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バリューとブラフ両方ブロックしてるやん

お互いのレンジが煮詰まった状況でのアクションを考えるときにはブロッカーが大事です。いわゆる、相手のバリューレンジをブロックしてるハンドがブラフキャッチに向く、相手のフォールドレンジをブロックしていないハンドでブラフする、といった考え方です。文字にすると当たり前ですね。

実践や座学の中で実際のブロッカーを考えるとたいていの場合行きつくのが表題の「バリューとブラフ両方ブロックしてるやん」です。
例えば、同じスーツが3枚あるリバーで相手がポラライズしたベットをしてきました、自分はそのスーツを1枚抑えたペアを持っていたとします。当然そのハンドは相手のバリューレンジを抑えつつブラフに勝つのでよいブラフキャッチ候補に見えます。
しかし、逆に相手がブラフするコンボを考えるとスーツを1枚抑えたオフスートハンドというのはよい候補になっていることから、自身のハンドは相手のブラフレンジもブロックしてしまっていることがわかります。そうすると結局このハンドがいいブラフキャッチャーなのかよくわかなくなってきました。
この例に限らず、バリューだけ、ブラフだけでなく両方をブロックしているというケースがほとんどです。
そうした場合にはブロッカーの良し悪しをどうやって評価するのでしょうか。素朴に思いつくのはポジティブなブロックコンボ数とネガティブなブロックコンボ数の差を見ることでしょうか。しかしこの方法は正しくありません。

ポットベットに対するブラフキャッチを考えましょう。コール側の必要勝率は1/3で、ベット側はブロッカーを考慮しない場合にバリュー10コンボ、ブラフ5コンボのレンジ構成でベットしているとします。
バリュー3コンボ、ブラフ2コンボをブロックしているブラフキャッチャーについて考えると先ほどの方法ではバリューをより多くブロックしているためコールに適しているように見えます。
しかし、実際にはブロッカーを考慮した相手のベットレンジのバリューブラフ比は 7:3 となり、勝率は30%でブロッカーを考慮しない勝率に対して下がってしまっています。つまり実際には悪いブロッカーであったといえます。
これは元のレンジの構成比率を考えないで単純な差分をしてしまったため、もともとバリューに対して少ないブラフコンボをブロックする効果を過小評価してしまったためです。

では、もう少し正しいやり方はなんでしょうか。それは相手のバリューブラフ比を掛けてからコンボ数を比較することです。先ほどの例ではバリューブラフ比が2なので、バリューブロック数を2で割るか、ブラフブロック数に2を掛けたうえで両者を比較します。これによりもともとの割合を考慮した差分となり、先ほどの例でもバリューよりもブラフをより強くブロックしてしまっている悪いブロッカーだと判断できます。


ソルバーによる解析を軸にいろいろな動画の作成や記事の執筆をしたいと思います。