見出し画像

武蔵野東学園を守る会ー署名活動趣意書(2)謝罪文強要事件

第2節 子どもの意見表明や教育を受ける権利ないし機会を侵害していること
1 謝罪文強要事件

(1)   事実関係

① 2024年1月10日には、東高等専修学校で校則見直し会議が開催された。
この校則見直し会議は、希望する生徒が参加し、校則についてどのように考えているのか、どうしたいのかの意見を聞くという目的で開かれたものであり、意見を整理するためのホワイトボードも設けられていた。
 なお、この場には、松村氏が、学園で何ら役職を有しない自身の妻、娘を参加させていた。
 2024年1月27日に『週刊文春』電子版でも報じられたとおり、ある生徒が、買い食いを禁止する校則について、過去に、お金を払わずに物を取ってしまったという事例があったという背景を説明すると、松村氏は、「親が(後から)払えばいい」などと反論した。
 すると、また別の女子生徒が、「健常児の子が買い食いをしていると、それを見ていた自閉症児の子が、お金の仕組みを理解していないので、真似して(商品を)持って行ってしまうおそれがあるので、校則は残すべき」などと発言し、その校則を維持するのが適当であると伝えた。
 松村氏は、その後、話を逸らすなどしていたが、その女子生徒が、「私たちにとって必要な校則もある。」などと述べると、そのような発言を遮るかのように、「いやぁ、一般的な話はいいじゃん。で、君が残したい校則は何?君は、買い食い禁止はそのまま残したいってわけね」など言った。
 その間、別の女子生徒Aさんは、生徒の発言を遮っていた松村氏に対し、その都度、「彼女の意見をまず聞くべきでは」などと発言していたが、それでも、松村氏が生徒の発言をなお遮っていたので、最後には、松村氏に対し、「まず、口をつぐむべきだと思います」などと言った。
 すると、松村氏は、声を荒げ、「いや、聞いてるじゃん」「時間が限られてるんだよ!無限にあるわけじゃないんだよ」などと言った。
 その上で、松村氏は、校則緩和の考え方につき、「『こどもの教育法』(正しくは、こども基本法)っていう法律ができたんだよ!合理性のない校則は全部廃止しろと。で、あなたは、自分で勝手に合理性があると思ってるようだけど、僕は合理性がないと思ってる。で、まずは自由にして、やりたくなきゃ、やらなきゃいいじゃん」などと述べた。

② その後、松村氏は、他の生徒から、「ネイルを許可してほしい」などと言われたことを契機に、更に他の生徒の意見を受けると、その生徒に対し、「それは、アナタの勝手な考えだから」などと叫ぶするなどした。

③ 松村氏は、その後、再び、泣いていたAさんに対し、「あの、泣いてる女の子もね、俺は恥をかかされた。君のお陰で。それを考えたことあるか?ここまで無償でやってる私に対して攻撃して、どんだけ嫌な思いして恥かいてるか、君、わかってるか。私のこと考えたことあるのか!どんな気持ちで話してるか」などと言った。

④ また、それと前後して、男子生徒Bさんは、「A先生と先生が退職に なったのが副理事長が関係しているのか」などと質問した。
 すると、松村氏は、「高専がもともと経営上赤字であり、A先生がいる限り赤字である。その為、寺田理事長がA先生をやめさせたがっている。その役を俺がやったから、俺が悪者にさせられた」などと答え、また、B先生に関しては、「A先生の子分で、職員室に行ったら寝てたのでその姿をカメラに撮り、ついでに辞めさせた」などと答えた。
 そのほかも、Bさんは、自分が気になったことを、松村氏に質問した。

⑤ 会議終了後、学校側は、松村氏の指示を受け、翌11日、松村氏の意に沿わない発言をしたというAさんの保護者に対しては、同人を呼び出した上で、同人に対し、「松村副理事長が大変傷ついておられる」などと伝えた上で、「副理事長に謝罪をしたいということであれば、謝罪文を書いて直接お詫びをするということが、唯一残された道。それができないのであれば、今後は続けてはいけない」と言った。 
 Aさんの保護者が、「それは退学ということですか」と尋ねると、学園関係者は、Aさんの保護者に対し、「はい、退学の勧告ということです」と答えた。
 このように、学校側は、Aさんの保護者に対し、退学勧告を出して脅し、Aさんの謝罪文の作成、提出を要求した。
 Aさんの保護者は、その要求に大変なショックを受け、元々不登校児であったAさんが、もし退学となったらと思うと、追い詰められてしまい、その要求に従うほかなかった。
 Aさんは、後日、松村氏に向けた謝罪文を作成し、学校側に提出した。
以上のとおり、松村氏は、東高等専修学校の教職員に指示を出し、Aさんの保護者に対し、謝罪文の作成、提出を強要させたことになる。
 同様に、学校側は、松村氏の指示を受け、会議の数日後、松村氏の意に沿わない発言をしたというBさんの保護者に対し、松村氏が謝罪をしろと言ってきている旨伝えた。

⑥ 今年1月27日、謝罪文強要事件について、おおむね上記と同様の内容の記事が、『週刊文春』電子版によって出した。 

⑦ 石橋校長は、2024年2月3日、東小学校の保護者研修会において、謝罪文強要事件について、週刊文春に報道された後、その記事に書かれた事実には、正しい部分と誤っている部分があるなどと説明するのみで、全体としていかなる事実関係であったのかについては、保護者全体に対して説明をするつもりはない旨述べた。

(2)   Aさんの保護者たちの声
① 高等専修学校生徒Aさんの保護者
 娘は5年半の間、不登校でした。その娘が東学園と出会いようやく毎日学校に通い、青春の真っ只中に居られるようになりました。
 その娘に学校をやめてしまえ!と松村副理事長は言ったのです。
 石橋校長は松村副理事長が大変傷ついておられると言っていましたが、17歳の娘が傷ついていないと思っているのでしょうか?
 夜眠れなくなる程になり、学業が手につかなくなっています。娘が朝「学校に行きたくない。」と言いながらも、今日も立ち上がっているのは、学園の先生方が娘の心に種を蒔き続けてくれたからです。
 また、混合教育のバディや仲間の存在が彼女を奮い立たせ、学校へと向かう気力に繋がっています。
 何としてでも、今までの東学園の環境を守りたい一心です。
 子どもたちが安心して通える学園、保護者が安心して任せられる先生方は唯一無二の一生ものの居場所です。単なる学校ではありません。
 学園の創立の理念を壊され、松村副理事長の思うままにされる事は、こどもたちの未来を潰すことと同じです!

② 高等専修学校生徒Bさんの保護者(抜粋)
 うちの息子が松村氏に質問した…その後数日してから、学校より保護者に連 絡があり・・・松村氏が謝罪をしろと言っている。
…会議の場で勇気を出して意見を言った、しかも決して間違ってはいない、純粋な子ども目線の意見を言っただけなのにそれに対して謝罪しろといっている意味がそもそもわかりません。
…彼の受けた心の傷をどうにかしたいわけではありません。ただ、親として、息子がその場で意見し、プライドをボロボロにされ、信頼していた教員からも理不尽な対応を強いられることに対して、それはどう考えてもおかしいことです。
 私は息子を誇りに思います。
 このまま、松村氏、学校の言いなりにはなりたくありません。正しい事、間違っていることを勇気を出していった息子のために、私は可能な限りお役に立たせていただきたいと思います。

(3)   評価
① 意見表明の権利等の侵害
このように、松村氏は、自由な意見を募る会議の場において、生徒の意見の陳述を遮っていたところ、その態度を諫めてきた女子生徒に対し、「恥をかかされた」などと述べ、それを理由に、退学勧告を出した上で謝罪文の提出を強要した。 
 かかる松村氏の措置は、理事として自ら、心身の健全な発達を目指す教育を施していかなければならない対象である生徒について、その意見表明の機会ないし権利及び教育を受ける機会ないし権利(こども基本法3条2,4号、東京都こども基本条例4、8、10条、武蔵野市子どもの権利条例3条)を侵害するものにほかならない。
 また、松村氏の措置は、自身のプライドを傷つけられたなどという短絡的な理由で、副理事長として、校長をして、生徒に対し、退学勧告を出すと脅して謝罪文の提出を強要したものであって、強要罪(刑法223条)に該当すると考えられる。

② なお、教育裁量の範疇を明らかに超えていること
 なお、松村氏の措置は、他の生徒の発言に耳を傾けるよう求めた女子生徒の発言について、その女子生徒に謝罪を求めるという目的の下に退学勧告を出すと脅したものである。
 他の生徒の発言というのは、正に「友愛の心」から、自閉症児の気持ちや行動原理を推察した上で、自閉症児が非行少年として警察の取扱を受けないようにすることを考えて行ったものである。
 したがって、松村氏がその発言を遮ったのは、当学園の教育理念を持ち出すまでもなく明確に誤りである。
 女子生徒が、松村氏に傾聴を求めたのも、至極、適当であると考えられる。
 しかしながら、松村氏は、女子生徒が傾聴を求めた発言が、副理事長である自身に失礼なものであったとして、女子生徒に対して謝罪を求めたものであり、その謝罪文の強要措置には一見明白な誤りがある。
 また、女子生徒にとって、松村氏は、教育を担当する教職員などではなく、教学とは分離されるべき学園の経営を取り仕切る理事会のメンバーにすぎないのであるから、指導に服従をすべき関係性でもない。
 したがって、松村氏による謝罪文の強要の措置が、今後の教育的指導の一環などと考える余地はなく、副理事長の権限ないし裁量として行うことのできる範疇を超えていることは言うまでもない。

③ 繰り返しの罵倒による他の生徒に対する影響
 松村氏は、会議の場で、上記のほかにも複数の生徒から校則を維持する方向の意見等を受けると、それを排除する方向へ進めるために、高圧的な言い方で、罵倒するなどした。
 
④ 松村氏の専横を止める手段が見当たらないこと
 さらに、石橋校長は、この会議に同席していたにもかかわらず、松村氏が生徒に対して叫ぶなどするのを何一つ止めておらず、さらに、その後、謝罪文強要事件につき、自身が強要行為に及んだにもかかわらず、保護者全体に対して説明するつもりはない旨述べ、説明責任を放棄する態度に出た。
それらの言動は、生徒に対する保護を司るべき校長として取るべき態度ではないことは明らかである。
 石橋校長が、そのような言動に終始しているのは、謝罪文の提出に係る指示と同様、上司に当たる副理事長である松村氏による指示を受けたものと考えるのが合理的である。実際、石橋校長は、説明会を求める複数の保護者に対し、松村氏の意向に従って、これを開催しない旨明言している。
 そして、石橋校長が、東小学校ないし東高等専修学校の統括校長であることからすれば、その部下に当たる現場の教職員等のうちに、松村氏の言動をコントロールできる者は、もはや誰も残っていないと考えられる。
 そうすると、松村氏が再度、同様の行為に出た場合であっても、それを制止することができる者は誰も存しないものと考えられる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?