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耳が覚えている。

「あちぃ…」

焼けつく暑さで目が覚めた。
そうだ、親友と朝まで飲んだんだ。

すべてはあの合コンのせいだ。
びっくりするくらいウケなかった。

不完全燃焼のあまり、
友達と朝まで反省会をして
そのまま車で寝てしまったんだ。

シートを起こした。

サンドイッチを一口食べ、
コーヒーをすすった。

ひとつのチラシに目が止まる

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FUJIROCK

「行くか!」

「今から?」

「そうだよ。昼には着けるだろ」

「チケットは?」

「そんなの行けばなんとかなる」

ドキドキしてきた。

なんでも予定を立てる僕には
こういう突発的な行動は思いつかない

心の奥がざわついているのがわかった。

「行くか!新潟も行ったことないし」

すぐさま、エンジンをかけて
ナビを苗場スキー場にセットした。

予備知識なんていらない

目で見て、
空気を吸い込み、
肌で感じるんだ

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サンボマスターには間に合いそうだ

CDを入れた。
4曲目 美しき人間の日々

サッ!

テンションが上がってきた。

新潟に入り、
いよいよ山を登っていく。

忌野清志郎さんは
自転車で向かったことを後から知った。

トンネルを抜けると
最高の景色が飛び込んできた。

山の斜面には
色とりどりの花のように
テントが散りばめられていた。
歩く人たちは
みんな楽しそうに
話をしたり、踊ったり、酒飲んでた。
すれ違うどの車も、
窓開けて音楽ガンガンに聴いてる。

ロック、ロック、ロック…

子供のように
夢中になったことを覚えている

それから5年間
毎年苗場におじゃました。

こうしたほうが楽しめる
こうしたほうが楽になる

どんどん慣れて
快適になっていったけど、
飲んで思い出すのは
初めて行った、FUJIROCKだった。

大雨の中、
2時間並んで買ったTシャツのこと。
モッシュで、
携帯を落として彼女にフラれたこと。
大自然の中、
知らない人たちとビールで乾杯したこと。
苗場の空が、
星が降ってくるぐらい綺麗だったこと
最後の小銭で食べた、
カップラーメンが美味しかったこと。

あのとき感じた
すべての気持ちを詰め込んで
ミックスCDを作った

売るほどではないけど
友達も気に入ってくれて
いつもFESのときには作っていた。

曲の終わりと始まりを聴いて
合ったものをつなげていき、
ストーリーっぽく作るのが好きだった。

なんにも考えず、
ランダムに聴く今の子には
わからないだろうなあ…

もう15年くらい前のことだから
全てのプレイリストは思い出せないけど
必ず最後はある曲で決まっていた

STAND BY ME / GOING STEADY 

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耳が覚えている。

この曲を聴くと
いつでもあのころに戻れる。

寝た子さん
思い出させてくれて
ありがとうございます

思わずお風呂で熱唱しました。


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