ソトノバ・ライターズクラス①

第1回目の感想

「"PUBLIC LIFF"は、賑わいではなく日常」

泉山さんのレクチャーの中でのこの言葉がとても印象的だった。建築・樹木・図書館・広場・芝生・道路といったハードに、椅子・テーブル・シートなどのセット、さらに休憩・飲食・会話・読書・眺めるという人の行動やアクティビティまでを視野に入れて、誰もが”日常的に”滞在し、心地よく過ごせるプレイスになっているか?これからのパブリックスペースを見る上での一つの視点にしていきたいと思う。

私の好きなソト・パブリックスペース

一緒に育てる歓びが繋がりを生む・都市の隙間の共同農園 

POCKET  CITY FARMS

31A Mallett St, Camperdown NSW 2050 AUS

①公共空間と建物の間の隙間をみんなの農園に

POCKET CITY FARMSはシドニー中心市街地に程近い住宅地の一角に突如として現れる。まず目に飛び込んでくるのは、麦わら帽子を被った老若男女が談笑しながら農作業に勤しむ農園。奥にはこの農園で収穫された野菜を使った料理が楽しめるオープンテラスのカフェや子供が遊べる遊具スペースが広がっている。区画の隣には、ラグビーやバスケットボールコードなどが広がる公共公園が広がっているが、この農園自体は長らく閉鎖したボーリング場の跡地を活用して生まれたそうだ。都市の中の隙間空間を土や野菜に直に触れることができる共同農園にリプレイスさせた温かいコモンズ空間。

②住民の食への関心を高めるワークショップ

都市住民にとって、日々口に入れる食材のルーツや背景について実感し、学ぶ機会は多くない。都市は食品企業の流通サービスの最後の集積地であり、生産や加工は都市空間から離れたローコストの場所で行われている。そのような都市という場所だからこそ、我々の身体を形作る農作物についての意識や知識を育むことが必要ではないか、そのような思想からこの農園は始まった。その思想を反映するように、この農園では定期的に周辺住民たちへベランダで農作物を育てる手法や、野菜の種類などについて学ぶワークショップが開催されている。また、周辺の学校などとも連携し、子供たちへ農業体験の機会を提供することで、都市住民に土や農作物に触れる教育の機会をつくっている。

③日々が新たな繋がりが生まれるコモンズに

農園の運営は、オーナーのSNSやカフェを訪れた人々への告知などで集まった周辺住民のボランティアで成り立っている。オーナー側は集った住民へ収穫された農作物の一部や前述のワークショップなどの教育の機会提供、周辺住民は無償で休日の朝などにSNSを介して農作業への参加を自発的に表明し、この農園に集まってくる。農園のサイドスペースには、集う人々が自由に使える空間が用意され、周辺住民が各々思い思いのワークショップなどを自ら開催している。共同農園をコアに、周辺住民のアクティビティが自発的に生まれ、緩やかなコミュニティが形成され、併設されたカフェと収穫された農作物の売上で持続可能なマネタイズが実現される。都市に必要な教育の機会提供やコミュニティ形成を、永続性・日常性が掛け算された仕組みで循環させ、今日もまた地域に新たな繋がりを生み出している。




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