旅立ち

息子が春から大学生になる。

旅立ちですね

北海道の大学に行くので家を離れることになった。はじめての一人暮らしである。

僕も高校を出てから一人暮らしをはじめたので、今の彼が抱える期待と不安はわかるつもりだ。意外だったのは親の心境である。なんとこんなに寂しいとは。

あの時、そういえば僕の親もひどく寂しがっていた。母にいたっては僕が家を出てからしばらく泣いて暮らしたと言っていた。自分の新しい生活でせいいっぱいだった僕は、そんなこと言うなよな、と少し重荷に感じていたものだ。人生は二週目に入るとようやくわかることがある。

だから僕は笑って息子を送り出すことにした。これから彼が楽しく新生活を送るにあたり、親である僕のできることと言えば健康でいることくらいである。やたらと心配されても寂しがれても困るだろう。

そう決めて今朝、空港まで息子を送って行き、楽しんでおいでとだけ言って力強く抱きしめて別れた。いま家に帰ってきて、息子の部屋を掃除して、布団を干して、猫をなでていたらどうしようもないくらいに寂しくなった。

これから彼にはとんでもなくエキサイティングな生活が待っているのだ。たまにそれを遠くから気にしながら、僕は僕で、彼に心配をかけないよう、元気に猫をなでていたいと思う。

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