『凍牌』~比嘉秀仁のおすすめ漫画⑤~

先日完結(?)した凍牌シリーズが今回のおすすめ漫画です。

シリーズとしては三部に分かれていて、無印、人柱篇、ミナゴロシ篇となっています。それぞれが10巻以上あり、麻雀漫画としてはかなり長期連載しているのではないでしょうか。それほどの人気作品であるということの証拠でもあると思います。

作者の志名坂先生は天鳳や雀魂も打っていて、漫画作品からはもちろん、こういうやり取りからも溢れる麻雀愛が伝わってきます。

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さて、本題の作品についての話。まずはあらすじ。

金、女、臓器。欲望蠢く裏レート雀荘を荒らし回る高校生の少年・ケイは、冷徹なる思考、冷艶なる打牌から、裏世界では“氷のK”と呼ばれ、自宅には少女を飼っていると噂される。(wikipedia「凍牌」の項より引用)

まあこれだけの情報量でも「バイオレンスだ...」となるのは間違いないけど、この記述以上にエグい内容が多い。ヤクザの抗争、人身売買、権力癒着など内容が内容だけにあまりにもあっけなく人が死にます。登場人物は敵だろうと味方だろうと、いきなり体の一部を刃物で貫かれたり、切り落とされたり、薬物で溶かされたり、燃やされたりします。この漫画の世界観がそういうものなので、ほんわかストーリーものが好きって人はちょっとキツいかもしれないですね。

それでも、麻雀を題材にした勝負ものとしては私は凄く好きです。
それは、「漢(おとこ)らしさ」を前面に押し出しているからですね。

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主人公の「氷のK」。高校生だが冷静沈着で合理的かつ冷徹な判断で行動し、権謀術数に長け、敵に勝つために罠を張り策を駆使して勝利する男。

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準主人公、Kのライバルキャラ「堂嶋」。豪運と超攻撃的な「流れ」に乗る麻雀で敵をなぎ倒す。Kとはタイプが正反対。場合によって共闘したり、ガチバトルしたり。

上記二人が主にこの『凍牌』の勝負の軸になってくるんだけど、裏社会の勝負を描いている都合上、裏切りとかイカサマのような卑怯な行為とかそういうものバンバン出てくるわけです。
でも、勝負に向きあう内に、そういう柵(しがらみ)に捉われなくなっていって、「漢として」雌雄を決したい、という美学に目覚め(あるいは取り戻して)、敵との決着をつけるという「勝ち方」や「負け方」に拘り、納得して結末を迎え、受け入れるという、少し古臭い昭和的な世界観。私は結構好きなんですよね。

ヤク漬けになり、関の操り人形になっていた畑山が勝負において「意地を張ること」を思い出し、正々堂々と勝負するように目覚めたこと。
実は最初から裏切っていたKが、裏切りの行為のために自分から切腹し、死にかけながらもなお味方陣営に勝利をもたらしたこと。

こういった「漢らしさ」が胸を熱くするんですよね。
「愛するひとのために」「家族のために」のような戦いも勿論、感動を呼ぶものではあるんだろうが、何もなくても「勝つために勝つ」「おのれの意地のために勝つ」といった、目の前の戦いに対してただ純粋に立ち向かう姿は、いまやジェンダージャップ云々言われるし、そういう意味では時代遅れ感もあるけれど、「漢(おとこ)」を感じるのです。私が考える『凍牌』の魅力はそこにあります。


なお、新シリーズも制作決定しているようなので楽しみにしています。
スピンオフ作品も堂嶋主人公の『ライオン』などがあり、『凍牌』作品中の敵もなかなか魅力的なので、全シリーズ一読するのがオススメです。


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