安東仁兵衛 著『戦後日本共産党私記』を読み終えた少しの感想

安東仁兵衛 著『戦後日本共産党私記』を読み終えた。本書は、世間に蔓延している日本共産党への悪意本でもなければ、恨み節本でもない。

著者は、東大細胞から日本共産党員として活動をはじめ、離党するまでの著者本人の記録である。戦後から1960年代くらいまでの日本共産党は、明白なマルクス・レーニン主義であり、宮本顕治は革命には暴力もありえるという「敵の出方論」を主張し、平和革命論を宮本は否定していた。

現在の日本共産党は、マルクス・レーニン主義を科学的社会主義と言い換え、過去、暴力革命を志向していたことを隠蔽している。そして、宮本顕治が指導者の国際派、徳田球一が指導者の所感派、ともにソ連のイデオロギーを信じて疑わなかったのである。著者の安東氏は、当時の現代マルクス主義としてイタリア共産党の構造改革派に魅力を感じ、党の仕事から、離れ、大月書店で『現代の理論』を企画し、編集するが、宮本顕治から睨まれ、『現代の理論』は休刊の憂き目をみる。

私は、日本共産党に悪意がある人間ではない。

しかし、事実は、事実として知っておきたいだけである。

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