木下富美子(木下ふみこ)都議会議員を今すぐ除名するのはコスパが超悪い件

日本一の厚顔無恥都議として天下に名を轟かせている木下富美子(木下ふみこ)東京都議会議員は、反社会行為を隠したまま都議会議員選挙に当選したのち、公の場に一切姿を現わしていない。委員会や本会議を全て欠席しながらも、議員報酬や政務活動費が支給されていることに不満が噴出している。木下都議が自ら辞職の意思を示さないのなら、他に議員の身分を強制力を以って失わせる方法を採るべきだとの意見が多くみられる。


禁固刑以上の実刑判決が確定すれば、被選挙権は喪失し自動的に失職するが、木下都議の刑事事件についてはようやっと9月17日に送検(書類送付)された段階である。控訴・上告された場合、判決が確定するには更に時間を要するだろう。

住民による議員の解職請求(リコール)運動については、任期初めの1年間は請求自体が行えないうえに、木下都議の選挙区である板橋区の場合、有権者による14万筆以上の署名をまず集めなければならない。木下都議が今回の選挙で得た票数が3万弱だったということを併せて考えると、とてもハードルが高い。過去に人口20万人以上の地方公共団体で必要署名数が集まった事例は皆無である。

他に、議会の解散によっても議員は身分を失い得るが、通常は不信任議決がなされた都知事の対抗手段としてしか起きない。例外として「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」による自主解散はあり得るが、選挙から数か月後に一議員の身分を剝奪する為だけに解散(=選挙)が発議されるとすればそれには見合わない。住民による解散請求(リコール)もほぼ非現実的だ。

となれば、地方自治法と東京都議会会議規則によって規定される懲罰動議を経て、速やかに除名処分を行って、木下都議の地位を奪うべきだとの意見が現在多数存在する。批判を覚悟で敢えていえば、

現時点での拙速な除名処分は悪手

である。その根拠は木下議員への懲罰の理由が今現在、実は極めて小さいことにある。

無免許過失運転致傷や各種の道交法違反については刑事処分を待つ状態ではあるが、議会内の行動・言動ではないのでそもそも懲罰の対象ではない(しかも既に終わった前の任期中(~7月22日)の出来事)。

任期の初めから続く会議欠席については、本会議については欠席届がきちんと(郵送で)提出されており、委員会へもメール等で都度欠席の事前連絡があり、今のところ無断欠席は一切ない様子。会議を含め90日以上公の場に姿を現してはいないが、任期4年でみるとそれはまだ6~7%に過ぎない。

冷静に考えると、無免許で事故を起こした上に議会へも一切出席せずしかも報酬を受け取っているからといって、それは懲罰の直接の理由にはならないのだ。

第百三十七条 普通地方公共団体の議会の議員が正当な理由がなくて招集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議に欠席したため、議長が、特に招状を発しても、なお故なく出席しない者は、議長において、議会の議決を経て、これに懲罰を科することができる。(地方自治法 _ e-Gov法令検索

今現在、木下議員に懲罰を科しうるほぼ唯一の根拠は、議長公印の押された2通目の召喚状(招状)への反応に対してだけである。そしてその期限は11月25日であるからまだ結果は先だ。

仮に今後、世論や住民感情を慮って速やかに懲罰動議を強行し除名処分を下しえたとしても、東京都への不服申立ての審決や裁判にもつれ込む可能性がある。上述したように、動議の理由が現時点では実はかなり乏しいので、処分の結果が審決や裁判で覆る事も十分ありうる。しかも審決のその結果が出るのに半年以上の時間を要す。懲罰動議の過程や結果とその対応に割かれる人的・時間的リソースを考えると、皮肉にも、木下議員にこのまま報酬を払い続けた方が割りが良い。

木下議員が自ら辞職する以外に、議員の地位から去らせる最もコスパの良い態度は、都議会も選挙民も一切何もせず放っておく事である。

木下議員の議会外の法令違反は、議会の懲罰動議の理由にはならなくとも、刑事裁判の実刑判決の根拠にはなり得るし、それはすなわち公民権の停止(議員失職)の要因になるからである。

送検(書類送付)から凡そ2ヵ月を経て(おそらく2通目の召喚状の期限(11月25日)より前に)検察庁は起訴処分を決め公判請求し、正式な裁判が始まり、早ければ年内に第一回公判がもたれるだろう。木下都議の、強制力を伴って公の場に出ざるを得ない機会が、ようやく到来するのである。

順調にいけば2022年の年明け早々に一審判決が出る(私は実刑判決の可能性が非常に高いと考えている)。控訴・上告に至ったとしても棄却されるだろうし、それにかかる時間にしても1年から1年半程であろうから、(任期開始から1年を経過した)リコール請求と住民投票に必要な時間・期間よりも概ね短いだろう。かかる選挙民の労力を比べれば段違いだ。

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