「小説がよめないのは、 自分のことだけに心をうばわれていて、 自分以外の者の身におこることには、 ぜんぜん興味がもてないためであるか、 あるいは、 想像力が不足していて、 小説にあらわれた思想を理解することも、 作中人物の喜びや悲しみに共感することもできないためであるか、 そのいずれかである」
サマセット・モーム『読書案内―世界文学』 岩波書店,1997. から小説を読めない理由を少し長いが引用する.
世間には、
自分には小説はよめない、
というひとがよくあるが、
わたくしの気がついたところでは、
そういう人びとは、
精神のすべてを重要な仕事にうばわれているため、
想像上の出来事などに頭を用いる余裕はまったくないのだから、
よめないのだと考えがちである。
だが、
それは思いちがいであると、
わたくしは思う。
そういう人びとに小説がよめないのは、
自分のことだけに心をうばわれていて、
自分以外の者の身におこることには、
ぜんぜん興味がもてないためであるか、
あるいは、
想像力が不足していて、
小説にあらわれた思想を理解することも、
作中人物の喜びや悲しみに共感することもできないためであるか、
そのいずれかである(強調は筆者)」。
サマセット・モーム『読書案内―世界文学』 岩波書店,1997, pp.12-13.
「自分のことだけに心をうばわれていて、
自分以外の者の身におこることには、
ぜんぜん興味がもてない」
「あるいは、
想像力が不足していて、
小説にあらわれた思想を理解することも、
作中人物の喜びや悲しみに共感することもできない」
ひとが増えている.
お読みいただきありがとうございます. サポートは学費として大事に使わせて頂きます.