父、平山金吾がロータリーで学んだこと

 この度、父、平山金吾が残してくれた言葉をもとに「会社が永続する31の言葉」という本を出版いたしました。何人かのロータリアンの方は、父が生前「私の人生を支えてくれた言葉」という日めくりを作り、配付していたことをご記憶かと思います。この日めくりの言葉の多くは私の曾祖父で家業の創業者、金吉(きんきち)以来、人生と商売の知恵として平山家に伝えられてきた教えから採られています。そして、それ以外の多くは父がロータリークラブ活動において学んだ「言葉」です。人生の知恵の言葉だと言ってもいいと想います。父はロータリーが大好きでした。大好きなあまり、父は、1996-97年の2790地区のガバナーを務めさせていただきました。(もし公表されていたら以下を)また、この度「日本のロータリアン100人」にも選定いただきました。後半生はロータリークラブ活動のためにあったと言っても過言ではない人生でした。

 例えば、父がロータリーから学んだ言葉として「良きフォロワーこそ、良きリーダーの資格」があります。この言葉はまさにロータリークラブにおけるリーダーシップの形を示しているのではないでしょうか?ある年度にクラブ会長を務めてもそこで終わりではなく、次年度にはクラブ奉仕委員会の一人になり奉仕活動の最前線に出ることはロータリーではよくあることです。よりクラブでの活動を観察すれば、会員一人ひとりが組織、業界を代表する一家言をもつ方々ですから、上から目線のリーダーシップではクラブが機能しないことがわかります。ロータリーのリーダーシップはフォロワーシップのだ一歩である積極的傾聴から始まるといってもよいと考えます。ロータリーにおいては、リーダーシップとフォロワーシップは表裏一体ではないでしょうか。父がガバナーを務めた時も、2019-20年の2790地区ガバナーの諸岡靖彦の父君で、大先輩であられた諸岡謙一会員(故人)が地区大会の実行委員長を務めて下さいました。

 また、父の言葉に「身銭を切る訓練」という言葉があります。自分が苦労して稼いだお金を見ず知らずの人のために寄付することは一般的には相当な心理的抵抗があります。しかも、事業活動での費用は経費算入できます。ロータリーにおいても、ロータリー財団、米山財団寄付は損金となります。しかし、それ以外の奉仕活動に関わるお金はそうはいきません。純粋に個人の負担となります。税金や社会保険を払った後の残りの可処分所得から負担するしかありません。他にも、領収書すら出ないニコニコボックス等があります。つまりは、ロータリークラブに入ると普通に「身銭を切る」体験をしなければなりません。ロータリークラブ活動においては、ロータリー財団や、米山記念奨学会への寄付はごく普通に習慣化しています。父はよく「西洋でも可処分所得の一割位は人様のお役に立ちに使うことを習慣にしている」とよく語っておりました。

 父とは、亡くなるまでの5年間同じ成田ロータリークラブで活動しました。会社は父のお陰で十分に事業継承しておりましたが、家庭や、会社で見るのとは違った父の活動、言動を見ることができました。ロータリークラブ活動を通じて、ロータリアンのみなさんとの親睦、友情、奉仕活動の大切さなどを学びました。いままで意識したことはありませんでしたが、本を書くことで改めて父がどれだけロータリークラブ活動から恩恵を受けたかを実感しました。また、私もロータリーで人生訓を学ばせていただいていることも自覚しました。

 先日、父の七回忌を営ませていただきました。七回忌の今もロータリアンのみなさまから金吾が生きているかのごとく、想い、言葉をいただいております。本を読んだいただいたある方からも「金吾さんの肉声が聞こえてくるようだ」と感想をいただき、感激いたしました。更には、千葉西ロータリークラブの海寶勘一会員からは本書を読んだ感想とともにガイ・ガンディカーの「ロータリー通解」をお贈りいただきました。この1915年発行の「パンフレット」を読むと、父が生前常に口にしてた「利他」、「陰徳」がロータリーの基礎をなしていたこともよくわかりました。父には本当に感謝しかありません。

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