33 Crosby, Stills, Nash & Young ☆ Teach Your Children(小さな恋のメロディ)

【MY FAVORITE SONGS 33(私は音楽でできている)】

 高校1年の夏、窓際の一番後ろの席で、窓の下の壁に、リンゴの絵とMelodyと落書きしていたら、前の席のW君が話しかけてきました。

「山口、おまえも見に行ったと?」

 まさか、W君(サッカー部)からそんなリアクションが来ると思っていなかったので、びっくりしましたが、嬉しくなって、二人で語り合ってしまいました。『小さな恋のメロディ』は当時、女子中高生が見に行くような映画で、話せる友達(男子クラス)がいるなんて思ってもみませんでした。そのことをきっかけにW君とよく話すようになって、50年近く経ったいまでも交流があります。リンゴは映画『小さな恋のメロディ』のロゴマークだったのです。

 『小さな恋のメロディ』のテーマ曲、ビジーズの「Melody Fair」は結構ヒットして、実際私もEPレコードを買いました。でも私の中に強く残っているのは、エンディングで流れたCrosby, Stills, Nash & YoungのTeach Your Childrenです。

 このエンディングは、主人公の男の子と女の子が、トロッコに乗って旅立っていくという、ファンタジックで解放的な終わり方です。いま考えると、映画『卒業』の子ども版のような感じもします。現実にはあり得ないし、破壊やカオスの状態が開いたまま収斂を見ずに無責任に終わるのです。これがあの時代の空気感をよく現わしていて、英国の映画ですが、アメリカン・ニュー・シネマに連なる作品だったと思います。

 閉塞した大人社会を子どもや若者が変えていくんだ、という無邪気なファンタジーを受け止める社会の余裕があったのかもしれません。だとすると、何かこういうファンタジーが今のこの大変動の時代にももっと必要なんじゃないかと思います。

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ヒゲリン
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