と全く異なる社名にはせず、何らかの関連性を持つのが通常である。よって、全く関連性のない社名への変更は、事業が継承されていないことが多い。
 当社は、2度商号変更を行っているが、何れも全く関連性のない社名に変更しており、事業としての継続性はないものと見られる。

(2)短期間の社名変更
 商号変更は、顧客・取引先の案内や、名刺・封筒・銀行口座の変更など、多大な業務負担になることから、余程の事情がない限り行わないのが普通である。よって短期間での商号変更は、社名を変更しなければならない何らかの重大な事情があるものと推察される。
 当社の1回目の商号変更は、設立から10か月後で超短期に行われている。2回目の変更は10年6か月後で、短期間とは言えないが、H19.4.1~H26.5.29の7年3か月間は休眠していたものと見られ、実質は短期間の変更である。

(3)短期間の煩雑な本社移転
 一般的に本社移転は、取引先や取引銀行、諸官庁などへの変更連絡・届けなど、業務負担が重く、特段の事情や目的がない限り行わないのが普通である。よって短期間の煩雑な本社移転は、本社を移転しなければならない、その場所から逃れなければならない何らかの重大な事情があるものと推察される。
 当社の本社所在地と期間は、豊島区東池袋(10か月)、新宿区西新宿(1年4か月)であり、極めて短期間で移動している。豊島区南大塚は9年2か月と長いが、H19.4.1~H26.5.29の7年2か月間は代表者及び取締役が不在であり、休眠していたものと見られ、実質2年間でしかない。

(4)事業目的の全項目変更
 休眠会社の商業登記を買収した場合、古い会社の事業目的を全て削除し、全く新しい事業目的に変更することがある。
 当社の場合、当初の「羅漢果等果物製造・加工・販売・輸出入」を主業としていたが、H26.5.30全面的に削除し、全く新しい事業目禎「生鮮食品・加工食品・冷凍食品卸販売」に変更している。

(5)関連性のない、営んでいない事業目的
 事業目的の登記は、実際にその事業を営んでいる必要性はなく、全く自由である。このため、営んでいない事業が多数掲載されていたり、逆に営んでいる事業が掲載されていないこともある。概して、詐欺会社は、金になることは何にでも手が出せるよう、手当たり次第に、様々な事業目的を登記することが多々ある。
 当社の事業目的の変更は4回と多いが、H18.1.12~H26.1.12における変更は「葬儀業」の追加、削除を繰り返してのものであり、本業とは全く関連性のない事業目的に拘ることの意味・目的が不可解である。

(6)煩雑な役員変更
 一般的に、代表者の変更は、取引銀行や得意先・取引先への変更手続きなど多大な手間がかかることから、余程の事情がない限り行わないのが普通である。よって煩雑な役員変更は、社員を交代で役員に就任させることによって仲間・参加意識を高めたり、逆に傀儡の役員を就任させて、責任を回避するのに利用されることがある。
 当社の代表者は、加藤修二氏(10か月)、小林昌人氏(3年4か月)と短期間で、煩雑に行われている。しかも、その都度、社名、本社所在地、事業目的、取締役、監査役を全面的に変更していることから、休眠会社を継承したことが明白である。ただし、当社の場合、CARNA時代の監査役、福島和生氏はH15.6.30に辞任しながら、メルヴェイユ時代のH17.3.31に再び就任している。また小林昌人氏はメルヴェイユ時代のH19.3.31に代表者を辞任するも、H26.5.30山手食品の取締役に就任している。これは事業及び会社はなんらかの事情によって休眠しながらも、当時のメンバーが残り、その後事業を再開したものと見られる。

(7)役員不在の時期
 会社成立の要件として役員が必要であり、通常役員不在の時期があることは考えられない。しかし、当社の場合、役員の就任・退任年月日を追ってゆくと、H19.4.1~H26.5.29の間は代表取締役および取締役が不在。H15.7.1~H17.2.28とH21.4.1~H26.4.30の間は監査役が不在となっている。この役員不在期間は休眠状態にあったのが明白である。

(8)登記日の大きなヅレ
 通常、役員の就任日と登記日、または退任日とその登記日は近接しているものである。しかし当社の場合、小林昌人氏・桑山伸行氏・山本吾一氏・松本俊介氏が退任日H19.3.31、登記日H26.12.11と実に7年9か月もずれている。福島和生氏が就任日H21.3.31、登記日H26.12.1で、5年9か月のずれ。木村栄氏・小林正仁氏・山田明氏・永沢一氏は就任日H26.5.30、登記日H26.12.11で7か月ずれている。事業の停止、休眠によって登記を放置していたものを、再び稼働した時、つじつま合わせに過去をまとめて登記したことから、このような事態になったものと見られる。

 以上、当社の商業登記には、一般の企業では通常考えられない不可解な点が8つも確認され、多くのリスクを内在しているのが明確と判断される。

                                                                                                              以上
注:本稿は2019.3作成したものです。

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