Inked乙女の聖典サムネその9

おじやこぼれ話(無料記事) 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その9

 『グラップラー刃牙』を読みはじめてからというもの、他のだいたいのマンガや実在の人体に関して、「筋肉なさすぎでは?」「大丈夫? おじや(※注1)食べる?」と思うようになった私です。100㎏以下の人は「小柄」「痩せている」というイメージがある。もはや他には『北斗の拳』と、『ジョジョの奇妙な冒険』第三部までと、内田かおる先生(※注2)のBLぐらいしか安心して読めない。
 さて、いよいよ『バキ』編……という予告をしていたが、このタイミングを逃すと普通に忘れそうなので、今回はこぼれ話として、『グラップラー刃牙』の1~42巻の内容で、これまで書きそびれていた7つの小ネタを紹介する。

(1)刃牙さんセクシーグラビア
 ご存じの通り、『グラップラー刃牙』のほとんどの扉絵は、主人公の刃牙さんが単独で飾っている。その存在感は時にグラビアアイドル級であり、なかなか良い感じの扉絵が多いことについては、この連載の「その7」でも触れた。他にも数々のすばらしいグラビアがあるので、厳選の上、改めて2枚を紹介する。

(ナイスセクシー!100億点!)

 構図が似ているが、どちらも刃牙さんのけだるげな表情と肉体美がすばらしい。控えめに言っても、美しさと若さの化身といえる。完全にゼウスが気に入ってさらっていく系のやつ(注3)なので、板垣先生には今後、ギリシャ系のキャラも出してほしい。

(2)愚地克巳かわいいコマ特集
 続いては、私の最愛の男性(ひと)=愚地克巳(おろち・かつみ)のかわいいコマを特集する。
 愚地克巳といえば、世間的には「天才」「神心会の最終兵器(リーサル・ウェポン)」「身長186.5㎝、体重は脂肪をうっすら残し116㎏」「抱きたい」「抱かれたい」「かっこいい」「試合の前口上が恥ずかしい」「竹ヤリ」などのイメージがあると思う。それらも的を射ていると思うが、私にとっての克巳は、かわいさの核弾頭だ。

(初登場時)
 

 ほらもうかわいい。キャップで目が隠れていてもかわいい。ラガーメンに自分から絡んでいって半殺しにするシーンは、訴えられたら負けて前科がつくやつだし、自慢げなウィンクなどが非常に恥ずかしく、マジで申し訳ないと思う。でもこの時の私服、けっこう無難でかわいくないですか?


 ちょっと離れてもこのかわいさ。口が「ω」の形になってるのがかわいい。サンリオのキャラクターにいても全然おかしくない。克巳、ゆめかわいい。


 天然キャラ。小悪魔か。186.5㎝の小悪魔か。克巳にぜひ、ビールや様々な液体をかけてもらいたいと、神心会入会希望者、100万人を突破。


 ナウシカみがすごい。もはや姫といえる。姫兄さまー!

(vs花山薫)
 完全に油断してるところがかわいい。いやほら……いままで誰も克巳をここまで追いつめられなかったから……天才だから……独歩さんが甘やかすから……ッッ!!

 いまとなっては、克巳に対する刃牙さんの「ホントにすごい才能だ……」というセリフが煽りにしか感じられず、悔し涙を流す毎日だ。しかし今後、克巳の才能がふたたび輝く日が来るという噂を小耳に挟んだので、がんばって生きていきます。

(3)平尾さんミステリー
 皆さんは、刃牙さん幼年編で出てきた、中学校の体育会系かませ五人衆の一人、ボクシング部の「平尾文彦」を覚えているだろうか。

(初登場時)
 覚えていない人のほうが多いと思うし、私も何一つ記憶に残っていなかった。しかし別のことを調べているときに偶然、この平尾さんに思いがけないドラマがあることに気づいた。
 というのもこの男、幾度となく名前を間違えられるのだ。



 ほとんど面識のなかった刃牙さんが、ここで普通に名前を間違えるのは、わからなくもない。しかし右の画像で、帝王ボクシングジムの石丸トレーナーが、すこぶる上機嫌の笑顔で、名前を間違えているのはどういうことなのか。石丸トレーナーはその程度の相手にも愛想を忘れないのか。どちらの場合も、平尾は訂正するでもなく受け入れている。
 ここまでならばまだいい。


 間違いにバリエーションが生まれた。これはわりとなごやかなシーンだし、他の奴らの名前は間違えてないので、言い訳できない。もう板垣先生と刃牙さんの中で、彼について「平」という文字以外が浮かんでこない様子が手に取るようにわかる。もし『グラップラー刃牙』が推理ものだったら、私は叙述トリックを常に恐れ忌み嫌っているので、この手の誤植が許せなくて暴れるところだった。格闘マンガで本当によかった。ありがとう刃牙さん。ありがとう平野さん。

(4)ユリーさんの思い出
 刃牙さん幼年編に出てくる、強くてかっこいいキャラクターといえば、私にとってはユリー・チャコフスキーだ。まず顔がかっこいい。
 ユリーさんについては、ボクシングのJr.ウェルター級チャンピオンであることのほか、チギール族としての強いプライド、そしておじいちゃんの手がフックであることが、多くの読者の印象に残っていると思う。

(ちょっと油断すると世界名作劇場みたいなキャラが出てくる。)

 このユリーさん、何も悪いことをしてないのに突然、花山さんに襲われ、選手生命を失うのだが、「あれはボクシングだった」とか言って、全く気にしてないのがすごい。それはいいけど、プロモーターが暴れて妹を風呂に沈めようとしてるから、普通に警察に通報すべきだし、花山組に民事訴訟を起こして損害を賠償してもらったほうがいい。
 ユリーさんは刃牙さんに対してはすこぶる良い印象を持っていて、勇次郎と戦う場にもわざわざ応援に来てくれる。その時の私服がこちら。


 出、出~~~~ッッ!! 80~90年代の同人作家が、なつかしさで死ぬスクリーントーン~~~~ッッ!! 
 選手生命は失ったが、最後にとっておきの私服で、強烈な印象を残してくれた。ありがとうユリーさん。ちゃんと花山さんを訴えて、お金もらってください。

(5)蛍光灯ファイター栗谷川
 刃牙さん幼年編でかっこいいキャラクターといえば、もう一人、栗谷川等(くりやがわ・ひとし)も印象深いキャラクターだ。

(右側から左側へ読んでください)
 メガネの地味な中年男性だが、チンピラを蛍光灯で黙らせることができるほど強い。余談だが、私は『スターウォーズ』Ep4をリアルタイムで見ているから、蛍光灯チャンバラに強い憧れがある。そういった意味でも栗谷川さんのファイトスタイルは見逃せない。
 そんなジェダイっぽさを秘めている栗谷川さんは、朱沢江珠(あけざわ・えみ)の部下で、刃牙さんを鍛えるために、その地域で腕自慢の少年を探しだしては、こっそり金を与えて刃牙さんと喧嘩させている。どう考えてもダークサイドの仕事なのだが、この業務については、栗谷川さんは特に不満はないらしい。見た目の地味さに反して、若い頃はかなりヤンチャをしてきたのだろう。
 栗谷川さんの一番かっこいいところは、刃牙さんが江珠にことさらひどい扱いをされたときに、絶対君主である江珠に対して直言する場面だ。


 そのことで江珠の心が少しでも変化するわけではないのだが、読者の気持ちをあるていど代弁してくれるキャラクターといえる。栗谷川さんは、幼年編のクライマックスで泣き崩れる姿を最期に、登場しなくなるが、その後も刃牙さんを陰から見守っていてほしい。そっとお米などを差し入れているといいなと思う(マイ設定)。

(6)リメンバー・デントラニー・シットパイカー
 皆さんは、ムエタイの選手、デントラニー・シットパイカーを覚えていますか。
 そう、私が「その6」の「ひとことコーナー」で紹介するのを完全に忘れていて、「その7」でおわびとともに単独で紹介したにもかかわらず、「その8」でまた忘れていた、あのデントラニー・シットパイカーだ。いや……マジで何なんだよこいつ。別に刃牙さんと対戦したわけでもなく、克巳と対戦したわけでもなく、過去のエピソードもなく、刃牙さんと梢江が真剣10代しゃべり場を開催している間に負けた。覚えられるかっ……そんな奴っ……。なんでこいつが、刃牙さんわっしょいロードで前から4番目とかいう良い位置に並んでるんだっ……。
 とはいえ、二度にわたって忘れていたのは本当に良くなかったと思う。私は日頃から、三次元の人間の顔をなかなか覚えられず、「記憶力が二次元に特化しているから」という言い訳をしてきたが、デントラニー・シットパイカーのせいで、二次元ですら関心がなければ覚えないということが明らかになってしまった。
 そういうわけで、デントラニー・シットパイカーを、個人的に二度と忘れないために、その雄姿をもう一度ふりかえりたい。

(うわァ~~ダメかもなこれ………)


 こうして画像を並べてみたが、「象のパンツだな」ということ以外、何も感想が浮かんでこない。ふだんのパンツ(象のパンツ)と、試合時に履いているパンツが別のものなのは、オンオフ切り替え派なのか。象のパンツを血で汚したくないのか。
 だめだ、何一つ関心が持てない。象のパンツの1%ぐらいしか、彼自身に関心が持てない。今後の「刃牙」にデントラニー・シットパイカーが出てこないように願うしかない。シットパイカーファンの皆さん、本当にすみません。

(7)ドキドキ♥ナマ着替え
 最後に、みんな大好き花田順一について、皆さんに改めて紹介したい場面がある。花田は本部以蔵の弟子であり、表の世界ではプロレスラー。チャンピオン・刃牙さんに対する新たな挑戦者として、『グラップラー刃牙』4巻で登場した。
 彼の初登場時、なぜか公開ナマ着替えが行われ、その脱ぎっぷりと裸体が尋常でなくねっとりと描写されていたことに皆さんはお気づきだろうか。

(ねっとり)

 「さすがにこれは、その辺のゲイコミックを「刃牙」と間違えてスキャンしただろ……」と疑った人もいると思うが、正真正銘『グラップラー刃牙』で描かれたページなので、法廷で争ってもいい。
 花田がパンツを脱いでお宝を見せるときに、これから脱ぐぞという直前のコマをわざわざ切り取って描き、その場にいる男たち全員が目をかっぴらいて見つめるという描写。これは常識的に考えて、「全員が花田を性的な目で見ている」という解釈しかありえない。
 関連して注目すべきなのは、『グラップラー刃牙』では男性の乳首がほぼ全く描かれていないのだが、この場面で1コマのみ、花田の乳首が描かれていることだ。刃牙さんに関してすら、こんな着替えや乳首の描写はないので、花田が特別な存在であることがわかる。
 この後、格闘家としてはかなりのかませぶりを見せる花田だが、個人的にはこの着替えと乳首だけで、師匠の本部を超えたと思っている。


 これまで書きそびれていた『グラップラー刃牙』7つの小ネタ、いかがだったろうか。「平尾さんミステリー」については、軽くググって、個人ブログなどで指摘されていないことを調べてから書いているが、もし既出ネタだったり、版によって修正されているのなら、私の調べが足りなかったせいなので、ご指摘いただけるとありがたい。
 こうして無事に『グラップラー刃牙』を読了し、今は『バキ』に着手している私だが、いつなんどき、花田順一レベルで愚地克巳の着替えが描かれるかもしれないと思うと、ページをめくる手が期待で小刻みにふるえる。「目が怖い」「発想が怖い」「何か違法な薬をやっているのか」と言われがちな私だが、今後も元気に「刃牙」という合法ドラッグをキメていきたいと思う。よろしければご購読、SNSでの拡散をお願いします。
 

(おまけ)「刃牙」に登場する「金田」

(この後、マウント斗羽に軽くあしらわれる)


※注
(1) おじや …『グラップラー刃牙』1巻第1話、また39巻第339話で、範馬刃牙が試合前に食べていたもの。梅干しも添えて栄養バランスがいい。刃牙さんは同時にバナナ、炭酸抜きコーラなども飲食しているが、いずれも消化がよく、試合前の栄養補給に適しているらしい。俺たちグラップラーにとってのソウルフード。
(2) 内田かおる … 90年代から活躍しているBLマンガ家。内田カヲル名義も同一人である。当初から体格の良い青年キャラクターを得意とする作家だったが、00年代半ば頃から、BLジャンル内では他に類を見ないほど、ごつく筋肉質で、ヒゲ・体毛の濃い中年男性キャラクターが受けになる作品を手掛けるようになった。作品が気になったグラップラー諸君には『だまって泣いているのです』(2012、竹書房)、内田カヲル名義『飴と鞭』(2007、竹書房)などをオススメします(セックス描写あり)。
(3) ゼウスが気に入ってさらっていく …古代ギリシャ神話の最高神ゼウスは、気に入った男女が居ると、動物や自然物などに変身してさらい、セックスを迫ることで有名。なかでも美少年ガニュメデスは、ゼウスにさらわれて給仕の役割を与えられ、みずがめ座になったという。なぜゼウスはこんなにも性欲がフリーダムなのか? そして古代ギリシャではどのような同性愛プレイがスタンダードだったか?などなど、みんな興味津々の話題については、藤村シシン、2015、『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)に詳しいので、一家に一冊常備しよう。

(その9おわり)(その10、今度こそ「バキ」編につづくッッ)

※よろしければ「スキ」を押してみてください。ランダムで刃牙に関連する言葉が出てきます。セルゲイが出たら今日の運勢は大吉です。

(その10)俺の克巳が敗北を知って病院送りにさゥワアーッッ【後半100円】


(その8)わくわく範馬(ハンマー)フェスティバル【後半100円】

(もくじ)(無料記事)


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シャイ! シャイ! シャイ! シャイ! (手拍子)
204
金田淳子。やおい・ボーイズラブ・同人誌研究家、フェミニスト。在野武将。2019年11月下旬に刃牙の感想記事が書籍化されます!http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028439/ はてなブログ→https://www.kanejun.net/
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