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鯖味噌とグランジ

大学時代の友人が開いた定食屋「マツボクリ食堂」は、すっかりランチの行きつけになってきた。
一人でもふらりと入れる定食屋がコンセプトにあるとはいっていたが、13時台のツレが少ないときでも、何の抵抗もなく入れるし、女性のひとりメシにもよく出くわす。
週に2~3度程度だが、いつもの定番メニューを食べて、なんてことない話を友だちと交わして、また職場へと戻ってくる。
店までは少し歩くのだが、そのぼんやりとお腹をすかせて(あるいはちょうどいい満腹感で)歩く時間も、大切なルーティンのような気にもなる。

なんてことない話には、新しいメニューの味はどうとか、最近の客入りの話も話もあるのだが、2月にバイク事故で丸々休んだことがとても気にかかっているようで、「売上は変わらないが常連が減った」ことが悩みだとぼやいていた。
なるほど、たしかに売上というやつの構成比が「既存>新規」とあるべきなのは、(売上がたとえ同一でも)健全さが異なるというのは、他のビジネスでも同様なのだろう。最近流行りの飲食業界のサブスクリプションサービスというのも、方向性としては間違っていないのだなぁ、と思う。

そんな悩みもあってか最近、新メニューも増えているのだが、生来の頑固者の僕は、メニューは割と固定気味になる。
一番のお気に入りは、やっぱり鯖の味噌煮だ。鯖味噌なのか、味噌鯖なのかなど、ライスカレーかカレーライスかと同様にどっちでもよくなる永遠の定番。真っ白なご飯には、これほどベストマッチはないと思う。
学生時代から彼の料理は食べてきたが、味付けの好みは似ている気がしていて、実に丁度よい具合だ。
同業者に「もっと甘い味噌で」と言われても、変えない感覚はやっぱり僕好みだと思う。

もうひとつ、僕のお気に入りは明らかに彼の嫁さんチョイスの店のBGMだ。
以前はラジオといっていた記憶があったが、シンプルな店のコンセプトに相反したような、音楽が昼から微妙な音量でかかっている。
この間は、ドアーズ、その前はキング・クリムゾン、こないだはエイミー・マンだった。
ちなみに夜はグランジとちょっとムードが変わるらしい。今度、彼女のセレクトになさそうなヤツでも持っていこうかな、と思う。

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