【ARI】D-backsキャンプ招待選手名鑑(投手)【AZ】
先日の早春Sでサペラヴィが超スローペースで大逃げを打って最低人気の12番人気ながら2着に入りましたので本日2投稿目です。書いてたら思ったよりもだいぶ長くなってきたので2回ぐらいに分けます。
2月4日、D-backsの公式からスプリングトレーニングの招待選手(Non-Roster Invitee、以下NRI)が発表されました。彼らはMLBのスプリングトレーニングに参加し、首脳陣やフロントに対してアピールすることで早期の40人枠入りを目指してアピールすることになります。もっとも現在のD-backsは40人枠が埋まっていますので、基本的には現在枠内にいる選手が故障などで抜けることを待つことになりますが。
さて、今回の記事ではD-backsのNRIを一人一人眺めていきます。それぞれに細かいコメントをつけるというよりは、あっさりと全員を紹介できるような内容で。凡例を以下に示します。
名前
コメントコメントコメントコメントコメントコメントコメントコメントコメントコメントコメントコメント
投手
Austin Adams
2019年にAustin Nolaらとのトレードでパドレスに移籍した右のリリーバー。スライダーを武器としており、2021年には実に投球の90%近くをスライダーが占めました。2019年には32イニングでfWAR0.7、2021年には52 2/3イニングでfWAR0.3を記録するなどまずまずの投球を見せていましたが、昨季は故障でほとんど投げられずDFA。所属がなくなっていたところをマイナー契約でD-backsが獲得しました。
Ryan Hendrix
2021年にはFangraphsのプロスペクトランキングでレッズ内18位、公式ではチーム内21位にランクインした元プロスペクト。当時から速球、スライダーともにMLB級との評価でしたがコマンドには懸念があったとのこと。昨季もAAAで38イニングを投げて31四球と制球に苦しみました。昨季はツーシームやチェンジアップをレパートリーに加えるなど試行錯誤をしていたようですが、新天地で開花なるか。
Jesse Biddle
昨年はジェシー・ビドルという登録名でNPBのオリックス・バファローズに在籍したサウスポー。DELTA算出のtRA(奪三振、与四球に加え打球の性質を加味した投手評価)やWARで見ると救援投手としてはまずまずの成績を残していましたが、翌年の契約には至らずFAになっていました。D-backsにはすでにJoe MantiplyやTyler Holtonといった左のリリーバーがいますし、Andrew Chafinの獲得も発表されましたがそこに割って入れるか注目です。
Austin Brice
2016年にメジャーデビューを果たした後のべ5球団を渡り歩き144試合に登板してきたジャーニーマン。キャリアを通じて極めて優秀と言えるような投球を見せたことはありませんが、救援のデプスを作るという意味ではある程度期待できるかもしれません。
Bryce Jarvis
2020年のドラフト1位(全体18位)。即戦力と期待されましたが、昨季はAAで大スランプに。三振こそ取れるものの制球に苦しみ、打高環境も相まってホームランを打たれまくり、惨憺たる成績に終わりました。ただ、フロントからの評価は悪くなく、バウンスバック候補としても名前が上がっているよう。今季の飛躍に期待しましょう。
Zach McAllister
今季プロ18年目を迎えるベテラン。2012~14年にはインディアンス(現ガーディアンズ)で先発としてローテ入りするなど活躍を見せましたが、2018年にタイガースで登板したのを最後にMLBでの登板はありません。年齢を考えてもキャリアの終わりを考え始める頃でしょうが、若い投手が多くリリーフがめちゃくちゃヤバいD-backsで最後に一花咲かせることができるでしょうか。
Sam Clay
2021年にはナショナルズで58試合に登板した技巧派サウスポー。90mph前半のシンカー(ツーシーム)と80mph前半のカーブで投球全体の7割を占めます。Biddle同様、左の救援枠に割って入れるかというところです。
Slade Cecconi
2020年のドラフト1巡目追補(全体33位)で指名されたプロスペクト。2022年のプロスペクトランキングではFangraphsでチーム内9位、MLB公式ではチーム内11位の評価を受けました。前述のJarvisと同期で、ほぼ同じペースで昇格を重ねてきましたが、AAでの成績はCecconiに軍配が上がりました。今季はD-backs名物・恐怖のAAA打高地獄に立ち向かうことになりますが、ここでの成績次第ではMLBデビューが見えてきます。
Stefan Crichton
かつてはD-backsリリーフ陣の屋台骨になるかと期待された右のリリーバー。昨季は故障もありほぼ登板がありませんでした。Crichtonが活躍爆発していた頃に比べるとずいぶん分厚くなったD-backsのブルペンですが、我々に夢を見せてくれることはあるのでしょうか。
Michel Otanez
2016年に国際フリーエージェントでメッツに入団後、昨季はAAAまで昇格した25歳。2022年のプロスペクトランキングではFangraphsでチーム17位、公式でも2021年にチーム内26位にランクインしたプロスペクトです。特にFangraphsからは速球が20-80グレードで70と高く評価されていましたが、いかんせん制球が壊滅的。22年開幕時には20-80グレードで20というとんでもない評価を受けていました。意味がわからない人へ。あなたがもし校外模試で偏差値20を叩き出したことがあったら、その時の点数は何点でしたか?
つまりそういうことです。
Brandon Pfaadt
省略。私がなにか言うより名前で検索をかけて頂いたほうがいいでしょう。
Jeurys Familia
言わずとしれたメッツの元クローザー。2018年途中にアスレチックスにレンタル移籍した後、2019年にメッツに復帰したので、この半年を除いてはメッツ一筋でした。Edwin Diazがマリナーズから移籍してくるまでは9回を任されていました。2019年以降、Diazにクローザーの座を譲ったあとも勝ち継投の一角でしたが年々成績が低下。2021年に契約が切れる際にはメッツと契約を結ばずFAになりました。昨季はフィリーズと契約しましたがここでも振るわず放出されてしまいました。Familia復活のためになんて話を書き始めるとnoteが一つ書けますので控えますが、なんとか復活の糸口を掴んでほしいものです。
Tyler Gilbert
あのノーノーは本当に夢だったのでしょうか。
Peter Solomon
2021年のアストロズ在籍時にはFangraphsでチーム内7位、公式でチーム内15位の評価を受けていたプロスペクト。この年MLBデビューも果たしますが、2022年はスランプに陥り放出。移籍先のパイレーツ(AAA)でもパッとせずにFAになっていたところをD-backsに拾われました。制球力を評価されていたプロスペクトだけに四球が増加してしたのは気になるところですが、以前の投球を取り戻せればローテ入りも期待できそうです。
Jandel Gustave
2016年にアストロズでMLBデビュー後ジャイアンツ→パイレーツ→ブリュワーズと3球団を渡り歩いてきた剛腕リリーバー。ツーシームとスライダーのほぼツーピッチで相手打者をねじ伏せるタイプですが、どちらの変化球も特筆すべきほどの変化量はなく、MLB定着にはもう一歩というところ。なお2020~2022年にかけてフォーシーム→ツーシームに速球を切り替えたほかスライダーをよりスイーパー気味に変更しているようで、Run Valueを見る限り成果も見えつつあったようです。昨季は故障に泣きましたが、体調次第ではシーズンを通しての活躍も期待できるかもしれません。
Mitchel Stumpo
大学時代は内野手/外野手としてもプレーした二刀流。大卒後は2019年にドラフト外でD-backsに入団しました。プロでは一貫して投手としてプレー。2021年はA級からスタートし、一気に3階級を駆け上がってAAAまで到達し、昨季はシーズンを通してAAAでプレーしました。投手に専念し始めてから日が浅いからか制球や球種の乏しさに課題があるようですが、ストレートとスライダーは平均以上との評価を受けています。今シーズンの投球次第ではMLBデビューも見えてくるかも。
Blake Walston
2022年のプロスペクトランキングではMLB公式でチーム内5位、Fangraphsではチーム7位にランクインした大型サウスポー。高卒での入団だったこともあり、まだ21歳(今年6月で22歳)と、NRIでは最も若いキャンプ参加者です。昨季も超絶打高環境のAAで堅実な投球を見せており、今季開幕を迎えるであろう恐怖の投手地獄・リノでそこそこの結果を残せば十分にMLBデビューもありえます。同世代のCorbin Carollが既にデビューを果たしているだけに、ぜひあとに続いてほしいものです。
まとめ
直感的に見るとマイナー契約組はFamilia、Gustave、Hendrix、Briceとシンカーボーラーを多く集めたように感じます。今季MLBではシフト規制が入り、ゴロ打球がアウトになりにくくなるとの予想もありますが、チームの高い守備力に期待しているのかもしれません。そもそもAdamsやGustave、Familiaあたりは現有戦力とも引けを取らない実績がある投手。この中から1人でもマイナー契約の低評価を覆し、メジャー契約を勝ち取る投手が出てほしいものです。
おまけ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冒頭にあったサペラヴィという馬について少し触れましょう。サペラヴィは元々芝の平地(一般の方がよく想像する、いわゆる『競馬』です。)を走っていたものの2020年9月に勝利をあげて後は約2年間勝てず、3着以内も一度だけ。その後2022年8月に障害競走に転向したものの、ここでもなかなか勝てずに再び平地復帰。そんな経緯を経ての出走でしたから12番人気、オッズは234.8倍と、全く誰も期待していないような状態でした。
ただ、まったく好走の気配がなかったかと言えばそんなことはありませんでした。障害転向前に走った2022年6月のジューンステークスでサペラヴィは15頭中15番人気、オッズは360倍という中出走。結果として先頭から0.9秒差をつけられての6着に終わりました。こう書くと「全然好走の気配ないじゃん!」と思われるかもしれません。
ただ、この時の上位5頭を見るとこの結果に対する見方は変わります。1着はヴェラアズール、2着はブレークアップ・・・。それぞれこの後ジャパンカップ(G1)とアルゼンチン共和国杯(G2)に勝利し、有馬記念にも出走した馬なのです。また、4着に入ったプリュムドールはこのあとステイヤーズステークス(G2)で2着に入った実力者。つまり、上位5頭のうち3頭がかなりハイレベルな馬だったわけです。それを理解してから見ると……先頭から0.9秒差の6着……?0.9秒差しかつかなかった6着、と見ることもできるのではないでしょうか。
いやだからお前が当てた自慢はええんじゃい!!!と読者の皆さんは思われるでしょう。ただ、NRIやマイナー契約もこれに近い部分はあると思うのです。ぱっと見では全然よくないようにも見えるけど、よく見ると圧倒的な美点があるとか、少し変えれば大化けする可能性があるとか。そういった選手がふとした瞬間にきっかけを掴み、一気にスターダムを駆け上がる。その萌芽を見られるのがマイナー契約であり、招待選手だと思うのです。マリナーズ移籍後、特異なボールのリリース位置が注目され、マイナー契約から一躍エリートリリーバーとなったPaul Sewaldは良い例でしょう。もしかすると、この中にもSewaldのような原石が眠っているのかもしれないのです。え?Sewald知ってるなら最初からSewaldの話をしろって?
というわけで、もしよろしければみなさんもぜひ推し球団の招待選手を確認してみてはいかがでしょうか。もしかすると、あっと驚くような大変身の兆しを見つけることができるかもしれない。そう思ってオープン戦を見ればMLBを見るモチベーションも上がること間違いなしです。ぜひ、明日からでもお試しいただけると幸いです。
そう、第二のセペラヴィSewaldを見つけるのは君だ!!!!!!
お読み頂きありがとうございました。
さて、最後までお読みいただいた奇特な方にこの記事で最も重要な情報です。
私はそんな気持ちで競馬を見た結果先週の土日で1万5千円負けました。
競馬、穴狙いはほどほどにしておきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?