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このたびは…

きいちゃんの
いちばん下の息子が
結婚しました。

5月末に、報告を受けた。

「ほんとかぁ!おめでとう!」
跳び上がるほど嬉しかった。

GWに親族同士の顔合わせを
zoom で行ったらしい。

いつも見慣れている
パソコンの画面越しの挨拶。

「身なりは上半身だけで良い」なんて、
生半可な気持ちでは、望んでほしくない。

便利な世の中になったけれども、
これだけは、昔からのしきたりというか、
めんどくさいことをしてほしかった。

手土産を抱えて、膝を交えて、
真っ直ぐ目を見て、ちゃんと話す。

汗をぬぐい、
喉はカラカラ、
足の指先まで神経を巡らせて、
思いの丈をぶちかます。

自分から絞り出された言葉に
責任を持つことができるから。

こういうめんどくさいが、
簡単に「嫌い」と
言えなくなるのかもしれない。


二人は、
結婚式を挙げるかどうか
わからないと言う。

悔しい。

自分たちが決めることだから、
僕がどうこう言うわけじゃないことくらい、わかっている。

でも、悔しい。

面と向かって祝福したいことよりも、
数ある選択肢の中から選ばせてあげたい。

「結婚は、まったく違う国と国がくっついて、一つの新しい国を作ろうとすることだ」
という話をどこかで聞いたことがある。

そのとおりだと思う。
ちなみに僕の家庭は、植民地だが…


僕は友人代表スピーチを
やったことがない。

友達の結婚式に出席しても、
いつも余興ばかりだった。

泣かせるタイプの人間ではない。
あはは。と笑われるタイプの人間だ。

そんな兄ちゃんが、
言葉の花束を贈ろうと思う。

※※※

弟へ

あなたは小さいころから、
いつでも笑顔の子でした。

フットワークが軽くて、
おつかいに行ってくれたのを
覚えています。

「ジュース3本買ってきて」

と、500円を渡した。

しばらく経って、抱えて帰ってきたのは、2本のジュースとポケットに200円。

「もう一本は?」

そう聞くと、

「足りなくて買えなかった」

ふーん。


計算のできなかった子が、
いわゆる大手の企業に就職して
プログラミングをしている。

誰よりも努力をしたんだね。


いつもあなたは笑顔でした。

友達に揶揄われた時も、
テストで散々な点数取った時も、
心ない大人からいじめられた時も。

家族は心配したもんです。

しかし、そのありったけの笑顔に
たくさんの人が集まるようになり、
笑顔のいちばん素敵な人を見つけたね。

その素敵な人は、
気遣いができる優しい子でした。

ショートカットは僕も好きなんだ。

「はじめまして」は、
お台場にあるステーキ屋さんでした。

どこ行った帰りは、忘れましたが、
きいちゃんと僕と4人で
ステーキを食べたことを覚えています。

値段にびっくりした僕らは、
みんなで違うステーキを頼み、
いろんな味を楽しむようにシェアしたね。

「食べる?」と交換したお肉が、
ぽろっとテーブルに落ちました。

すぐに違うのを渡そうとしたら、

「大丈夫です」
と何事もなかったことのように
パクっと食べて笑ってみせた。

僕は、すぐに新しいお肉を渡さなかったからだと自分を責めたが、あとから違う感情が込み上げてきた。

「優しい子だな…」
僕の心に深く刻み込まれた瞬間でした。

しばらく経って、年末くらいかな。

きいちゃん家に遊びに来て
酒の強いきいちゃんの長女と
朝までお酒を飲みましたね。

朝起きて、びっくりしました。

一升瓶とワインのボトルが
空になっていたからね。

「そろそろ寝ます」
そのひとことを言うタイミングを待って、
朝までかかっちゃったのかな。

人との接し方に重きをおく
芯の強い子だなぁと思います。

僕も結婚して、
ルールを作ってはぶっ壊す
パンクロッカーみたいな嫁さんと
生活しているので、
ひとつアドバイスをします。

結婚は
「 国 」ではなく、「 石 」を想像する。

上流から コロコロ 流れて、
偶然にも ぴたっ とくっついた、
ごつごつした二つの石。

いろんなものにぶつかりながら、
そのまま コロコロ 流れていく。


お互い譲れないものを、

少しずつ
少しずつ

譲り合い、
手放し合い、
頂戴し合い、

角が取れて丸くなっていく。


川辺に流れ着き、
お互い見つめ合う。

凸凹がすり減って、
すべすべの石になっても、
離れずに、
寄り添って、
ぴたっとくっつくような
二人であってほしいと思う。


ご結婚おめでとう。

素敵な人。
こんな凸凹の家族に、
ぴたっとハマってくれてありがとう。

ちょっとよくわかんない兄ちゃんより

※※※

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こんな何者でもない僕のnoteを
たまに読んでくれるらしいので、
お祝いの手紙を送らせてもらった。

たとえ結婚式を挙げなくても、
あなたたちのことを
誰よりも応援し、祝福しています。

最初はお互い
がっちり離れないようにするけど、
いつのまにか、隣にいるから。

夫婦ってそんなもんだから。

流れが速い若いころの川も楽しいけど、
ゆったりと流れる川も楽しいよ。



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