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NFTの"Fungible"の意味をしらべる

最近Web3関連の技術に非常に興味があって、いろいろと調べている。

その中で一般の人にも認知が広がってきた言葉に「NFT」があると思う。
NFTは「Non-Fungible Token」の略で、GoogleでNFTと検索すると「非代替性トークン」という訳語が当てられているのがわかる。

NFTがどんなものかについては、たったいま述べた訳語を含め、Googleで検索すれば有象無象の記事が出てくる。それら多くのSEO最適化された記事を読んで分かったつもりになるのもいいのだが、いまいちピンとこないのも事実だ。

  • なぜ、Non-AlternativeではなくNon-Fungibleなのだろうか?

  • AlternativeとFungibleで意味やニュアンスに違いはあるのだろうか?

  • Fungibleは、NFT以外ではどのような文脈で使われる語なのだろうか?

  • Fungibleの英英訳はどのようなものだろうか?

  • Fungibleの語源はなんだろうか?

このあたりがどうしても気になってしまう。

こうした小さい素朴な疑問を放置せずにちゃんと調べておくことで、自分の持つ知識が有機的に繋がり、物忘れしにくくなると思っている。
(覚える量が増えたほうが、むしろ周辺知識を手がかりに記憶を呼び起こしやすくなるため、テスト勉強などでも記憶しておく知識量は変に絞らず、潤沢にするほうがよいと考える派。)

ということで調べていこう。

WikiDiffで調べる

違いを調べるときに便利なのがWikiDiffだ。

As nouns the difference between alternative and fungible is that alternative is alternative while fungible is (chiefly|in the plural) any fungible item.

https://wikidiff.com/fungible/alternative

便利と言ったが、驚くほどに情報量がない。
AとBの違いはAがAであるのに対して、BはBであることです。」と言われている気分だ(そして実際にそうだ)。

仕方がないので続きを読んでいこう。

As an adjective fungible is (finance|and|commerce) able to be substituted for something of equal value or utility; interchangeable, exchangeable, replaceable.

https://wikidiff.com/fungible/alternative

なるほど、fungibleと置換可能な語として、interchangeable, exchangeable, replaceableの3語が挙げられている。ちょっとニュアンスがつかめてきた。

WikiDiffの素晴らしい点に、2語の差異だけでなく、それぞれを英英辞典で引いた結果も出してくれるところがある。

alternativeの訳は「Relating to a choice between two or more possibilities」だ。同じ代替でも複数の選択肢がある場合の代替手段というニュアンスがあるようだ。

fungibleの訳は上述の「Able to be substituted for something of equal value or utility; interchangeable, exchangeable, replaceable.」がそれに該当する。

同じ代替でも完全に置換可能で等価というニュアンスがありそうだ。

また、次のようにも書いてある。

Gold is fungible'. Silver is ' fungible ; that is, these metals are both so homogeneous that, if I get a pound of pure gold, for example, it is indifferent to me whether it be this pound or that pound, one is as good as another

https://wikidiff.com/fungible/alternative

金や銀は均質なので、同じ1ポンドの金なら別の1ポンドだろうが違いはないということだ。まさにこのあたりがfungibleのニュアンスたる部分だろう。

と、ここまでで概ねの疑問は解消した。

なぜ、Non-AlternativeではなくNon-Fungibleなのだろうか?
AlternativeとFungibleで意味やニュアンスに違いはあるのだろうか?
Fungibleは、NFT以外ではどのような文脈で使われる語なのだろうか?
Fungibleの英英訳はどのようなものだろうか?
・Fungibleの語源はなんだろうか?

語源を調べる

次に残った「語源」を調べてみよう。

このようなときは「fungible etymology」などと調べればよい。

etymologyとは語源のことを指す。なんのことはない、英語に翻訳して調べるだけだ。しかし、検索語句を英単語にするだけで粗製乱造のSEO最適化記事が一掃できるので使わない手はない。

「fungible etymology」をGoogle検索した結果のトップ

どうもラテン語から来ているようだ。

Wikitionaryの結果も見てみよう。

1765 as noun, 1818 as adjective, from Medieval Latin fungibilis, from Latin fungor (“I perform, I discharge a duty”) (English function) +‎ -ible (“able to”). Originally a legal term,[1] going back to Roman law: res fungibilis (“replaceable things”).

https://en.wiktionary.org/wiki/fungible

元は法律用語としてローマ法に用いられていたようだ。
replaceable things≒交換可能なもの、ということらしい。

これは単なる私の感想・推測だが、performがその語源にあることから「(入れ替えても)その役を果たす」といった意味の転じ方が考えられる。

Non-Fungible

ここまできて、Non-Fungibleが替えの利かない(非代替性)という意味で使われているのに納得できる。

ちなみに言葉の意味ではなく、技術的にどういう裏付けがあってNon-Fungibleなのかを知りたいと思った方には書籍をおすすめしておく。

なんせ1-1章のタイトルが「データ構造とアルゴリズム」から始まる。

公開鍵暗号方式やハッシュ関数、通信プロトコルなど、ブロックチェーンに関わる技術知識を解説しつつ(基本情報技術者試験くらいのレベル感)、後半は簡単なコントラクトのデプロイ方法まで網羅的に書いてある。

エンジニアでない方でも、この1冊を読んでおけば、「(すべてを完全に理解はできなくても)どんな技術と関連があるのか」くらいはキッチリおさえることができるだろう。

私が先日エンジニア向けに書きなぐった記事もある。

なにはともあれ、Fungibleのニュアンスや、それに付随してAlternativeとの使い分けも学べたのでよかった。今日のところはこれくらいにしておこう。

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