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訪問、交流が普通になる

「おせっかいワーカーになろう④」

 子育ても介護も専門家に任せた方がよい場合も当然ありますが、本来私たち人間が太古の昔から営々と行ってきたことで、特別なことではありません。しかし行政等のサービスとして専門家に任せているうちに、いつの間にかやらないことが増えて、自分ではできないとか、してはいけない、と思うようになってしまったのではないでしょうか。

 子育て見守り訪問が始まるとき、担当の福岡市こども総合相談センターでは、訪問に対する苦情の電話が殺到するのではないかと構えていたそうですが、予想していたほど多くはなかったようです。

 苦情を受けとめる行政との連携を密にして、訪問の仕方や時間、言葉遣いなど細かい修正を施しましたが、訪問を重ねるうちに、訪問自体に慣れるとともに、私の意識は地域の子育てのあり方そのものに向かっていきました。もっと地域の身近な人が訪問したり交流できないものだろうか、もっとフラットな立場でつながったり支えあったりできる筈だと思うようになったのです。

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 訪問が始まった年と翌年は、新聞やテレビ(写真:NHKニュースウォッチ9)の取材が続きました。特にテレビの取材は夜中の訪問の現場で行われることもあってとても神経を使って疲れますが、できるだけ私たちの取り組みと思いを理解してもらえるように努めました。私たちは民間の同じ市民の立場で、地域ぐるみみんなで子育てを応援してますよ、困っていることはないですか、心配して訪問してますよ、というメッセージを繰り返し伝えました。

 毎日訪問し、マスメディアでも結構取り上げられるようになったせいか、福岡市内では、赤ちゃんが激しく泣いたりすると、ワーカーズの見守り訪問員というのが来るらしい、という情報が少しずつ広がっていったようです。いまは、ツイッターやライン等で情報はすぐに拡散されて共有されます。実際訪問すると、「今日は激しく泣いたから、来るんじゃないかと思ってました」と言われることも増えてきました。訪問された家庭では、ショックだったり、嫌な思いもされると思いますが、逆に必要な情報をもらえた、心配してきてくれた、ちゃんと話を聴いてくれた、という情報も広がるのです。

 私は、見守り訪問がきっかけになって、近所や知り合いで訪問しあったり交流したりすることが増えて、地域で普通になったらよいと思うのです。

                                【労協新聞2017年「おせっかいワーカーになろう④」】



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