「パクリ屋」を撲滅する方法

 本サイトでは、「パクリ屋による取り込み詐欺事件の事例」及び「パクリ屋の見分け方」について掲載し、かつ「何故 取り込み詐欺事件がなくならないのか?」その理由を考察してきた。
 その結果、「現在の社会・法制度はパクリ屋の存在を認め、守っている」とさえ思わせる実態が明確になった。
 個別企業の与信管理のみに任せていては、パクリ屋はなくならず、このままでは業容が小規模で与信管理が十分にできない、売上の確保に汲々としている企業、主に中小・零細企業が被害を受け続けることを容認することになりかねない。明らかにパクリ屋は経済・社会の健全な維持・発展を阻害しており、本来排除されなければならない。
 本稿は、パクリ屋を撲滅する方法を考察・提案する。

1.逮捕しやすくする
 詐欺罪の成立要件を変更し、欺罔行為の証明を簡単にする。
2.過去の登記(閉鎖登記)を入手しやすくする
 商業登記(現在事項)に閉鎖登記(管轄外法務局分を含む)をリンクさせ、簡単に過去の変更事項がわかるようにする。
3.前科を調べやすくする
 再犯性が高く、模倣しやすい詐欺事件について、前科者のデータベースを作成し、公開、誰でも検索できるようにする。

 以上3点の1つでも実行できれば、パクリ屋は劇的になくなるものと思われる。
しかし、
「1」には、法的解釈の変更または刑法の改正が必要である。
「2」には、登記情報システムの改修、その決定及び費用の調達が必要となる。
「3」には、社会の理解、法的解釈の変更、個人情報保護法の改正が必要になる。
よって、これらの実現にあっては、極めて難しい難問が立ちはだかっており、社会的な必要性の訴求、万全の理論武装、強力な推進母体が必要であり、実現性はかなり低いと判断される。

筆者は、より実現可能性の高い方法として、「債務不履行DBの構築」を提案する。

4.債務不履行DBの構築
 債務不履行を受けた債権者は、その内容(年月日、金額、商品、債務者名・所在地・代表者名・担当者名、取引状況、データ登録者名)を登録し、データベースを構築する。商取引を行う者は誰でも(事前に、社名・所在地・代表者名等の利用者登録が必要)、不安に思う取引先があった場合、過去に債務不履行の事件を起こしていないか、チェックができるようにする。登録データの増加によって精度が高まり、被害の回避に役立つものと思われる。
 債務不履行の実績は欺罔行為を証明する証拠となり、パクリ屋の検挙率を高め、犯罪発生の防止に効果を発揮するものと思われる。また犯罪性のある詐欺だけでなく、通常の(正しい?)債務不履行に対しても抑制力の効果が期待できる。
 なお、本件についても、社会の理解、法的解釈の変更、個人情報保護法の対応だけでなく、ガセネタや嫌がらせ、未確定なデータの登録、あらしなど、データベースの信頼性を確保するため対応が求められ、十分な検討、理論武装、強力な推進母体、責任ある管理体制が必要なのは言うまでもない。

以上


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