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武蔵野東学園を守る会ー署名活動趣意書(6)校則緩和が混合教育や地域住民との関係にもたらす影響

第3節 当学園の「混合教育」という建学の精神が打ち砕かれるおそれがあること
5.当学園の教育理念や伝統に対する理解や敬意が全く認められないこと

 また、松村氏は、副理事長に就任して以降、極端な校則緩和を実施し、あるいは、他者に配慮のない発言を行っており、そこには、当学園の理念等に対する理解や敬意は全く見られない。

(1) 武蔵野東学園の教育理念
 武蔵野東学園は、北原キヨ先生が自閉症児の健全な育成並びに健常児及び自閉症児を問わない全生徒の「友愛の心」の育成のために打ち立てた(健常児との)「混合教育」(インクルーシブ教育)の理念を根幹とし、約60年間、維持してきた。
 寺田理事長は、この「混合教育」こそが、平成10年当時にいじめの頻発を受けてその必要が叫ばれた「心の教育」に他ならないと説明している(物語47頁参照)。

(2) 東中学校の校則緩和が混合教育の実現を阻害することへの無理解、無配慮
① 校則緩和の内容
 東小学校の保護者説明会で説明したとおり、松村氏は、東中学校ダンス部の生徒34人からヒアリングを実施した結果により、以下のような校則緩和を決めた。2023年11月29日には、東中学校の「校則緩和のお知らせ」なる文書が保護者宛てに送られてきた。そのお知らせには、以下のように、校則を極端に緩和するということが記載されていた。

 学校内では、Tシャツ等の私服を着用してもよい、制服を着用するのも 
 可、
 カラーコンタクトや下駄の着用も可

 なお、そのお知らせの最後には、赤字で次のように書かれていた。
 
 校則を緩和した限りは、教員の主観で生徒に注意は絶対にしないように厳  しく指導いたします。仮に、12月1日以後、生徒の髪型、服装などについて教師から注意を受けた場合は、直ぐに石橋統括校長宛てに連絡をください。厳重注意致します。
  
② 極端な校則緩和は混合教育の実施を阻害するものであること
(i) 混合教育の実施に現に支障が生じていること
 11月30日には、自閉症児暮らしの保護者向けに「CDEクラスの生徒については、着替えも自立を促す教育の一環と考えて」いるため「従来通り、学校に来たら今まで通り校内着に着替えてもらう方針」(希望によっては指定外の服装も可)である旨の連絡が配信された。
 一方で、健常児クラスの生徒たちの多くが私服を着用することになれば、従来のような自閉症児と健常児の一体感が失われてしまいかねない。
このような現象は、自閉症児と健常児との交流を前提とする混合教育の実施を阻害するものにほかならない。
 松村氏は、全くかかる事態が起きるおそれについて配慮していなかったことを示している。

(ii) こども基本法は校則緩和の理由にならないこと
 なお、松村氏は、この校則緩和を行った理由について、こども基本法が、子 供の意見や利益の最大化等をうたっていることを考慮したものだと説明した。
 しかしながら、こども基本法3条3号は、こどもの意見を表明する機会の確保をうたっているのみであり、たとえ、こどもの意見を受けても、そのとおりの措置を導入する必要もないと解されることから、この法が新設されたこと自体は十分な理由になっていない。

(3) 自閉症児を万引きにより非行少年に陥れることをも許容した発言
 前記第2の1で述べたとおり、松村氏は、東高等専修学校における校則見直し会議において、買い食いを禁止する校則を廃止して自閉症などの生徒による万引きが発生したとしても、「親が(後から)払えばいい」などと、その生徒の保護者がその商品分の代金を支払えば、問題はない旨述べた。
この発言は、自閉症児などによる万引きが外形的には窃盗に当たり、非行を犯した被疑少年として警察の取扱を受けることを容認するものにほかならない。
 松村氏は、自閉症児などが警察での取り扱いを受けることによる精神的な負担、それによる二次被害としてのうつの発症のおそれ等を全く考慮していないことを意味する。
 これは、学園が混合教育の理念の下で真っ先に教育を施すべき自閉症児などの精神的な安定や、生徒が警察で取扱を受けたことによる、学園の風評被害等を全く考慮していないものであり、理事としての資質に疑いを生じさせる。

(4) 地域住民との共生を全く顧慮しない言動
 松村氏は、2023年12月12日には、東中学校において、校則緩和についての説明会の場で、保護者に対し、要約すると以下のように発言した。

周辺の住人に関しては、学校が過剰に反応している。それに振り回されすぎ。自分は寺田理事長に警察に言いに行きましょう、と言った。
警察OBに知り合いがいるので、住民対策をする。露木(康浩)警察庁長官に電話一本だ。
東は創立60年。住民は後から引越してきた人たち。苦情を言う方がキチガイだ。ほとんどが匿名で自分のことばかりで理不尽。それに教師は振り回される。
小学校でも車の通学を許可するように理事長に話している。通りでとめて数珠繋ぎにでもしない限り、そんなどうしようもない馬鹿なやつのことをいちいち聞いてられない。学校の近くに引っ越してくるなコノヤローだよ。周りの住民が何かしてくれたか?1円でも寄付してくれましたか?私は1億円寄付しています。

 松村氏は、武蔵野東学園がこれまで歩んできた道のりを全く理解していない。
 第3節の1で述べたとおり、武蔵野東学園は、これまで60年にわたって、自閉症児に対する「友愛の心」に象徴される共生の精神に基づき、地域の住民の方に対する対話に努め、また、教職員、保護者が品位をもって行動し続けたことにより、ようやく地域住民の方々からの信頼をいただくことができ、60年間の歴史を築くことができたのである。
 これに対し、松村氏は、言葉の乱暴さもさることながら、地域住民の方々に対し、「住民対策をする」、「苦情を言う方がキチガイだ」などと発言したのであり、これまでの地域住民の方からいただいていた信頼の関係を全く理解しておらず、学園の理事ないし理事長になる資質を欠くことは明らかである。

(5) その他の言動
① 多様性を軽視し、かつ、事実誤認が含まれる発言
 松村氏は、東小学校の保護者説明会において、2016年から2019年にかけて自身が理事を務めたボーディングスクールを取り巻く環境について、近隣のプリマスやボストンの状況も含め、以下のように発言している。

 理事が入ってもみんな金髪ばっかりですよ、ボストンなんかもうね、黒人殺す地域ですからね。おら、もう白人ばっかりですよ。
 プリマスっていうね、市の近く。 イギリスから、上陸した時に、インド人殺しまくって作った町なんです。だから、プリマスの市の98パーセント白人なんですよ。黒人ではほぼいません。 そういうところに名門ボーディングスクールがバーッとあるんですよ。

 これは、白人優位社会において理事に選出されたことを誇らしげに語るものであり、米国における人種問題の複雑な文化的背景への理解の欠如を露呈した軽率な発言である。社会的少数者への無理解は、自閉症児と健常児との混合教育を行う学園の精神と根本的に相容れないものである。
 さらに、ボストンの人種構成は最新の国勢調査によると、白人が44%、黒人が21.7%であり、「白人ばっかり」という松村氏の発言には相当の事実誤認が含まれていることが分かる。総じて、植民地時代と今日の米国の状況、ボストンとプリマスという異なる行政区の状況を混同した発言であると考えられる。
 正しい歴史認識・国際認識を欠いたこの発言は、教育機関の保護者説明会においてなされるのにふさわしいとは到底思われない。

② 保護者に対する威嚇的発言ないし態度
 さらに、松村氏は、生徒を預かる学園の理事としての立場で行うには不適切な発言等が散見された。
 例えば、松村氏は、東中学校における保護者説明会の場で、保護者に対し、自身が寺田理事長から次期理事長を頼まれたことや、経団連の審議員になっていることなどを理由に、理事長になる資質が自身にあることを説明した後、大声で、威嚇するような調子で以下の演説を行った。

そんな事情も知らずに、私を批判するのはやめていただきたい。
文句があるならいつでも俺のところに来い。
いつでも代わってやるよ!!!

 なお、その直後に、保護者の一人が過呼吸になり、救急車が呼ばれた。
同様に、東小学校における保護者説明会でも、「悪口を言うやつ、代わってくれよ」などと、威嚇するような調子で演説を行っている。
 かかる威嚇的で横暴な発言は、自閉症児も含む生徒を預かる学園という場で行うには不適切であり、また、保護者に向けてすべきものではない。
 

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