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こんなことしたかった

嫁さん側のじいじが71歳の誕生日を迎えました。

じいじは
朝っぱら めだかに餌をあげ、
昼間から お酒を飲み、
ばあばに 隠れてネットで欲しいものを買い、
夕方には お風呂で歌をうたい、
夜かな? っていうくらいには夢の中です。

とにかく人が好きで、
めずらしく僕のことも好いてくれます。
週末に僕が家に遊びに来ることを
誰よりも待ってくれています。

椅子にドスンと座っていますが、
渋谷のハチ公です。

「遅いよーさあ飲むぞ」

僕がいるとお酒を飲むことの
罪悪感が薄まると思っています。

共犯者扱いです。

それは僕も一緒で
嫁さんの目を気にせず、
ビールを飲めます。


そんなじいじの元には
みんな集まってきます。

娘は飾り付けをせっせと作り、
嫁さんは夕食の準備をして、
僕はお酒とすももを届けました。

嫁さんの弟夫婦さんたちは
誕生日ケーキを用意してくれました。

自分の娘さんが食べたい
いちごのケーキを我慢して
誰かが食べたいって言った
フルーツタルトのケーキを買いました。

ケーキを出した時に

「タルトきらーい」

誰かの一言に、弟さんはキレてしまいました。

誰かのためにしたことが、
誰かのためにならなかったことによる
ちょっとしたすれ違い。
ボタンの掛け違いで起きたトラブルです。

キレた弟を見かねて、
うちの嫁さんがキレました。

40代の姉弟ケンカです。

お互い言いたいこと言い合って
落ち着きました。

お互いのパートナーが慰めて
落ち着きました。

子どもたちもタルトのケーキを
美味しいねっていって食べました。

嫁さん家族の
周りの目を気にせず、
本音を言って愛し合える家族が
羨ましいなあっと思ってみていました。

こんなことしたかったなあ…

誰かのハッピーは
誰かの我慢で成り立っているのかもしれない。


僕はちいさいころから
好きなこと、やりたいことを
胸の奥にしまっておく子どもでした。

「どっちでもいいよ」

この言葉を何回言ったか分かりません。


だーれも笑っていない
じいじと子供たちの写真が撮られました。

ちょっと酸っぱい誕生日でしたね。

でもきっと忘れない誕生日だと思います。

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