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ビットコイン低下のメモ

ビットコインの価格はこの2週間で約50%下がって4万ドル(約440万円)を割り込み、イーサ(イーサリアム)など類似資産もつられて下落した。原因は、中国の金融業界団体が18日に金融機関による暗号資産の取り扱いを禁じたことと、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がEV購入時の決済手段としてビットコインの受け入れ方針を撤回したことだった。 悪材料が重なったことで、暗号資産交換所コインベース・グローバルの株価は4月上場時の公開価格、250ドルを割り込んだ。 暗号資産を頑固に支持する人々にとっては、この価格変動の激しさこそがポイントだ。中央銀行ではなく利用者が価格を決めていることの証左だからだ。アーク・インベストのキャシー・ウッド氏は19日、ブルームバーグ通信に対し、ビットコインがいずれ50万ドルを付けると今でも考えていると述べた。 しかし大半の投資家にとって、こうした乱高下は常軌を逸した投機の印にほかならない。18日のビットコインの取引高は920億ドルと、アップルの10倍を超えた。時価総額を見るとアップルが2兆ドルで、ビットコインの約3倍に上るにもかかわらずだ。 ビットコインの成功を阻む障害の中には、克服可能なものもありそうだ。マイニング(採掘)による膨大な電力消費が環境に悪影響を及ぼすとの懸念は、再生可能エネルギーの利用が普及すれば和らぐ可能性がある。 ビットコインがクリティカルマス(普及率が一気に跳ね上がる分岐点)に達し、マスク氏型の介入が力を失ってしまえば、より大きな機関投資家が参入するかもしれない。米大手銀行ウェルズ・ファーゴは富裕顧客向けに、暗号資産投資のオプションを提供することを計画中だ。 暗号資産は今のところ、本物の通貨の地位に達するには程遠い。中銀は暗号資産の価格に介入できないが、代わりにマスク氏や中国、あるいはソーシャルメディアのレディットへの投稿などが簡単にその穴を埋めることができる。しかもこれらは中銀のような説明責任を持たない。 インフレに関して言えば、投資家は現在、近年になくインフレの心配をしている。それなのにビットコインは下落し、まさに逆方向に向かっている。要するにビットコインとは、いつの日か通貨になるかもしれない何かを手に入れる選択肢である、と考えるのが一番だ。そしてこの選択肢は相当高くつく。

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