そもそも。その3 騙されたと思った


農作業や土をペッタンペッタンする日々を過ごしていると、身体のどこかが痛くなるものです。
25歳の時に僕は、左手の中指と薬指を曲げる『スパイダーマンポーズ』をすると激痛が走るようになってしまった。
重いものも持てないし、ドアノブも回せない。肉体労働者として絶体絶命の危機!
当時の職場の上司トミナガさんの勧めで整体へ行く事になるのだ。

トミナガさんは言った。
「あの先生はすごく腕がいいから一発で治るぞ。騙されたと思って!金は俺が出すから!」

僕は金を出してくれるなら、治らなくても腕は痛めど懐は痛くないな。
と思い、ヘコヘコついて行ったのだ。

連れてかれた所が、
さき理髪館
床屋じゃねえか!騙された!
と失礼ながら心の奥で思う。あまり期待せず、さき理髪館のサキヤマさんに身体を委ねたのです。

サキヤマさんはカイロプラクターだという。カイロプラクティック?なんじゃらほい。
サキヤマさんは少し話をして少し身体を触ると、
「うんわかったよ!これは痛いね!けど大丈夫!大丈夫だよ!」と明るくと言った。

施術が終わって帰るときに、「今はまだ痛いけど1週間ぐらいで痛みなくなると思うから、もし痛みとれなかったら連絡してね」と言うのだ。

勝手なイメージで整体って一度行くと、「ハイ!フジワラさん!これから毎週通って下さい!!」みたいな事を言われ、蟻地獄よろしくズルズルと治療院通いでそこでお友達もできちゃってetcと思ってたのでびっくりした。
そして本当に1週間でまったく痛みがなくなった事にもっとびっくりした。
ここで初期衝動
「整体すげえ!カイロプラクティックすげえ!カイロプラクターになりたい!」

が不自由ない日常に戻るとその衝動も薄れていった。
その後も、肩が回らなくなる。左太ももがつっぱる。左膝の痺れ。などなど、どこかを痛めるたびに治してもらった。
毎回毎回、痛み苦しみからの解放に感動して

単純な僕は「俺も整体すげえ!カイロプラクティックすげえ!カイロプラクターになりたい!」と施術後1週間くらいは興奮していた。

がしかし、本当に何か行動や変化を起こすチャレンジする勇気がなかったし、今の日々の生活からの逃げるために、ただ新しい事をしてみたいだけなんじゃないか?と自分を疑っていた。

つづく

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