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つばめを高校卒業まで続けるとこうなる

NPO法人リーダーズカフェの活動の5年目が終わろうとしています。

今期(2022年4月~2023年3月)までのアニュアルレポート(活動報告書)をを作成するにあたり、メインの事業である「宝塚つばめ学習会(無料塾)」の講師OBOGふたりと生徒ふたり、計4人で対談をしました。

その内容をお伝えしたいと思います。

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【参加者プロフィールとつばめに来た理由】

田渕典子:関西学院大学卒。社会人4年目。26歳。現在メーカー営業。大学3年生の時、子どもとかかわるボランティアを探していたところに、つばめを見つけた。

矢儀丈博:関西学院大学卒。社会人3年目。25歳。現在システムエンジニア。大学1年生の時、英語の授業が一緒だった友達(講師・通称金欠太郎)に誘われてつばめに参加。

平井あやね:高校3年生。対談翌日に卒業式。美容系の専門学校に進学予定。中学校に行かなくなったときに母親に勧められたことをきっかけに参加。

坂口ゆり:高校3年生。進路迷い中。中学3年生の時に宝塚に引っ越してきて、親の勧めで体験に来たのがきっかけ。

皐月秀起:NPO法人リーダーズカフェ代表。

(矢儀)
本日は宝塚つばめ学習会の宝塚教室にゆかりのある方々にご参集いただきました。典子さん、矢儀が講師をしていたときに、あやねちゃん、ゆりちゃんが生徒で、当時2人は中学生でした。そして2023年3月現在、あやねちゃんとゆりちゃんは高校卒業(おめでとうございます!!)ということで、その節目に、皆さんのつばめでの思い出を振り返ってみたいと思います。

■宝塚教室の雰囲気
(田渕)
宝塚教室って、宝塚つばめの中では一番新しい教室で、立ち上げメンバーが私と矢儀くんだったんだよね。今後うまく運営していけるかなって、どきどきしてたのを覚えています。宝塚教室の最初の生徒にあやねちゃんがいてくれたのは、すごく有難かった。

(矢儀)
元生徒を前にして、最初から当時の講師側の不安が出てくるという(笑)。まあ今日はそういう、当時は必死に隠してた部分もね、さらしていきましょう。

もともとあやねちゃんは仁川教室に来てくれていて、典子さんとは特に仲良くなってたよね。既に信頼関係ができてる生徒がいてくれたのは、講師としては助かりました。

(あやね)
私も仁川教室から宝塚教室に移ることになって、新しい教室やし、少し不安もあったけど、講師に仲良い人がいたのは気が楽やった。仁川教室では生徒数も多くて、その輪の中であんまり積極的に話してはなかったけど、宝塚教室は生徒数が少なくて、講師との距離も近くなって、ワイワイするようになった。典子さんもおるし、ふざけてる人もおるし(笑)。

教室入ったら急に「ハロウィンやで!」って言われて。なんか変なカチューシャ付けてたし。

(矢儀)
誰のことやら。

(あやね)
(笑)。あと森田くん(つばめ講師・通称モリータ)もいたし。急に来て、めっちゃ矢儀くんに絡んでた(笑)。

(ゆり)
モリータと矢儀の絡みがめっちゃ好きやった。意味わからん話しながら、途中で数学の問題入れてきたりとか。内容は忘れた(笑)。

(矢儀)
森田、急に来たと思ったらめっちゃ絡まれて、かと思えばちゃんと授業して、嵐のように去っていった。講師にいろんな性格の人間がいたのが、宝塚教室の面白さにつながっていたんだと思います。

■生徒から講師になった感じたこと
(矢儀)
あやねちゃんは今つばめの講師として、小学生に勉強を教えています。

(あやね)
講師側になってみて、教えるのってやっぱ大変なんやなって、すごい感じた。小学生、すっごい生意気で(笑)。それを見てると、自分もきっとこうやったんやろうなと反省します。

(矢儀)
成長が著しくてびっくりするな(笑)。ちなみに、具体的にどの辺が大変だと思いますか?

(あやね)
生徒に、「何したらいい?」って聞かれて、「これしたらいいんじゃない?」って答えるんやけど、「それは嫌」って言われる(笑)。どうしよ~ってなる。

(矢儀)
切実な悩み(笑)。まあ勉強しんどいもんね。やりたくないよね。
2人が勉強したいなって思った瞬間ってありますか?

(あやね)
つばめの時間は勉強の時間やと思ってたから、その時間は勉強したいと思ってやってたよ。

(ゆり)
私もつばめの時間は勉強しようと思った。雑談の時間と勉強の時間を繰り返してたのが、いい感じにモチベーションになった。

実は中2までは有料塾に通っていて、ちゃんとした先生が週に何回も授業するような環境にいた。なので、大学生とおしゃべりしながら一緒に勉強するつばめのスタイルは新鮮やった。

(矢儀)
つばめの講師はボランティアで、だから自由度が高いですよね(笑)。次のテストの点数ここまで上げな、みたいな目標が、まあなくはなかったけど、そこまで厳しいものではなかったし、そういう自由さがゆりちゃんにとっては心地よかったんですかね。

(ゆり)
うまくまとめられた(笑)。

■高校受験対策
(矢儀)
僕が印象に残っているのは、ゆりちゃんが中3のときに高校受験の面接の対策をしたこと。結構遅い時間までやってたよね。ちゃんとドアのノックから練習してました(笑)。

(ゆり)
あれはもう、めっちゃ役に立ちました。フィードバックも的確で。
おかげで第一志望の高校に合格して、今に至ります(笑)。

(一同)
👏👏👏

(ゆり)
あと私、宝塚教室の大きなホワイトボードが好きで、よく使ってました。矢儀がホワイトボードの上の方に方程式書いて、私がその下に「解の公式」で答えを導く、みたいな。で、最後に「自分が書いた解答、自分の口で説明して」って言われるんだよね(笑)。

(矢儀)
やったやった!説明してもらってる時、「そのマイナスどこから来たん?」みたいな突っ込みを途中で入れるんだよね(笑)。ゆりちゃんがホワイトボードを使っているのを下の学年の子たちが見て、皆ホワイトボードに興味を持ってた。小学生がホワイトボードに落書きをしてる場面もありました(笑)。

■つばめのイベント
(ゆり)
皐月さんの本の出版記念パーティーが楽しかった。講師とか生徒とか親とか集まって、皆で料理を持ち寄って。松橋ママ(講師・通称松橋ママ)のカレーが美味しかった(笑)。

(あやね)
松橋ママ、千刈キャンプ場での遠足でもカレー作ってたよね。

(矢儀)
千刈キャンプ場の遠足、生徒と講師のほかに保護者の方にも参加していただいたんだよね。で、午前中は生徒と講師は勉強。その間保護者の方にカレーを用意していただいていた。松橋は講師のはずなのに、カレー作りのリーダーしてたな(笑)。

千刈キャンプ場でのイベント、またやりたいですね。
イベントといえば、去年の夏、初めて1泊2日でサマースクールを実施しました。

(ゆり)
サマースクールめっちゃ楽しかったです。楽しかったに尽きる(笑)。今年もやりたい!去年のサマースクールは、講師(アントレプレナー学部メンバー含む)と生徒の混合チームで、チーム対抗で「理想の学校」について考えた。そのテーマは講師側で決めていたけど、次回は生徒側でテーマを決めたい。そのテーマについて皆で考えたら楽しそう。

(皐月)
今年是非やりましょう!!実行委員みたいなの募りたい。

(あやね)
「棒パンマルシェ」も楽しかった。

(矢儀)
あれ松橋が企画して2回やりましたけど、楽しかったですね。
ホットケーキミックスで生地を作って、それを竹筒の先端に巻いて、バーベキューコンロで焼いて、食べる、という企画。2回目は誰かがホットプレート持ち込んで、棒パン用に買ったホットケーキミックス使ってホットケーキ作ってるし、このホットプレートで焼きそば作れるんじゃね?ってなって、最終的に誰かが焼きそば作ってた。あの焼きそばは美味しかった(笑)。

(あやね)
焼き鳥とかフランクフルトとか、マシュマロとかもあった(笑)。
当時のメンバーで集まってもう1回やりたい!

■つばめの”ベテラン”からの要望
(矢儀)
あやねちゃんはつばめ歴7年目、ゆりちゃんは4年目です。現役講師よりもつばめ歴が長い(笑)。

(あやね)
宝塚つばめが仁川教室だけの頃からいますしね。最初は小学生の時間帯と中学生の時間帯が分かれてた(笑)。

(田渕・矢儀)
あ~~~~、そうだったそうだった!!

(皐月)
ベテランの2人から、つばめに要望みたいなものはありますか?

(あやね)
持ってきた宿題が全部終わっちゃって、やることがなくなって遊んでる時間はもったいないと思う。どうにかしたい。

(皐月)
対応策は2つあると思う。1つ目は親御さんにお願いして教材を用意してもらって、生徒に持ってきてもらう。2つ目は、つばめ側で教材を用意する。

(あやね)
自分でやりたいものを探して、積極的に、自主的に取り組んでもらいたい。それが理想ですね。

(皐月)
そう!つばめの基本はそれ!自分がやりたい勉強をしてほしい。さすが、わかってるなあ。

(ゆり)
私はイベントを増やしてほしい。1泊2日のサマースクールは楽しかった。

(あやね)
棒パンも楽しかった!

(皐月)
つばめとして何かやるなら、何か学びの要素は入れたいと思ってる。アイデアお待ちしています(笑)。

■つばめに来ようか迷っている人に一言
(田渕)
つばめに来ようか迷っている人に一言お願いします。

(あやね)
とりあえず1回来てみてほしい!それで、楽しいと思ったら続けてほしい。
私は、自分が学校に行けてなかったので、そういう人たちにも来てほしい。家の外に出る機会になるし、家族以外の人との交流が持てるから。
つばめに行ったら誰かと喋れる、みたいな気持ちで来てもらったらいい。お喋りの中の一要素に勉強がある。

(矢儀)
つばめは成績を伸ばしてあげる場所なのか、それ以前に心安らぐ”居場所”なのか、といった議論は、つばめ発足以来、ずっと続いています。その議論に決着はないし、生徒や講師によって、その思いも違う。その思いが合わさって、良い方向に向かえばよいなと思っています。

(皐月)
でも、中学生の成績は伸ばしてあげたい。進路にもかかわるしね。”居場所”とのバランスは慎重に見ながらやけど。

(矢儀)
…という話も何年も前から繰り返しやってますね(笑)。
ゆりちゃんはどうでしょうか?

(ゆり)
私もまず来てみてほしい。勉強しなくても、つばめの雰囲気を感じてもらうだけでもいいと思う。

私は有料塾に通っている人にもつばめをおすすめしたい。有料塾は、確かにちゃんと勉強は進められるけど、授業に自分の意思が反映されることは少ない。私は有料塾に通ってた頃、自分の意思が持たずに、勉強が受け身になってしまって、「ここの答えなんでこうなるん?」って聞かれても答えられなかった。

つばめでは毎回「今日は何やる?」って聞かれるから、意思を持って勉強しようという意識が生まれるし、主体的に勉強しようって思う。それがつばめの魅力だと思う。

(あやね)
わかるわかる。自分でやるって言ったからこそやる気も出るし。人に言われてやるよりかは、って思う。

(皐月)
「今日何やる?」って聞くの、やっぱり大切なんやね。

(矢儀)
まあ「今日何やる?」に対応する講師は大変なんですけどね(笑)。音楽とか言われたら、これはやばいと思いました。

(田渕)
年度末、生徒に「今日何やる?」って聞いたら、卒業生向けの寄せ書きを書くって言われたことがあって(笑)。ここでやらんでも~と思いつつ、でもこの時期だしね~という思いもあって、なかなか複雑な思いでした(笑)。

■何のために勉強するのか
(矢儀)
では、最後の質問です。
小中学生から「なんのために勉強するの」と聞かれたときに、今なら何と答えますか?

(ゆり)
うわ、来たよ。

(矢儀)
僕自身、あやねちゃん、ゆりちゃんから聞かれたことある気がする。

(あやね)
勉強は楽しくないし、できるだけしたくない。やから、勉強に何の意味があるんやろっていう発想には、当然なってしまう。それはわかる。

やけど、高校生になって感じるのは、勉強はいつか自分の力になるということ。どんな勉強をしようと、結局は忘れていくけど、考え方だったり、基礎は身についてる。今小学生を教えていて、自分にとっては結構前に習った内容やから「これなんやっけ」ってなることもあるけど、ちょっと調べたら思い出せる。そういうのって自分が過去に頑張って勉強したっていうことやし。

けど、これが小学生には伝わらない(笑)。私は”過去”を振り返ってこう言えるけど、”今”を生きる彼らにはなかなか伝わらないなと思う。

(ゆり)
つばめの講師の人が、今の学びが将来の自分の選択肢につながるということを言っていて、すごく納得した。今私は高校の演劇科にいるけど、その存在を知ったのは学びがあったからやと思う。学びは自分の生き方そのものにつながってるという感覚がある。学ぶって、自分の人生を作ることなのかもしれないなと思いました。

(田渕)
沁みます。。

(あやね)
国数英理社とか、それも大事やけどそれだけじゃなくて、それ以外の勉強もある。それ以外の勉強をするから、皆将来の夢ができると思う。私は国数英とか勉強して、一生懸命頑張って、その結果これ好きじゃないなっていうことが分かった。だから自分の好きな美容の道に行こうと思った。勉強を頑張った結果、見つけられた道だと思ってる。

(ゆり)
つばめに来るまでは、先生から与えられた宿題をこなすことだけが勉強だと思っていたけど、つばめに来てからは、雑談も楽しくて、雑談さえも学びなんかなと思い始めた。雑談から自分の引き出しが増えることもあるなって感じる。それがモチベーションになる。引き出しを増やすために勉強してる。

(矢儀)
大人3名、ただ頷いております。

(あやね)
この1年、ずっと進路のことを考えてたから、あの時ちゃんと勉強しておいてよかったなとか、余計に感じる。その逆に、あの時もう少しちゃんと勉強しておけばよかった、と後悔することもある。その後悔を後輩には味わってほしくない。

ほんとに、ちょっとでもこの気持ち伝われ!!って思う。

(ゆり)
将来やりたいことがあって、それを実践するためにはやらないといけないことがたくさんあって、知らないといけないことがたくさんある。それを遡っていくと、国数英とかにつながると思う。何をするにも知識は必要だし、勉強が必要。

(田渕)
こういう話を2人から聞けて、本当につばめやっててよかったなと思いました。

(矢儀)
僕もそう思います。
それでは、2人の今後のご活躍をお祈りして、今回の対談を終わります。
今日はありがとうございました。

(一同)
ありがとうございました👏👏

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今回対談した生徒ふたりは、中学生の時につばめに来て勉強を始め、高校生になっても自習を続けていました。

だいたいの生徒は中学生を卒業するときに、つばめも「卒業」するのですが、彼女らはつばめに通い続けました。

中学生を卒業するときに、それまでのつばめでの学びの感想などを聞く機会は毎年ありますが、高校の3年間もつばめで過ごし、高校を卒業するときに、つばめがどうだったかという話をちゃんと聞いたのは、今回が初めてでした。

さすが高校生。彼女らの成長に触れて、驚きや喜びはもちろん感じましたが、なんかそれだけでない緊張感みたいなものも感じました。

この「無料塾」という活動をしっかりと続けていき、ひとりでも多くの生徒を世に送り出していきたいと強く思いました。


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