Good to Great: 永続する企業の特徴とは?

先日、旧盛和塾の先輩から「良い会社から偉大な会社へ(日本書名「ヴィジョナリーカンパニー2」、原題"Good to Great"、以下GtoGと略す)」をご紹介いただき、一気に読みました。弊社、平山建設でも「私達のモットー」、「平山建設フィロソフィ」、「31の言葉」など会社の経営理念をいろいろな形でこれまで形にしてきました。それらのかなり部分は、いうまでもなく「京セラフィロソフィー」、稲盛和夫先生の教えが基本にあります。本書をご紹介いただいた社長さんは稲盛先生の教えを実践的にかつ詳しく学んでいらっしゃる方です。「この本(GtoG)は、稲盛塾長のフィロソフィーと同じことを言っている。塾長の教えをより学術的、実証的に調査してまとめた本だ」とおっしゃっていました。前著、「ビジョナリー・カンパニー」が永続企業の特徴を抽出しただけなのに対し、本書は「いかに永続企業になるか、なったか」の特徴を抽出しています。

以下、若干長い文章ですが私の観点から本書、GtoGを解説させていただきます。

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

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偉大な会社とは永続する会社

ちなみに、先日レジュメをつくり、内容を社員と共有しました。レジュメでも、以下の本文でもGtoGからかなりの画像を引用していることを予めお詫びもうしあげておきます。

GtoGの"Great"とは日本語では「偉大な会社」となります。「偉大な会社」というと平山建設には全く当てはまらない感じがします。ジム・コリンズ氏と同僚研究者は、GtoGのために膨大な米国のフォーチュン500企業の調査の結果をまとめ、調査研究しました。「フォーチュン500」自体米国では折り紙付きの会社を意味します。この折り紙付きの会社の中から更に厳選して調査対象会社として "Great"な11社が選出されました。GtoGの「偉大な会社」だとされた会社の選出の定義をよく読むと、生き馬の目をぬく米国の市場で数十年以上「永続」していることが条件のひとつとなっています。

これらの「偉大な会社」と比較対象するために同じくフォーチュン500から選ばれた企業は買収されたり、規模の大幅縮小をしている中、「偉大な会社」調査対象企業11社は長期間に渡って業績をあげ雇用を確保しています。経営者、経営チームが代替わりしても安定しています。ご存じのように、米国では買収された側の企業の社員は大幅なリストラを受けます。つまりは、「偉大な会社」とは稲盛先生の言葉で言えば社員の物心両面の幸福追求の企業であり、「永続する企業」となるのではないでしょうか。そう考えると、少しは親近感がわきませんか?以下、「偉大な会社」とは「永続する会社」だとしてGtoGを読み解いていきます。

第5水準の経営者・経営チーム

GtoGの「永続する企業」の最初の共通点は「第5水準の経営者(経営チーム)」です。著者のジム・コリンズは当初は経営者が「永続する企業」の要素であるという仮説は排除していました。今回の調査の結果としてあってはならないと考えていました。多種多様な経営者がいる中で属人的要素は普遍的な要素とはなり得ないからです。しかし、実際に調査をすると「永続する企業」に共通な一定の特徴を備えた経営者像を排除することができませんでした。

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このピラミッドが示しているのは、経営者、経営チームが有能であるだけでは「永続する企業」たり得ないことです。確かに、必要十分条件で言えば「個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格」を経営者、経営チームが備えているからといって必ず「永続」するとは限らないのは明白です。しかし、「社員の物心両面の幸福追求」を使命としている会社においては、経営チームは有能であり、ヴィジョン、目標を共有し達成しなければならないのはもちろんですが、その先に会社を「永続」させるための「資質」を持たなければなりません。

先日ある方から、数年のうちに謙虚から尊大へと変わってしまったある経営者の話を聴きました。以前は謙虚に誰の話でも聞いた方なのだそうですが、大成功を経て自分が自分がの姿勢になってしまったそうです。本当に他山の石です。稲盛塾長の教えを守る企業においては、「尊大」になる理由は存在しないように私には思えます。父、金吾が「人はこっちには『はい、はい』と謙虚なふりをして、あっちには尊大にふるまうということはできない。そもそも、人と人は密接につながっている。お掃除のおばさんでもお客様になるかもしれない。常に人に対して謙虚に接するべきだ」と生前申しておりました。

GtoGにも「尊大」となってしまった会社の例があげられていました。米国の小売りナンバーワンになった調査企業ではいつまでも古くさい建物で最小限の規模の本社を守りました。比較対象企業では米国でも有数の規模の高層の本社ビルを建て豪華な役員執務室を作りました。そして、買収され吸収消滅するまで高層ビルと豪華な執務室という環境を変えなかったそうです。私自身も常に「偉大」ではなく、「尊大」になっていなかよくよく反省する必要があります。

先日、Amazonのジェフ・ベゾスCEOが代譲りをして会長になると発表しました。ベゾス氏は最後に従業員に贈る言葉を公表しています。その中で「Day1」という話しを強調しています。これはどれだけ企業が大きくなろうと、永続してこようと事業を始めた「Day1」、「初日」の心構えでいようという呼びかけだと私は受け止めました。大変、謙虚な姿勢を最後まで貫かれたのだと理解しています。

【書簡全文】「好奇心を羅針盤にしよう。『Day1』のままで」…退任するジェフ・ベゾスがアマゾン従業員に贈る言葉

最初に人を選び、その後に目標を選ぶ

前節ではGtoGの「第5水準の経営者(経営チーム)」の話しでした。本節では、「最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」を学びます。

米国トップクラス企業のCEOというと、レベルの高い経営者が一人で会社を引っ張っていく姿を思い浮かべがちです。しかし、ジム・コリンズ氏が調査した「永続する企業」は真逆だったそうです。「一人の天才を一千人で支える方式はとらない」のだと。次節以降で説明しますが、むしろ「時を告げるのではなく、時計を作る」(魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える)方式で、永続する企業では経営者はもちろんどんな立場であっても常に後継の育成に努めているのだそうです。それも、徹底的に育成するのだそうです。企業の大小を問わずよくよく学ばなければならない教訓がここにあります。だからこそ、経営者から末端に至るまで「最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」なのです。採用から「誰をバスに乗せるか」という課題は始まっています。

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先日、某巨大IT企業で採用に携わった方のお話しを聞きました。外資系企業では、人格は二の次で優秀で実績があれば即採用されるのだと思っていました。ところが、実際には受験者の人生観、価値観にまで切り込んで採用面接をするのだそうです。採用面接のインタビューでは、企業理念の理解、理念に対する共感と賛同、やりがいをもって会社の仕事に取り組む姿勢があるかなどを徹底的に質問し、採用、不採用を決めるのだそうです。また、どんなに人手不足で困っていようと総合的に評価してその人に自社の社員の平均以上の成果が期待できないと採用しないそうです。この採用方法はまさにGtoG、ジム・コリンズ氏の言う「誰をバスに乗せるか?最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」という考え方そのものです。

また、ジム・コリンズ氏は「人事の決定に極端なまでの厳格さが必要」だと書いています。くだんの巨大IT企業で言えば人事の採用ひとつとっても大変に「厳格」だと言えます。私達、平山建設の建築の仕事もまた「厳格さ」が大事です。そもそも、建築の仕事が「極端」なほど好きでなければ務まりません。現場を担当すれば暑い夏には汗をかきながら躯体工事を、寒い冬には凍えながら外構工事を監督しなければなりません。あるいは、設計積算の仕事は気の遠くなるほど細かい作業が続きます。そして、すべての仕事に間違いは許されません。仕事の結果に厳密さが求められるわけですから、人事の任命に当たっては経営者、経営チームは「厳格さ」をもって当たらざるをえません。一般の会社でも当たり前ですが、建設会社では一段とお互いに「規律」の「厳格さ」が求められます。平山建設の「私達のモットー」で言えば「禮」でしょうか。

厳しい現実を直視する

本節ではGtoG「永続する企業」の三番目の特徴「厳しい現実を直視する」を学びます。GtoGに出ていた米国の鉄鋼メーカーの事例がわかりやすいです。ニューコアが永続企業、ベツレヘムスチールが比較対象企業として例示されています。
もともとニューコアは放射線計測装置のメーカーでした。核関連事業の利益を利用して企業買収を重ね多くの子会社を持つ企業グループに成長しました。しかし、1960年代には赤字垂れ流しの「全米で最もみじめな」会社に成り果てていました。そんな時に、子会社の社長だったイバーソン氏がCEOになり「第5水準の経営チーム」として改革を始めました。ここからから躍進が始まります。会社が存続できるか否かという危機の時に、文字通り中核事業である核関連事業を売却し、なんと鉄鋼生産の電炉分野に進出します。自社の持てる力は何かという真剣な議論を重ね、経営の危機を乗り越えニューコアは成長していきました。一方、ニューコアがまだやっと電炉を建設している頃、ベツレヘムスチールは世界最大級の鉄鋼メーカーでした。その後、80年代になり日本などの鉄鋼会社などが安くて品質のいい製品をどんどん米国に輸出し始めます。ニューコアはそれをチャンスとみて国内で生産するのが有利な製品群に力を入れます。ベツレヘムスチールはあくまで輸入問題だとして、自身の危機に目をつぶりそれまでの重厚長大型製品生産から改革しませんでした。2001年にはベツレヘムスチールは経営破綻してしまいました。ニューコアはいまも世界トップクラスの業績を上げ続けています。まさに米国型の永続企業の代表といえます。

もうひとつの例です。80年代の米国の過剰なまでの金融自由化にさらされた金融機関の話しです。調査対象(永続企業)の金融機関は自由化という厳しい現実を前に、積極的に変化しようと組織をあげて行動を始めました。そして、新たな「地方における銀行」の姿を模索しました。結果、独立を守っただけでなく全米有数の企業となりました。しかし、80年代は非常に大きな規模を誇り、米国ナンバーワンを「目指す」経営方針を採った比較対象金融機関企業は、同じ厳しい現実に目をつむりました。自社よりも上位の金融機関のものまね施策しかとりませんでした。結果は、対象企業は没落して消えていきました。

では、どうしたら厳しい現実に向き合えるのか?「厳しい現実を直視する」会社風土とは、上司が真実に耳を傾けるのだと書いてあります。具体例としてあげられていたのは、トヨタ生産方式です。トヨタ生産方式では、生産ラインにおいて期間工の方々に至るまでミスや問題が生じた時に生産を止める「ヒモ」がぶら下がっているそうです。以前お客様からトヨタにおいて生産ラインが止まったときにばらばらと関係者が集まってきて、直接の問題の対応から詳しい原因追及、生産再開まであっというまに行われていく様子を見たと聞いた事があります。この「ヒモ」が意味するのは、トヨタでは生産効率のために品質を犠牲にしないという姿勢です。末端の工員でも、ラインの上司に問題の発見を直ちに報告できるわけです。現場の末端に至るまで「報告」「指摘」できる決定力を持たせているということなのでしょう。部下のつきつける品質低下という「厳しい現実」を上司は認めなければなりません。当然ですが、ひもをひっぱった当人の責任が問われることはないそうです。

「(部下が)意見を言うことができるのと、上司が意見を受け入れることは天と地ほどの差がある」

とGtoGには書いてあります。これはよくよく私が反省しなければならない姿勢です。「不都合で厳しい現実」ほど目を背けたくなるものです。

針鼠の概念

本節で学ぶGtoGの特徴は「針鼠の概念」です。正直、何度読んでも私にはなぜ「針鼠」なのかよく分かりません(後述)。「針鼠」という言葉はともかく、本節で論じられる「永続する企業」の特徴は「情熱をもって取り組める」、「経済的原動力となる」、「自社が一番になれる」の3つを満たす「単純明快な戦略」で仕事をするということです。よく企業の成長戦略においてコアコンピタンシー(実際の成果を生む望ましい企業能力)を生かせと言われますが、その会社、その人が一番得意なことをするだけでは「永続」の実現には足りないのです。

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平山建設にとって「成田にあってよかった平山建設」というヴィジョンは、この三つに当てはまると私は信じています。建築関係者はお客様から「ありがとう」と言われることにやりがいを感じます。「ふるさとづくり、街づくり、建物づくり」は、お客様の笑顔、お客様の「ありがとう」で裏打ちされています。そして、話せば長いので「31の言葉」を読んでいただきたいのですが、理念を明確にしまさにこの3つの円の重なるコアとして「ふるさと」成田に軸足を置いてから受注構造が明らかに変わりました。間違いなく私達のヴィジョンは安定受注につながり、「経済的原動力」になっています。「世界一」なんて言うだけで笑われてしまいます。まだ恥ずかしくて「成田一の建設会社」とすら胸を張ることはできません。まだまだまだまだですが、方向性としては、3つの円の交わるところを目指していると私は思っています。

規律の文化

本節ではGtoGの4つめの特徴、「規律の文化」を学びましょう。企業においてルール、規律、共通のヴィジョンの枠組みの中でさえあれば、社員が自由に行動できる社風のことだと私は理解しました。自由と規律は実は表裏一体なのです。

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GtoGの中から引用します。

「針鼠の概念を徹底して守り、三つの円が重なる部分を熱狂的ともいえるほど重視する。これと変わらぬほど重要な点として、『止めるべき点のリスト』を作り、三つの円が重なる部分から外れるものを組織的に取り除いていく。

「止めるべき点のリスト」とは、金吾会長の言葉で言えば「為当為 不為不当為」(当然なすべきことをなし、なしてはならないことはなさない)です。一例を挙げれば、今はもう当たり前ですが、建設業界では以前中小からゼネコンに至るまで「受注調整」がありました。これも、平山建設はゼネコンの宣言よりも早く「やらない」宣言をし、この姿勢を守ってきました。また、「私達のモットー」、「平山建設フィロソフィー」など一方多くの明文化された「ヴィジョン」、「理念」もあります。これらにかなっていれば、後は社員一人ひとりの裁量に任されていると私は思っています。もしそうでなかったらぜひご指摘ください。

促進剤としての技術

本節のGtoGは「促進剤としての技術」です。ラスト2です。もうひとつで終わりにしますからお付き合いくださいね。
本節は新しもの好きの私としては耳が痛い話しです。おなじみジム・コリンズ氏によれば、意外なことに「永続する企業」の経営幹部の八割は飛躍をもたらした要因の上位五位に「技術」をあげていないそうです。確かに最先端の技術を最も早く実現した企業が必ずしも「永続する企業」になるとは限りません。多少没落しつつあるとは言え、日本人でYahoo!を知らない人はいないと思います。1995年当時、Yahoo!はインターネットのリンクをひたすらカテゴリー別に並べたサイトでした。余談ですが、平山建設は割と早く自社サイト、hirayama.comを開いたので、Yahoo!開設当時大手ゼネコン5社と同じカテゴリーにならび確か間組さんの次が平山建設でした。残念な会社の例として自社をあげれば、そこまで早くホームページを開いたにもかかわらず今に至るまでネット広告で成功したことはありません。付け加えれば、最初発のYahoo!がその後Googleに取って代わられてしまったことは記憶に新しいです。

GtoGの該当する章で調査企業、「永続する企業」として取り上げられているのは、ウォルグリーンというドラッグストアチェーンです。創業は平山建設と同じ1901年のこのお会社は、インターネットには出遅れました。比較対象企業でいまは存在しない「ドラッグストアドットコム」という企業が例示されています。「ドラッグストアドットコム」の方は全米でも一番早くドラッグストア、処方箋のネット化に取り組みました。しかし、「這い、歩き、走る」を企業風土にしてきたウォルグリーンは、ステップを踏んで確実にネット対応を進め、事前にネットで予約しておけば待つ時間なく処方箋薬を受け取れるサービスを始めました。現在では、7兆円の売上げを誇る企業グループになっているようです。120年間で大きく水をあけられましたね。 

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目先の技術よりもその技術をいかに針鼠の三つの円の交わる領域と関連付けるか、「這い、歩き、走る」姿勢で取り組むことが大事なようです。つまりは、最先端を行っていなくとも確実に技術を使いこなすことで永続企業への道も開けるということだと受け止めたいです。

劇的な転換はゆっくり進む

GtoGの最終回です。「劇的な転換はゆっくり進む」です。「永続企業にいかになるか?」という本書のテーマの佳境です。GtoGの「永続する企業」は外から見ていると昨日のウォルグリーンのように劇的に成長し、ナショナルブランドとなったように見えます。しかし、「永続する企業」の多くの幹部にインタビューすると「転換点を意識したことはない。弾み車を回すようにやるべきことを徹底して繰り返しただけだ」と答えるそうです。本書で紹介される対極図のように「変化」と「維持」の繰り返しが加速していって「永続する企業」になるのでしょう。

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成田の企業で言えば、「なごみの米屋」さんが「永続する企業」の代表です。あの赤い円が二つついたベン図のようなロゴマークをみなさんご存じでしょう。2つの円はそれぞれ「伝統と革新」を意味しているそうです。まさに米屋さんは「弾み車」を回し続けていらっしゃるのだと想います。

私が(ごくささやかですが)企業の「弾み車」を感じたのは、前述のように成田に経営の軸足を移した時です。当時企画営業課長だった弊社社員が千葉市に住んでいたにもかかわらず成田の街に溶け込もうと祇園祭りのある町内の祭典委員に参加しました。いまから15年近く前のことです。その姿を見て、私もやらなければと数年遅れで私の地元、幸町の祭典委員に加わりました。山車の再建の話しは散々したので、ここでは繰り返しません。この頃がから確実に受注構造が変わり、「弾み車」が周りはじめました。平山建設はバブル崩壊後の売上の落ち込み時期から比べれば、売上高は三倍になりました。ここのところ安定して売上をあげ、黒字にとどまることのできる企業になれたのは、まさに「維持と変化」にまじめに取り組んだからです。先代の金吾以来「規律」は守り、協力させていただいた「成田表参道セットバック事業」は継続しました。さらには、私達の仕事を単なる建設業ではなく「ふるさとづくり、街づくり、建物づくり」だと定義しなおすという「変化」がほんの少しですが、「弾み車」を回しはじめたのだと私は捉えています。
最後に私の最初の経営者になるという覚悟について触れさせてください。「31の言葉」に書きましたが、小学5、6年生の頃に、金吾会長から確か「一週間で社長になる本」というタイトルの本を薦められました。「一週間」は誇張ですが、社長として身につけるべき7つの事項が書いてありました。「っ自分の健康すらも制御しろ」、「人事には私的感情をはさむな」など確かにいま思い出しても、社長の仕事の「肝」となる事項が書いてありました。一番私が大切だと思っているのは、「たとえ一人になっても明日からスコップをもって現場に出る覚悟があるか」です。私が言うと笑われてしまいますが、「スコップをもって現場」とは例え最後の一人になっても自分が選んだ仕事を続ける覚悟を持てという意味と理解しています。自分の信じるミッションにどこまでも情熱と覚悟を持てと。それからだいぶ寄り道、回り道、遠回りはしましたが、今こんな私でも平山建設の社長ですと胸を張っていられるのは、一緒に戦ってくれている社員のお陰だと感謝しています。社長になった最初の日、私の「Day1」に二つのことを宣言しました。今から会社に起こる全ての事に責任を取りますということと、風通しのよい会社にするということです。幸いにも就任以来15年間仕事に打ち込めました。私はまだまだ至らない社長にすぎません。「偉大な会社」にはなれなくとも、平山建設をこの成田で永続企業、「なくてはならない会社」にしていきたいと強く願っています。そして、永続する企業こそが社員の物心両面の幸福追求の「場」であると私は信じています。

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GtoGの考え方がまとめられた図です。「突破!」こそが永続の道、社員の物心両面の幸福追求の道です。共にがんばりましょう!

捕捉:「針鼠」が象徴するもの

以上の内容を社内で共有しました。その最終日に、総務部長から「針鼠は単純明快な戦略という意味でしょう」と指摘をもらいました。日本人にはピンときませんが、欧米では有名な言葉なのだそうです。ギリシアの詩人アルキロコスの詩の断片「狐はたくさんのことを知っているが、ハリネズミは大事なことを一つだけ知っている」から採られたそうです。

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