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ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集 | あるラバイの最悪で最良の災難|キツネと葡萄畑

まいど英也です。
さて今回は、『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』をご紹介したいと思います!

なんでこのユダヤ人の成功哲学に価値があるのかというと、
ノーベル賞受賞者の20%がユダヤ人であったり、長者番付でも上位陣に常にいてたりなど、簡単に言うと成功者が多いんですね。
有名な方にはフェイスブックのマーク・ザッカーバーグさんなんかがいらしゃいます。

また、ユダヤ人と言えば「ヴェニスの商人」の
金貸しシャイロックから「強欲」というイメージも定着しています。

しかし、ユダヤ教の説話の多くは、強欲さを排し、今の人生を
大切に生きることの重要性が説かれているようです。

本書は、ユダヤ人が5000年もの間、語り継いできた説話を、日本人が理解し、よりよい人生を送るためのヒントとして活用できるように解説されています。

一つ一つの逸話が奥深く、もちろん内容は簡潔でとても読みやすいです。
本に慣れていない方も読みやすいと思います。

ユダヤ人に成功者が多いのはなぜなんだろう?
そもそもユダヤ教ってどんな宗教なんだろう?
と興味のある方にお勧めの一冊です。

それでは早速タルムードの小話、ショートストーリーを紹介していきます。

・個人的に印象に残ったエピソード

ここで2つのタルムードをご紹介したいとおもいます。

①あるラバイの最悪で最良の災難

※ラバイ:宗教的指導者

あるラバイが旅をしていた。
ラバイは犬と羊を連れ、聖書を読むためのランプを持っていた。
一日歩き続け、陽もとっぷり暮れたので、ラバイはその夜泊まる場所を探した。
ほどなく粗末な納屋を見つけて、そこで寝ることにした。

しかし、寝るには早いので、ランプをともして聖書を読むことにした。すると、まだ残っていると思ったランプのオイルが切れて、灯りがふっと消えてしまった。

ラバイはしかたなく早めに寝ることにした。
その夜は本当に悪いことが重なった。連れていた犬が毒虫に刺されて死んでしまった。
次にオオカミが来て、羊も殺して食べてしまった。
朝になって、ラバイは空腹のまま出発した。乳をくれていた頼りの羊ももういない。

少し歩いて、ある村の近くにくると、ラバイは異様な気配に気づいた。
人影がまったくない。よく見ると、あちこちで村人が惨殺されていた。

前の晩に盗賊がやってきて村を襲い、村人達を皆殺しにして、金品を奪っていったことを知った。
彼は恐ろしさに打ち震えながら思った。

もしランプが消えていなければ、彼も盗賊に見つかっていたはずだ。犬が生きていたら、キャンキャン吠えて、やはり見つかっていただろう。
羊も騒いで音を立てたに違いない。

すべてを失っていたからこそ、自分は助かったのだと。そこでラバイは深く悟った。

「どんなに災難がふりかかろうと、人は希望を失ってはいけない。
最悪なことが最良なことだと信じなければいけない。」

というお話。

これは悪い事が重なっているように見えても、人知の及ばないところで
もっと悪い事態から救われているかもしれないというユダヤの教えです。

こういった考えはビジネスにも当てはまりますね。
何かトラブルが起こるたびに「最悪や!」みたいな事言って
テンパっている人はストレスフルになるでしょうし、物事の本質を見失うでしょうし、何より頭が悪そうですよね笑

ユダヤ人は仕事でトラブルがあっても、もっと悪い事の防波堤だと考えるわけです。
いたずらにパニックにならずに、そこに新しいビジネスチャンスがあるかもしれないと考えをめぐらすのです。

そんな姿勢から、ユダヤ人は「世界で不幸な出来事が起こるのを最初に感じ取り、世界で幸福なことが起こるのを最後に味わう」民族だと言われています。

突き詰めていくとすさまじい不屈の精神に繋がるわけですね。
どんな最悪な事態でも起死回生のチャンスを何世代でも我慢して待つ。
見習いたいですね。

② キツネと葡萄畑

ある日、キツネが葡萄畑のそばを通りかかった。

あまりにもおいしそうな葡萄が垂れ下がっているので畑に入って取ろうとした。
ところが、葡萄畑はしっかりと柵に囲まれていて、太ったキツネはその隙間を通れない。

そこで、キツネは考えた。
「よし、それなら野うさぎを捕まえるのをやめて何日も空腹を我慢すれば、
痩せて柵の隙間を通れるようになるに違いない」

キツネは餌を取る狩りをやめて自分の巣の中に何日もこもって、空腹をじっと我慢した。
やっと柵の隙間を通れるぐらいに痩せたので、フラフラになりながら巣穴から出て、葡萄畑の柵をすり抜け、お目当ての葡萄にありついた。

その葡萄の美味なこと。あまりに美味しいので、ついついキツネは夢中になってもうこれ以上胃に入らないほど何房も食べ続けた。
そして、生っていた葡萄を全部食べ尽くしてしまった。ハっと我に返ったキツネは、自分の腹が葡萄でパンパンに膨れ上がって、入ってきた柵を通り抜けられなくなってしまったことに気がついた。
このままでは、自分の巣穴に戻れない。

そこでキツネは考えた。
2つのオプションがあると。

オプションA:苦しいけれど食べた葡萄を全部吐き出して胃袋を元のペシャンコに戻す。

オプションB:猟師に見つかる危険を冒して柵の中にとどまり、葡萄の木の間に身を隠して、入ってきた時と同じように痩せるまで待つ。

さて、キツネはどっちを選択したのだろうか?

結論としては、「どちらも正解ではありません」

この話は株式投資に当てはめても、よく議論されます。
株式投資というのは、
資産形成の有効なツールの1つであることに違いはありません。
投資で得られる利益というのは、
まさにこの物語で出てくる「葡萄」です。
「食べるのを止められなくなるぐらい魅力的な果実」を人生から遠ざけてしまうのは、「成功しなくて良い」と宣言しているのと同じことです。
選択肢Aの「すべて吐き出す」というスタンスは、
株式の世界ではノーリスク・ノーリターン。
これらのリスクを取らないかわりに、
得られるものも何もありません。
一方、選択肢Bの「猟師に見つからないようにやり過ごす」
というスタンスを株式の世界では最大リスク・最大成果と呼びます。
極限までリスクをとってMAXの成果を得る一方で、
サイコロの目が「悪い方に出れば」即破産になるやり方です。
これでは、単なるギャンブルになってしまいます。

ユダヤ人の母親は、「キツネと葡萄畑」を子供に

* 子供がAを選んだら、その理由を
* 子供がBを選んだら、その理由を

それぞれ尋ねます。

しかし「キツネと葡萄畑」では子供がどちらを選ぼうと、母親は首を縦に振ることはありません。

なぜなら、どちらの選択肢も十分に納得できる理由がないためです。

つまり結論としては、選択肢A・選択肢Bのどちらも不正解ということになります。

それでは「合格点」がもらえる、妥当な回答例を1つ紹介します。

その回答は、
「そもそも、満腹になるまで食べない」ということです。

「満腹になるまで食べるな」というメッセージには、2つの重要な要素があります。

1. 強欲になるな
2. 食べること自体は否定していない

ユダヤ人が好むのは最小リスク・最小成果です。

* 小さなリスクをとって、小さなリターンを積みあげる
* 腹3分目までの確実な利益を積み上げる

これこそが、長期的には繁栄の源になるということです。
本書にはこういった教訓を交えた小話がいくつも紹介されているのですが、
今回はこの2つに絞らせて頂きました。

またリクエストがあれば紹介します。

残りの時間でタルムードやこういったものの考え方、思想のバックボーンについて少しお話したいと思います。

タルムードとは?

タルムードとは、ヘブライ語で書かれた
6部・63編から成るユダヤ教徒の聖典。
口伝律法や学者の議論を書き留めた議論集です。

400ページもの書物30冊以上からなる膨大な量で、
日常生活から、医学、子育て、家庭から恋愛まで、
あらゆる事柄の規範とそれにまつわる議論が記されています。

本書には様々な逸話が紹介されていますが、
子供にもわかりやすく噛み砕かれた話が多く、
これを幼少期から学んでいれば思考力や判断力が育つのも頷けます。

ユダヤ教の思想とは?

ユダヤ人の歴史は迫害の歴史と言えるほど、迫害を受けてきました。
その中で上手く生き残るためには知恵と判断力が必要です。
知恵をもとに様々な角度から物事を見て、最適解を求めていく。
これがユダヤ教であり、ユダヤ人は子供の頃から徹底的に教育を受けます。

シェイスクピアの話では、もっぱらユダヤ人は金欲にまみれた悪役に描かれています。
しかし本来は金よりも知識、物的資産よりも形のない知的資産が大事だと考える人なのです。
ユダヤ人は特に子供への教育を重視します。
子供達に遺産は残さず、「なぜ?」と考える力を育て、
自身で歩き出す力を身に着けさせるためです。
金はその知識を得るために必要とするもの。
つまり貯めるものではなく使うものなのであると考えています。
日本人に比べてユダヤ人は寄付を積極的に行う民族でもあります。
彼らは堅実に金を稼ぐため、努力や準備を怠りません。
豊かさの次には貧困が襲うから、好調な時こそ苦境の準備をする。
物事を逆の視点から考えているのです。
小さな儲けを繰り返し、適正なリスクを計算、確実に資産を形成する。
一発逆転ではない、この地道な行動が大きな実になる、と考えています。

圧倒的な神の存在

ユダヤ人は何事においても準備と努力を怠りません。
なぜ準備を怠らないか、それは神の存在が大きく関係してきます。
ユダヤ人で「どうせ何をやっても」と投げやりに考える人は少ないそうです。
今ある命を大切にし、価値あるものにしようと人生と格闘する。
そのため巨大地震に対しても、神は「日々それに備えよ」と警告されているのではないかと考える。
それがユダヤ教の教えなのです。
苦難の犠牲者になってはいけない。
耐えることではなく、別の光が見えるまでとことん考えて向き合う。
どんな行動も神に見られている−歴史的な迫害を乗り越えてきた民族のこの意識が、圧倒的な努力を支えているのです。

人生に楽観もしないが、悲観もしないこと。
冷静に状況を見ながら準備をし、目下の損得や価値感に惑わされず、賢明な人生を目指す。
それこそが神のもとで賢明に生きることなんだ、と考えています。

タルムードは何千年も言い伝えられているだけあって、重要な原則をとても分かりやすく学ぶことができます。
でも大切なのは、この学びを実生活に落とし込んで活かすことです。
これを、ただの昔話として聞き流すのか?
現実世界に落とし込んで活かそうとするのか?
素直に行動してみるところにも、成功のカギはあると思います。

知識も大事だけど、知恵のほうがもっと大事である、と考えるユダヤ人。
彼らが知恵を学ぶには、タルムードのような「先人の教え」が重要なのです。
著者のようにユダヤ人になり全てを実践することは難しいですが、
この本に書かれたユダヤ教のエッセンスを学び、様々な角度から物事を見る知恵と判断力を身につけていきたいものです。

あと日本人批判の記述も散見されますが、そこは「それぞれの価値観の違い」ということで。
個人的にはどちらの思想にも良いところは沢山あるので、
それぞれの考え方の参考にしたい点をバランス良く取り入れていけばいいのかなと思います!

動画解説版はコチラ

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