119 Louis Armstrong ☆ What A Wonderful World
「What A Wonderful World」のように、生きることそのものを寿ぐ歌が、かつてはたくさんあったように思います。裏返せば、いまよりももっと激しい人種差別や貧困、戦争といったものが身近にあったのかもしれません。しかし同時に、それを社会全体で共有する感覚、同じように悲しみや怒りや痛みを感じる共通の土台のようなものがあったのだとも思うのです。
ルイ・アームストロングさんは、同じ黒人から「アンクル・トム」と揶揄されたりもしたそうです。「アンクル・トム」という呼び名は、白人に媚びへつらって保身に励んだ黒人に仲間からにつけた蔑称です。社会には大きな亀裂や溝があって、引き裂かれたような日々の中で今日を生き延びなければならなかった人々は、たとえアーティストであっても、スターであっても同じ悲しみや痛みを抱えて生きていたのだと思います。
だからこそ、ルイ・アームストロングさんの歌や演奏には、全世界の多くの人々を癒し、鎮魂するような力があったように思います。
【映像は、ロビン・ウィリアムスの映画『Good Morning Vietnam 1988』】
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