映画を観た記録98 2023年9月16日   パトリシア・グスマン『夢のアンデス』

Amazon Prime Videoでパトリシア・グスマン『夢のアンデス』を観る。

国家により、人間の人生が振り回されてしまうことがこの映画で描かれ、アンデスはその人類の営みを静かに見ている。

本作品の監督であるパトリシア・グスマンは『チリの闘い』の監督であり、1973年9月11日ピノチェト軍事クーデターが勃発し、逮捕されてしまい、15日間の監禁生活を送ったのち、キューバのハバナを経由し、フランスへ亡命した。そして46年、亡命し続けている。故郷・チリとアンデスへの思慕をナレーションで語られる。しかし、監督がフランスへ亡命せざるを得ないのは、ピノチェトが人民を弾圧するからだ。

監督が再び、チリの地に降り立ち、取材をしていく中で、パブロ・サラスというカメラマンに取材する。サラスは一部とはいえ、ピノチェト軍事政権下で人民はいかに弾圧されていくのかを、テープに残した。そのテープとアンデス山脈、取材対象の人物が交互に映し出されていく。

残っているテープには人民が立ちあがっている姿が映し出されている。その人民へチリの警察権力は放水車で弾圧する。この弾圧映像が、ピノチェトがいくら言い張ろうが弾圧の証拠である。

弾圧される人民には連帯する女性たちが映し出されている。

サンチャゴの女性たちは強いのだ。

他国のこととはいえ、他人事ではない。

私たちは、チリの人民が立ち上がり続けたことを記憶しておかねばならない。

ビクトル・ハラの歌の思い出と共に。

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