映画を観た記録144 2023年11月2日   ルネ・クレマン『鉄路の闘い』

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フランスはナチスドイツに占領される。フランスの鉄道はナチスドイツが軍事輸送のために使用していたのだが、そうはさせじと黙っていない鉄道労働者たちはナチスドイツが思う通りに使えないように様々な戦術を使い、ナチスドイツにダメージを与えた。その最大の戦術が鉄道を爆破させ、機関車を線路から踏み外し、線路わきへ突き落す爆破作戦である。この爆破作戦はナチスドイツの兵士もろとも地獄へ突き落すフランス鉄道労働者の誇りある闘いである。記念碑である。ちなみに、爆破したとき、ルネ・クレマンはアコーディオンを転がらせる。素晴らしい演出である。フランス鉄道労働者はモールス信号を使い、英国に亡命している自由ドゴール政権とも連絡を取っている。功を奏し、米国軍のノルマンディー上陸が果たされ、この映画では、ナチスドイツが自由に使おうとしていた機関車へ空襲の嵐を行うことになる。

本作品は、ナチスドイツに対するフランス鉄道労働者という主題が一貫しており、それは最後の「フランス万歳」と列車最後尾に書かれた文字にまで一貫している。この一貫性は得難い魅力である。そして、占領からの解放は、フランス鉄道労働者のような人々を忘れてはいけないということである。フランス解放はドゴールだけの功績ではないのだということが理解できるとても優れた映画である。
最期に蛇足のように書くが、偉大な撮影監督・アンリ・アルカンの撮影監督としての第一作目である。アンリ・アルカンは『大人はわかってくれない』『ローマの休日』『ベルリン天使の詩』など撮影監督をした偉大なる映画人です。


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