映画を観た記録62 2023年6月4日 トミー・リー・ジョーンズ『ミッション・ワイルド』

Amazon Prime Videoでトミー・リー・ジョーンズ『ミッション・ワイルド』を観る。
トミー・リー・ジョーンズの名を知らぬものはいない、と思う。日本人には、BOSSの缶コーヒーのCMに出演している俳優である。
そのトミー・リー・ジョーンズが監督した作品である。トミー・リー・ジョーンズは日本でいう脚本に当たるscreen Playにも参加している。
本作品は異様な傑作である。
邦題が『ミッション・ワイルド』というタイトルなので、アクション、銃の打ち合いが中心の作品のように思えてしまうが、そうではない。崇高な傑作である。神の愛に近づくような傑作である。原題は『The Homesman』である。
広大な平原に家がポツリと建っている。その風景だけで傑作であることがわかる。この映画にあるような広大な平原が一体、どこにあったのだろうか。もしかして、今なお、アメリカには未開拓の土地があるということなのだろうか。
そして、『ミリオンダラー・ベイビー』の主人公クラスであるヒラリー・スワンクが本作品でも主人公クラスで出演している。そのヒラリーは、本作品ではカディの名前である。そのカディは、主人公のトミー・リー・ジョーンズに抱いてほしいという願いをして、翌日、首を吊って死ぬ。主人公クラスが映画に途中で死んで今う。だが、『ミリオンダラー・ベイビー』のヒラリー・スワンクも途中で死んでしまう。『ミリオンダラー・ベイビー』はボクシングの打ちどころが悪く、死んでしまうのであるが、本作品は首を吊るという自殺である。そもそも、首を吊らされていたのはトミー・リー・ジョーンズ扮するジョーンズ・ブリッグスであった。ブリッグスは、ネブラスカ準州の住人の私刑で処刑されるところだったのである。
カディは、精神に不調をきたした女性3人を東部に連れていくという使命(ミッション)をくじ引きのせいで行うことになってしまう。首つりで死ぬ寸前のブリッグスが、カディに助けられ、付き添いになる。
旅の途中に遭遇する先住民のポーニー族も異様な存在である。
この映画自体が異様なのだ。
カディが死に、ブリッグスが女性3人を連れていき、東部の街で一瞬、うなだれた黒人たちが背景に写る。奴隷として連れていかれるのだろう。そのようなディテールからして物凄い作品というしかない。
トミー・リー・ジョーンズはクリント・イーストウッドに比すべき西部劇の監督ではないだろうか。

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